Shopify 、新しいオーディエンスツールを発表:iOS14以降の顧客獲得に力を発揮できるか

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Shopify(ショッピファイ)は、同社のマーチャント(加盟店)が顧客をより見つけやすくすることを目的とした新しいツールを発表した。

このツールは、Shopifyオーディエンス(Shopify Audiences)と呼ばれ、各ブランドは、購入を行う可能性が高い買い物客に、自社のカタログのなかから見せたい商品を選んで見せることができる。このオーディエンスツールは機械学習を利用し、本質的にはその商品に対する類似のオーディエンスを作成し、広告用プラットフォームで展開することができる。現在のところオーディエンスツールはFacebookとインスタグラムで利用可能だが、近日中にTikTok、スナップ(Snap)、ピンタレスト(Pinterest)、Microsoft Advertising、クリテオ(Criteo)などほかのプラットフォームにも拡大される予定だ。

プライバシー規制に伴う新顧客獲得ツール

顧客の獲得とターゲットの設定は、依然としてオンラインブランドが直面するもっとも重要な問題のひとつだ。その理由の多くは、主要なプラットフォームでのプライバシー更新と、全世界でデータプライバシー規制が進化していることにある。eコマース代理店のネタリコ(Netalico)の創設者でCTOを務めるマーク・ルイス氏は、「Appleがアプリから入手できるデータを制限しはじめて以来、Shopifyのような企業はそれにより生じた空隙を埋めようと試みている」と述べている。

実際、この種のツールは、失われたデータを補うために業界全体が必死になっていることを表している。多くのブランドは、顧客獲得コストの上昇と、成果の低下を受けて、Facebookへの予算を切り詰めはじめた。一方、Facebookは、Appleの更新により今年の広告収益は約100億ドル(約1兆3000億円)の損害を受けるだろうと語った

このような情勢で、各ブランドは新しい種類のツールや見識を入手しようと必死になっている。「基本的には、入手できれば、ほかのあらゆる種類のデータが役に立つ」とルイス氏は述べている。しかし、そのような新しいツールも、Facebookがかつて各ブランドに提供できたような広告ターゲット設定能力に「直接置き換わることはできない」とも同氏は付け加えている。Shopifyによれば、同社は2021年後半から一部のブランドにツールのベータ版へのアクセスを許可している。

メディアバイヤーのデビッド・ヘルマン氏は今年初め、米モダンリテールに対して、「私が知っている限り、誰も納得していないが、データをより的確に理解する別の方法を個人として見つけている」と語った

一方でShopifyは、最近のプラットフォーム更新の問題を回避するためではなく、マーチャントが利用できるより堅牢なツールセットとしてShopifyオーディエンスを開発したと述べている。同社の商品担当バイスプレジデントを務めるカズ・ネジャティアン氏は、「Shopifyオーディエンスにより、マーチャントは将来的な顧客を見つけるという、ビジネスの成長においてもっとも困難な課題のひとつを、新しく効果的な方法で達成するとともに、適用されるプライバシー規制に基づく義務を満たすことができる」とメールの声明で述べている。

それでも、Shopifyの新しいツールは各ブランドにとって多少の助けとなり、おそらくはShopifyのマーケティングにおける追加手法として使用されるだろう。ShopifyオーディエンスはShopifyプラス(Shopify Plus)のメンバーのみが利用でき、「マーチャントにアップグレードを勧めるための優れたセールスポイントとなる」とルイス氏は述べている。

参加マーチャントのデータのみを使用

しかし重要な疑問は、オンラインのユーザーの誰がもっとも買い物をする意思が強いのかを判定するため、Shopifyがどのような種類のデータを使用するのかということだ。同社はプレスリリースで、同社の「機械学習により、マーチャントごとに個別化された、購入意欲の高い買い手のオーディエンスを作り上げ、そのオーディエンスを直接かつ安全に、マーチャントによって選択された広告ネットワークにエクスポートする」と記載している。

米モダンリテールはShopifyに、機械学習に与えるためどのようなデータを使用しているのか、およびShopifyのすべてのマーチャントのデータが使用されているのか(もしそうなら、マーチャントがプログラムを拒否するにはどうすればいいのか)と質問した。これに対してネジャティアン氏は、「大まかにいって、アルゴリズムは買い手の動作をプライバシーに注意して調べ、商品の情報と組み合わせる」と述べる。「Shopifyオーディエンスは、マーチャントとその買い手の支援による、購入の意思に関する当社独自の観点を活用している」と同氏は付け加えている。「Shopifyオーディエンスは参加を希望したマーチャントのデータのみを使用し、それらのマーチャントは自分のShopify管理機能から、いつでも拒否を選べる」。

各ブランドにとって、Shopifyオーディエンスはeコマース広告ツールキットの新しい部品となる可能性がある。従来は、買い物客をオンラインで見つけ、ターゲットを設定するのはごく簡単だった。現在、Shopifyなどのソフトウェア企業は、この移行を収益化できるかどうかを試みている。

「マーチャントが失ったデータを埋め合わせようと試みている分析ツールは数多く存在する」と、ルイス氏は述べている。

[原文:Shopify’s new Audiences tool tries to give brands better targeting in a post-iOS 14 world]

Cale Guthrie Weissman(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Shopify

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