日刊 ニュースレター 、週末にも配信する企業が増えている:スキムの週末版に見る その理由

DIGIDAY

メディア企業スキム(theSkimm)は、10年近く配信してきた日刊ニュースレターを週末にも拡大する。毎週土曜の朝に新たなエディションを配信することで、これまで以上に購読者へエンゲージしようとしているのだ。新エディションの最初のメールは、4月2日に「デイリースキム(The Daily Skimm)」で、700万人超の購読者に配信された。

スキムは2020年に、商品レコメンデーションと金融の健全性を専門とする「スキム・ユア・ライフ(Skimm Your Life)」と「スキム・マネー(Skimm Money)」のふたつのニュースレターを創刊している。この週末版は、それに続く、新しいポートフォリオ追加となる。これまで、週末はソーシャルメディアを通じてオーディエンスと接触を保ってきた、とスキムでコンテンツ開発担当バイスプレジデントを務めるユージニア・キャシディ氏は言う。だが、同社のチームは、土日はブランドと読者とのあいだのエンゲージメントに「ギャップ」があると感じていた。

スキムは、それまでの1週間に何が起きたかについて、ミレニアル世代の女性読者をキャッチアップさせ、次の1週間への準備をするために、ニュースレターを作成したいと考えた。スキムのオーディエンスは「成長しつつあり、キャリアと家庭作りでかつてないほど忙しい」とキャシディ氏はいう。週末の朝は、「ブランチの時間や、ママ友から遊び場で聞く話題に追いつくために、5~10分の時間を持てる」唯一の時間かもしれない、とキャシディ氏は語る。

「誰もが話題にせざるを得ない記事」

スキムの週末のニュースレターには、最新記事の深い掘り下げや、書籍やオーディオのレコメンデーション、次の1週間に向けたサジェスチョンやリマインダーなどが含まれている。月曜から金曜までのメールは、ニュースや関心事、タイムリーなテーマを手早く扱うことに注力し、週末版は「誰もが話題にするのを避けられない記事」に取り組んでいる、とキャシディ氏はいう。たとえば、第1号では、4月3日のグラミー賞とその1週間前のアカデミー賞のタイミングに合わせて、賞番組の視聴率とその低下について考察した。

読者が目にしているかもしれないが、その週のうちに読む時間がない記事用のセクション「ブックマークド(Bookmark’d)」など、さまざまなセクションもある。「これは、つまるところ我々スキムのセクションだ。毎日これに注力している。読者や読者の友人が見ている記事やウェブサイトすべてを確認してきた。ここには、実に興味深いけれども、平日は読む時間がないであろう記事が2〜3本ある。もう探す必要がない」とキャシディ氏はいう。「ダウンタイム(Downtime)」セクションは、HBOマックス(HBO Max)の新ドラマのおかげで「再び注目を浴びている」ジュリア・チャイルド氏のレシピなど、時間がある週末に読者が取り組めるレシピやプロジェクトを扱っている。ニュースレターのほかのパートでは、ケタンジ・ブラウン・ジャクソン判事の最高裁判事指名投票や、 NCAAバスケットボールトーナメント「マーチ・マッドネス(the March Madness Championship games)」の決勝戦などのビッグイベントのスケジュールのような、来たる1週間と注目ポイントをプレビューしている。

スキムの週末版を制作するチームは、新規採用者3人と、平日のメールを担当するライターのグループ、その他のサポートスタッフで構成されている、とキャシディ氏はいう。チームは、1週間を通して週末版に取り組み、金曜の夜に仕上げる。デイリースキムの平日のメールと似たような編集プロセスと仕組みだ、とキャシディ氏は話す。

週末用ニュースレター第1号のスポンサーは「ウォルマートプラス(Walmart+)」だった。メールが増えれば、スキムの広告主向けのインベントリー(在庫)がより増えるほか、スキムの売上も増える、とキャシディ氏は話す。広告主は、スキムの平日または週末、もしくはその両方のメールに登場する。スキムは、スポンサー付きヘッダーやニュースレターのフル・テイクオーバー、カスタムセクション、アフィリエイトリンクを含む、1日限定の直販キャンペーンを販売しているが、キャシディ氏は料金を明らかにしなかった。

週末版を増やすパブリッシャーたち

ほかのパブリッシャーも、ニュースレタースイートを週末に拡大してきた。11月には、ジ・インフォメーション(The Information)が、毎週金曜日に配信する新しいライフスタイル系ニュースレターを導入し、テック業界が休日にリフレッシュする方法を紹介した。購読は無料で、長編特集記事、ショートインタビュー、レコメンデーション、子育てアドバイスのコラムなどがある。

メールマーケティングプラットフォーム「ライブインテント(LiveIntent)」と提携して、平日にメールを送信しているパブリッシャーのうち、約85%は、週末にもメールを1通以上送信している、とライブインテントでコーポレートコミュニケーションおよびインダストリーリレーション担当シニアバイスプレジデントを務めるアダム・バーコウィッツ氏はメールでの取材に対して述べている。また、平日と週末のギャップは、かつては「より大きかった」が、パブリッシャーが週末の送信をより増やす傾向にある、とバーコウィッツ氏は述べている。

週末のニュースレターを追加するのは、パブリッシャーからのメールを平日に開く習慣が付いている読者をエンゲージし続ける手段でもあるかもしれない。

「土曜の朝の受信箱と火曜の朝の受信箱について考えてほしい」と語るのは、オーディエンス開発エージェンシー、トゥエンティファースト・デジタル(Twenty-First Digital)の創設者でCEOのメリッサ・チョウイング氏だ。「本当に大事なのは、過去数年で非常に混みあった受信箱で目立つことだ」と、チョウイング氏は付け加えた。平日と比べて受信箱にニュースレターが少ない週末は、「SOV(シェア・オブ・ボイス)がより多い」という。

社名は明かさなかったが、その週を要約するニュースレターを週末に送信しているチョウイング氏の顧客のなかには、それ(週末版メール)がもっとも人気で、平日よりも開封率とクリック率が高いところもある。「消費者が座って朝のコーヒーを飲み、見逃した内容を読む時間が少々多かったからだ、といつも思っていた」と同氏は語った。

[原文:Why TheSkimm is extending its daily newsletter to the weekend

Sara Guaglione(翻訳:矢倉 美登里/ガリレオ、編集:猿渡さとみ)

Source