「何でも協力するよ!」藤子不二雄Aさんが絶賛したコミケ元代表の評論 2人で1人の「藤子不二雄論」執筆秘話

J-CASTニュース

   マンガ家の藤子不二雄Aさん(正しい表記はAを丸で囲む)が2022年4月7日に亡くなったことを受け、河出書房新社から評論「藤子不二雄論―FとAの方程式」(河出文庫)が急遽重版された。本書の著者は故・米沢嘉博さん。コミックマーケットの代表を長らく務め、またマンガ評論・研究の著作も数多く残した人物だ。

   藤子不二雄Aさんと藤子・F・不二雄さんの膨大な業績を1冊に凝縮して評した「藤子不二雄論」には生前の藤子不二雄Aさんも賛辞を送っていた。当時のエピソードを編集者に聞いた。

  • 「藤子不二雄」の膨大な業績をまとめ上げた「藤子不二雄論」

    「藤子不二雄」の膨大な業績をまとめ上げた「藤子不二雄論」

  • 「藤子不二雄」の膨大な業績をまとめ上げた「藤子不二雄論」

「米澤さんのためなら何でも協力するよ!」

   藤子不二雄Aさん(本名:安孫子素雄、以下Aさん)と藤子・F・不二雄さん(本名:藤本弘、以下Fさん)のマンガ好きの少年2人がコンビを組んだのは1951年。「足塚不二雄」ペンネームを1953年に「藤子不二雄」に改めて商業誌デビューする。以後、2人合作の作品も個別に描いていた作品も「藤子不二雄」として発表され、1987年のコンビ解消まで「藤子不二雄」のペンネームが続いた。

   米沢嘉博さんは2006年に亡くなる直前まで20年以上コミックマーケット準備会代表を務め、マンガ評論家としても「戦後ギャグマンガ史」「戦後少女マンガ史」など多数の著作を残した。「藤子不二雄論」は2002年に単行本が出版されたが、2014年に文庫本化された時にAさんが自ら巻末に寄稿を行った。

   本書の編集者の河出書房新社・伊藤靖さんによると、2000年頃、銀座のバーでAさんと偶然出会った伊藤さんは、米沢さんが「藤子不二雄論」を執筆中であることをAさんに打ち明けたところ、

「Aさんは、『米沢さんのマンガ評論は、僕、大好きなんだ。米沢さんのためなら何でも協力するよ!』と嬉しそうに仰ってくれました。すでにべろんべろんに酔っぱらっておられましたが(笑)」

とのことだ。既に雑誌や単行本で様々な角度からマンガ史を論じてきた米沢さんをAさんは当時から評価していたようだ。これが縁となって2014年の文庫本化の際にAさんの寄稿が実現した。「巻末寄稿をA先生にお願いしてみては、と米沢さんの奥様からご提案をいただき、思い切ってお願いしたところ快諾してくださいました」という。

   このエピソードを河出文庫のツイッターアカウントに投稿したところ、「藤子不二雄論」とともにマンガファンの注目も集まった。

Source

タイトルとURLをコピーしました