ユニリーバが コ・クリエーション 戦略としてウォルマートとスカルプケアブランドをローンチ:ミレニアル世代やZ世代がターゲット

DIGIDAY

ユニリーバ(Unilever)は、頭皮に特化した新しいヘアケアブランドとなるBHSをウォルマート(Walmart)と共同でローンチ、コ・クリエーションの分野に参入している。

BHSは「ビューティフル・ヘア・アンド・スカルプ(Beautiful Hair and Scalp)」の略で、ターゲットはミレニアル世代の若者やZ世代だ。染めた髪、カーリーヘア、ダメージヘアなど、髪質に合わせた6種類のシャンプーが特色である。3月1日にウォルマートの全店舗とWalmart.comで正式に発売されており、製品の価格は約8ドル(950円)となっている。

優しくクリーンな処方のスカルプケアは新たな試み

これまでフケがセクシーだと思われることはなかったが、つい最近までは解決策もごくわずかしかなかった。過去2年間にローンチされたジュピター(Jupiter)やハリーズ(Harry’s)傘下のヘッドクォーターズ(Headquarters)など、市場には頭皮に特化した新たなブランドが数々参入しており、BHSもそのひとつだ。一方、ユニリーバ傘下のレガシーブランドであるリビングプルーフ(Living Proof)は、2021年に専用の製品ラインを開発した。セルサンブルー(Selsun Blue)とヘッド&ショルダーズ(Head & Shoulders)というふたつの有名ブランドは歴史的にターゲットが男性であり、今日のヘアケアで人気のある優しくクリーンな処方とはかけ離れている。

ユニリーバでプレミアムヘアポートフォリオのシニアグローバルブランドディレクターを務めるソニカ・マルホトラ氏は、とくに若い顧客は、縮毛防止やカラープロテクションなどの製品の品質に妥協しなくてはならないことを懸念していると話す。

「これは私たちにとって初めての試みとなる。(サードパーティグループからの)報告によれば、(ユニリーバは)大きなビジネスであり、(当社のブランドは)ヘアケアカテゴリーの売上の3分の1を占めている」とマルホトラ氏は述べた。「しかし当社にはまだこのような製品はない。したがってビューティフル・ヘア・アンド・スカルプは当社の既存のポートフォリオを補完するものとなる。BHSは(このビジネスへの)増分であり、私たちは大きなチャンスを狙っている」。

多くの可能性を秘めたコ・クリエーション分野

ウォルマートは主にZ世代へのアプローチに力を入れ、過去15カ月間で独占ブランド戦略や共創ブランド戦略を着実に拡大してきた。共創および独占ブランドには、シャロンC(Sharon C)のウオマ(Uoma)、P&Gブランドのノウ(Nou)、スキンケアブランドのダーマギーク(DermaGeek)、頭皮の悩みにも対応するガルニエ(Garnier)との独占コレクションなどがある。パイパー・サンドラー(Piper Sandler)の年度調査テイキング・ストック・ウィズ・ティーンズ(Taking Stock with Teens)によると、ウォルマートはもっとも人気のある美容小売先の第4位となっている。数カ月の激動の時期を経て、最近ユニリーバは根本的な売上成長を推進するため、美容ポートフォリオの拡大と強化に再び力を入れている。

「この(コ・クリエーション)分野には多くの可能性がある。eコマースやソーシャルメディアの台頭とともに、顧客は引き続き複数の方向に引き寄せられているため、購買先はさらに重要になってきている」と、ウォルマートでトレンドヘアケアのアソシエイトマーチャントを務めるエル・イサレッジ氏は指摘している。「独占ブランドはヘアケアカテゴリーを盛り上げ、顧客を店舗のリピーターにするためのすばらしい方法である」。

マルホトラ氏は、ハッシュタグ #bhshairdare とBHSブランドを使った発売キャンペーンのブランディングは、元気があってインクルーシブで、美に焦点を当てたものだと述べている。ヘッド&ショルダーズやセルサンブルーの、昔の男性向けCMのような臨床的アプローチとは対照的だ。従来のそうした競合ブランドの青と白のパッケージとは異なり、BHSのパッケージには鮮やかなピンクやマリーゴールド、パープルといった色が使われている。素材にはポストコンシューマーリサイクルのプラスチックを70%使用し、100%カーブサイドリサイクル(道路での分別収集)可能となっている。ユニリーバは非公開のサードパーティベンダーと協力し、店頭での買い物をバーチャルでシミュレーションしてパッケージとメッセージングの効果を検証した。ボランティアがウォルマートのバーチャル店舗での顧客となり、ユニリーバは棚で何が目立つかをテストし検討することができた。

ブランドエクイティが強力なら売上は後からついてくる

BHSは製品のデビューにあたり、TikTokで初のインフルエンサーマーケティングキャンペーンを開始、25~40人のインフルエンサーと協力して4月にキックオフを行う。また売上だけでなく、ブランドアカウントやインフルエンサーパートナーからのエンゲージメント、プレスからのアーンドメディアバリューに基づいて、市場でのパフォーマンスを評価する計画だ。ウォルマートは、エディトリアルサイトの記事、ウォルマートコネクト(Walmart Connect)のデジタル広告ネットワーク内の広告、購読者向けメールへの掲載、店頭でのアクティベーション、Facebookやインスタグラムなどあらゆる主要プラットフォームでのソーシャルメディア投稿でBHSをサポートする、とイサレッジ氏は述べている。

「創造した(パッケージや)資産には、スマホのスクロールを思わず止めてしまうようなインパクトがなくてはならない。ヘアケアに限らず、美容の世界ではあまりにも多くのことが起きているため、(人々を)惹きつける方法を見つける必要がある」とマルホトラ氏は指摘した。「いまは売上がとても重要な時期にあるが、消費者とある種の親和性や信頼性、信用を築くことができるかという点もまた重要だ。ブランドエクイティが強力であれば、売上はおのずとついてくる」。

[原文:Unilever co-creates scalp care brand with Walmart]

EMMA SANDLER(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

Source

タイトルとURLをコピーしました