ああ、80年代
80年代がきてる! そんな話を最近良く聞くが、それは本当だろうか?
1970年生まれの僕にとって、80年代は小中高、大学と過ごしてきた時代であり、ほろ苦いというか、甘酸っぱいというか、個人的にはとにかく微妙な時代だったという印象がある。
では、客観的に80年代とはどういう時代だったのだろう?
今の様に携帯電話は一般に普及していないし、インターネットもない。レコードはA面が終わったら引っくり返してB面を聞き、好きな音楽はカセットテープに録音した。駅の改札口では駅員さんが切符にはさみを入れ、もちろんスイカもパスネットもない。東京駅に自動改札が導入されたのは1990年の事だ。
84年から始まった「新語・流行語大賞」で流行語部門の金賞を取った言葉を振り返ると、「まるきん まるび(’84)」「イッキ!イッキ!(’85)」「新人類(’86)」「懲りない○○(’87)」「今宵はここまでに(いたしとうござりまする)(’88)」「オバタリアン(’89)」。ああ、あった、あった、という言葉が並ぶ。
そんな80年代、人々はどんな部屋でどんな生活をしていたのだろうか?
読者の皆さんの力を借りて、80年代の部屋を再現してみた。
※2005年11月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
80年代当時の部屋を再現するには、僕個人の持ち物だけでは限界がある。そこで、「80年代グッズを貸してください」と事前に募集させていただいた。
多数ご応募いただいた中から、最終的に11組の読者さんから80年代グッズをお借りする事ととなった。
応募者各々が都合のいい場所まで軽トラで出向き、直接グッズをお預かりする事にした。
都内近郊を2日間に渡って回収に周り、その間の移動距離は約300キロにおよんだ。
皆さんからお預かりしたグッズを都内某所のウィークリーマンションに持ち込む。
なるべく古いウィークリーマンションを選んだおかけで、80年代グッズを入れる前から既に80年代の雰囲気を醸し出している。
しかし、ここに皆さんからお借りした80’sグッズを入れると……、
ジャーン!
これが80年代の部屋だ。
MCハマー風のスーツに身を包んだ男性が「そろそろ出かけるか」とセカンドバッグ片手に部屋を出ようとしている瞬間、のイメージ写真。
次ページで、この部屋のディテールを紹介しよう。
80年代再現ルームの詳細
まずは当時のファッションを真似てみた。
続いて、部屋に集まった音楽関連グッズ。
続いてアイドル関連。
続いてAUDIO & VISUAL。
ゲーム関連。
以下、その他グッズ各種。
どうだろうか?
どれも80年代を彷彿とさせる逸品だらけと言えよう。
次のページで、この素敵なグッズたちを提供してくれた読者の皆さんを紹介します。
グッズ提供者の皆さん
まずは杉並区にお住まいの萩原さんから。実際に回収にまわった順番で紹介していきます。
萩原さんご提供グッズ:
βビデオデッキ2台、βテープ(エアチェック)5本、コスモ星丸の人形。高校に上がる頃までベータだったが、レンタルビデオのタイトルが少なかったのでVHSに切り替えた。お借りしたベータテープには緑のルパンの最終回が録画されていた。
受領場所:杉並のご自宅
薗部さんご提供グッズ:
なめねこ缶ペンケース、ブルートレインかきかた鉛筆。なめねこ缶ペンケースの裏には「なめんなよの心得」が印刷されていた。
1つ:人間からえさをもらうべからず。
1つ:またたびの吸いすぎに気をつけるべし。
1つ:ワン公のようにやたらシッポをふるべからず。
1つ:グリースはひげ以外にぬるべからず。
1つ:「ニャーゴ」となくな「ニャン」と鳴け。
1つ:なめられたら、なめかえすべし。
受領場所:墨田区の職場
神上さんご提供グッズ:
ダブルデッキラジカセ、昭和55年1月発行の『銀河鉄道999(劇場版』と『ベルサイユのばら』(アニメ)のポストカードブック、カセットテープ3本。カセットテープにはフットルース、フラッシュダンスなど当時の大ヒット映画のサントラや、ワムなどが入っていた。
受領場所:東京駅
田中さんご提供グッズ:
花柄カバー付きトースター、オーブントースター。オープントースターは、田中さんが生まれた年におばあちゃんが記念に買ってくれたもの。今でも現役で活躍している。
受領場所:新横浜駅
目篭さんご提供グッズ:
富士通FM-8宣伝ポスター/伊藤麻衣子・夏、薬師丸ひろ子乾電池、ノート、ラミカード、松田聖子生写真/グリコポッキーもれなく賞景品、スケバン刑事2VHS全11巻+映画版など当時のアイドル関連グッズ多数。
松田聖子さんの生写真は、ポッキー10個で1回応募出来るキャンペーンにはずれた残念賞としてもらった。ポッキーを一気に100個も食べて虫歯になったとのこと。
受領場所:日吉
植田さんご提供グッズ:
ダブルデッキラジカセ/ソニー製、光GENJIシングル「パラダイス銀河」、進研ゼミホッチキス。ダブルデッキラジカセで当時聞いていたのは、南野陽子、プレンセスプリンセス、ブルーハーツなど。進研のゼミホッチキスは未だに使っている。同じく進研ゼミの時計もお借りしたが、植田さんの家にはその時計しかないらしく、その後、不自由はしていませんか?
受領場所:三軒茶屋
富田さんご提供グッズ:
タブルCDラジカセ。88年にテストで一番になったご褒美にお父様に買ってもらったラジカセ。「かなり大きくて最近邪魔なことに気が付いたのであげます」と富田さん。そんな思い出の品をいいんでしょうか? まだ使える。
受領場所:大森
片さんご提供グッズ:
任天堂ファミリーコンピューター、ファミコンソフト各種、ソニー製ラジオ付きデジタル時計、スノードーム、電話ボックス型貯金箱、スピーカー、セカンドバッグ「VOLKSWAGEN」、1回転してサイコロをふる人形、巨人・原辰徳のレプリカサインボール、手回しカレンダー。たくさんの80年代グッズを大きなスポーツバッグに入れて持ってきてくれた。
受領場所:大田区体育館
ニフティ橋田さん、古賀さんご提供グッズ:
ニフティ橋田さんご提供グッズ:ルナ・マティーノ製ダブルのスーツ、DOMONのシャツ3点。旦那さんが80年代当時着用されていたもの。「あまりパッとしないのですが…」と遠慮しつつ送ってくれたスーツの画像に、僕のハートは打ち抜かれた。
ニフティ古賀さんご提供グッズ:同僚の方から預かったクルクルドライヤー。「初代ですから、初代」と念を押していた貴重な電化製品。
受領場所:ニフティ株式会社下
下平さんご提供グッズ:
つくば万博のマスコット「コスモ星丸」のランプ。1985年、当時15才だった下平さんが万博最終日に買ったグッズ。今でもちゃんと点灯する。
受領場所:渋谷
弊社スタッフ岡屋、提供グッズ:
人生ゲーム。紛失したカードを手描きでおぎなっていた。
主に中学、高校時代に使っていたもの、買ったものなどを実家から持ってきた。
その中に、とんねるずのシングル盤(「雨の西麻布」)とコンサートツアーのパンフレットがあった。80年代に甘酸っぱさを感じる原因の一つかもしれない。
回収の途中、東京駅で神上さんからマイベストテープをお預かりした。軽トラのカーステレオはAMラジオとカセットテープしか聞けなかったので、早速テープを入れると少し音の悪いワムが流れた。
その瞬間、軽トラの中が一気に80年代に戻ってしまった様な不思議な感覚に包まれた。
気づいたら当時にタイムスリップしていたらどうだろう?
あのスーツ、着るかな?
やっぱ着ないな。