会社更生法の申請準備する レブロン はこれからどこへ向かうのか?【ビューティー&ウェルネスブリーフィング】

DIGIDAY

リオーグ・リサーチ(Reorg Research)は、6月10日、レガシービューティ企業のレブロン(Revlon)がその翌週に連邦倒産法第11章(会社更生法)を申請する準備をしていると報道した。報道後にレブロンの株価は53%下落、過去最大の1日の下げ幅となった。同社は、破産の申請を回避する目的で差し迫った債務の満期日の延期について貸手と話し合っていた。同社の資本構造によりこの4年間の黒字転換への取り組みは難航してきた。

一部のメディアやオンラインでは、レブロンの問題は競争激化しているビューティ業界の現状や消費者に対する関連性が理由だと考えられていたが、それは製品よりはむしろ貸借対照表と関係があるのだ。

レブロンの資金繰りの苦難

少し前の話になるが、戦略的代替案を模索していたレブロンが、2019年8月ゴールドマン・サックスに頼ったときレブロンの株価は上昇した。コロナ以前の2019年には、レブロンのブランドのカラースティ(ColorStay)フランチャイズのような製品イノベーションのおかげで、小売店でポジティブな売上成長を遂げていた。会社の一部を売却する可能性はタイムリーな解決策のように思えたものの、レブロンは巧妙な債券交換を行い2020年に破産の危機から立ち直ることができた。当時、レブロンの社長兼最高経営責任者のデブラ・ペレルマン氏は声明の中で次のように述べている。「これは資本構造を強化し、将来の成長に集中できる状態になるための重要なステップである。直面している課題、つまりコロナパンデミックの継続的な影響はまだ存在しているが、我々には最適な戦略があり、コロナの影響に対してそれを実行し続けられると信じている」。

当時の解決策であった債券交換によって債務残高の約70%は完済できたが、実際には財務的に避けられない結末を先延ばしにしただけだった。2022年3月の時点で、レブロンには33.1億ドル(約4470億円)の長期債務があった。

去夏のGlossyビューティポッドキャストで、ペレルマン氏は売却と買収の可能性にはフォーカスしていないことを強調していた。むしろ、同氏は「レブロンのアイコニックな主要ブランドであるエリザベス・アーデン(Elizabeth Arden)や、アメリカンクルー(American Crew)やCDNのように市場でユニークで強力なポジショニングを持つブランドに焦点を当てて、長期的で収益性の高い持続可能な成長を推進すること」に注力していた。破産のニュースが報じられて以来、業界筋は資金繰りのためにブランドを売却することはレブロンの優先事項ではないと述べている。しかし、レブロンの過半数を所有するマクアンドリューズ&フォーブスの創設者であるロナルド・ペレルマン氏コロナパンデミック下で個人資産を売却している。

製品面での成果

5月に公表された2021年の第4四半期と2021年通年のレブロンの最新の収益では、製品面の成功が強調されていた。ペレルマン氏は「第4四半期も当社ブランドの消費者需要は引き続き堅調だった。それは、米国の重要なマスチャネルでのレブロンカラーコスメティックス(Revlon Color Cosmetics)の小売売上高が前年比で30%増加したことからも明らかだ」と述べていた。その四半期の純売上高は8%増加して4億4500万ドル(約61億円)、営業利益は控えめな2400万ドル(約32億円)だった。「メイクアップが復活」というテーマに沿って、カラーコスメ分野のレブロン製品には確かにデジタル面で共感を得ているものもあった。コロナ禍での再開で消費者から大胆な外見を求められていたとき、レブロンはマット口紅の成長の検索ボリュームに貢献したということで、5月にスペイト(Spate)のデータでリーダーの1社として言及されていた。

しかし、スペイトによると、全体的に米国でのレブロンの平均月間検索数は99.6万と、前年比で24.6%減少しているそうである。驚いたことに、かつては大人気だったワンステップヘアドライヤーブラシ(One-Step Hair Dryer Brush)でさえ検索ボリュームが42%減少。スペイトの共同創業者、ヤーデン・ホロウィッツ氏は、このボリュームの低下は2020年と比較して2021年のホリデーシーズンの売り上げが低かったためだと述べている。

ホロウィッツ氏は次のように続ける。「ダイソン(Dyson)はヘアドライヤーカテゴリーで成長を続けているので、それがレブロンの業績に影響を与えている可能性はある。ダイソンがあのようなプレミアム価格で市場シェアを獲得し続けているのは興味深い。レブロンは、ダイソンと比較して、イノベーションでの競争に苦労している可能性が高い。レブロンはメイクアップでは競合しているが、検索の大部分はヘアカテゴリーに関連しており、このカテゴリーは衰退傾向にある」。

ニールセンの最新データによると、5月21日までの4週間でレブロンはカラーコスメティクスに牽引されて好調な売上を記録したという。同社のドル成長率は前年比2.7%だったが、同じこの4週間にユニット成長は-7.9%から-6.2%に改善しているが、それでもまだマイナスである。

まだ残るサプライチェーンやインフレなどの課題

ペレルマン氏がレブロンの3月の決算発表で「サプライチェーンの課題によって同社の需要を満たす能力に圧力がかけられている」と述べたように、このユニット成長の遅れは主にサプライチェーンの問題によるものである。しかし、サプライチェーンの制約への対策と、どんなブランドにとっても原材料の価格は上がっている状況でのインフレ対策が現時点では優先事項だ。同社最大のブランドであるレブロンは大衆消費者にサービスを提供しているため、コストの上昇によって大きな打撃を受ける可能性がある。

「景気刺激策があった昨年の第1四半期と対照的に、インフレの上昇で消費者には特にプレッシャーがある」と述べているのは、シミラーウェブ(Similarweb)の調査・分析担当シニアディレクター、シーマ・シャー氏だ。同氏は、米国におけるRevlon.comの年間ベースのトラフィックの減少を指摘する。「レブロンは破産の主な理由として、サプライチェーンの問題ゆえに製品が入手できなかったことを挙げている。これは短期的にはおそらく解決されないだろう」。

自社のコストを管理する中で、レブロンは消費者の需要への対応を見失ってはならない。だが、それはまた、顧客から忘れられないように、主力ブランドと製品にマーケティング費用と投資を投入しなければならないということである。レブロンが財政を立て直すことができれば、それこそ同社のポートフォリオの業績に対する真の試金石になるだろう。

[原文:Beauty & Wellness Briefing: Where does Revlon go from here?

PRIYA RAO(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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