コーラ・オーガニックスCEOの ミランダ・カー 氏が目指すブランド戦略:誰もが知る存在とカーボンゼロへの本気度

DIGIDAY

ミランダ・カー氏が2009年にコーラ・オーガニックス(Kora Organics)を立ち上げた当初は、単に情熱から生まれたプロジェクトだった。

スーパーモデルからCEOに転向したミランダ・カー氏は、オーガニック認証を受けた信頼できるスキンケア製品を探していたが、当時米国では選択肢が限られていた。そのため母国オーストラリアのメーカーと連携し、エコサート(Ecocert)のオーガニック認証「コスモス(COSMOS)」を取得した。その後ブランドの事業領域はオーガニックスキンケア製品から拡大し、サプリメントやアロマセラピーなどのウェルネス製品も手掛けるようになった。

2021年以来、コーラ・オーガニックスは持続可能性に重点を置き、まず最初に詰め替え可能なターメリック・グロウ・モイスチャライザー(Turmeric Glow Moisturizer)を、そして最近では4月にアクティブ・アルジー・ライトウェイト・モイスチャライザー(Active Algae Lightweight Moisturizer)を発売している。今後発売される製品には、再生利用素材や再生可能素材、あるいは生分解性素材を、一次包装にも二次包装にも使っていく。

しかしミランダ・カー氏はもっと多くのことをしたかった。そしてコーラ・オーガニックスは4月22日、NPO「クライメイト・ニュートラル(Climate Neutral)」と共にブランドのカーボンフットプリントを測定して削減に積極的に取り組みながら、カーボンクレジット購入によってオフセットを行うことを発表した。たとえば、同ブランドでカーボンフットプリントがもっとも多いのは航空輸送であるため、今後12カ月間で航空貨物輸送を20%策削減するという。クライメイト・ニュートラルによると、二酸化炭素排出量を測定して行動計画を作り、カーボンクレジットを購入するまでには1~3カ月を要し、購入額は年間収益の約0.5~1%になる見積りだ。コーラ・オーガニックスは、成長率や収益について、数値を公表していない。

ミランダ・カー氏はGlossyに、気候中立の取り組みや、コーラ・オーガニックスとウェルネス領域との関係、そして3人の子どもたちに受け継いでいけるものを作りたいという長年の願いについて語った。以下は語られた内容を分かりやすさのために要約し、編集を加えたものである。

コーラ・オーガニックスのクライメイト・ニュートラル認証と、ブランドパーパスには直接的な関係があるか?

「オーガニックの認証を取得することは、作物やその他の原材料への農薬散布が抑えられ、これは環境にとってとても優れていることだ。農薬の使用を避けることで、農薬が作物に付着することも大気や水の中に放出されることもない。私たちが使用し水に流す成分も、より環境に良いものだ。またパッケージは最初から制限されていた。というのもオーガニック認定を受ける場合、成分から包装や成分まで内外のあらゆるものがエコサートコスモスで承認される必要があったためだ。現在では多くの人々がサステナビリティーを理解するようになり、よりクリーンな製品を求めるようになったため、パッケージの観点でも選択肢が広がった。

しかし私は望んでいたのは、単にオーガニック認証を取得することではなく、もっと環境にフォーカスしたものだった。私がクライメイト・ニュートラル認証の取得に興味がある理由は、このことで毎年カーボンフットプリントを測定してオフセットできる、つまり基本的に2022年以降はカーボンゼロのブランドになれるからだ。私たち全員が自分の役割を果たすことができれば、世界に大きな変化をもたらすことができる。これが、私ができる方法でやろうとしていることで、私の子どもたちにも手本を示すことができればと思っている」。

ブランドのこれまでの進化と、今後取り組んでみたいことは?

「2009年に私がこの会社を始めたころは、私の情熱から生まれたプロジェクトだった。その後、仕事の軸足をモデルからコーラ・オーガニックスのCEOに置くようになった2017年からは、あらゆるレベルに関与するようになった。私が掲げるコーラ・オーガニックスの目標は、ブランドを成長させて進化させ、誰もが知るような存在になること。原材料から製造、サステナビリティーに至るまで、自分たちが行うすべてのことを意識してもらいたい。私は自分たちのあらゆる活動を、360度全方位から見ようとしている。

しかし、他の分野へと進出する前に、ブランドのコアを確立し、世界中にその存在感を示すことが重要だ。この会社は私自身が運営しており、外部の投資家はいない。私にとって重要なのは、最高品質の原材料を使い、適切な人材をチームメンバーに迎え、最高品質の製品を開発することに投資を続けていくこと。最終的にはこの会社を、子どもに引き継いでいきたいと考えている。もちろん、将来的に広範囲な分野へと拡大していける潜在的なチャンスにワクワクしている。私は健康やウェルネスに対して強いパッションを持っているので、可能性は無限といえる。私はアイデアや、次の進化はどのようなものになるかを書き留めているが、とにかくたくさんある」。

コーラ・オーガニックスはウェルネスブランドととらえているか、あるいはスキンケアブランドなのか?

「コーラ・オーガニックスは常に心、身体、精神を大切にしてきた。しかし何よりもまず重視したいのは、臨床的に有効でオーガニック認証を受けた、人々にとって健康で結果重視のスキンケアだ。オーガニック認証スキンケアを使うことで心や体、肌を向上させることが当ブランドの柱であるため、たとえばローズクォーツを使って濾過したり、ポジティブな気持ちを少しでも刺激できるよう製品名に『喜び(Joy)』『許し(Forgiveness)』『平和(Peace)』といった肯定的な言葉を用いるなど、私を助けてくれる小さな仕掛けを製品に施すようにしている。あらゆる製品にはそれぞれのストーリーがあり、スキンケア・ルーティンを提供しているので、製品からメリットを得られるだけでなく、私が全身全霊を込めたエネルギッシュな要素を感じてもらえると思う」。

[原文:Miranda Kerr wants Kora Organics to be a household name

EMMA SANDLER(翻訳:田崎亮子/編集:山岸祐加子)

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