日本のものづくりは世界に誇れる強みだが、その強みを発揮し持続させていくには、技術の追求のみならず、顧客のニーズに応じてその強みやメッセージを届けられるビジネスモデルの構築が必要だ。さらに、コロナウイルスの感染症の状況も鑑みると、EC販売データの活用は不可欠である。顧客の多様なニーズを掴み、販売促進施策を組み立てていくことは、顧客のLTV向上にもつながるが、そのための開発投資は避けられない。低コスト/高効率で実現できる方法を模索している企業も多いだろう。
月桂冠株式会社は、江戸時代初期の1637年(寛永14年)に創業し、京都伏見で最古の酒蔵だ。明治時代には日本酒メーカー初の研究所を創設するなど、酒造りに科学技術を導入し、醸造技術に革新をもたらすとともに、事業を拡大してきた。近年ではアメリカや中国など海外にも拠点を置き、日本だけでなく世界に向けて日本酒を販売している。
ECサイトでの販売も、順調に会員を獲得しながら拡大しているが、「売上をさらに伸ばすには、既存顧客のデータをもとに、より高度な販売促進施策や分析を実施することが必要だと考えた」と、営業推進部広告宣伝課の矢野史寛氏は話す。「ただ、弊社のEC部門は人数が少なくそこまで工数を割けないため、我々が導入しているカートシステムのfutureshopと簡単に連携ができ、かつ高度な販売促進施策や分析を実施できるツールを探していた」のだという。
数あるサービスのなかで月桂冠が導入を決めたのが、データマーケティングツールのb→dashだ。b→dashを活用することで、「コストを抑えながら、LTV向上につながるような施策や分析を実現できている。またノーコードで必要なデータの準備ができるので、運用負荷も低減できている」と矢野氏は語る。同社が具体的にどのような観点でマーケティングツールを選定し、どのように活用しているのか、矢野氏にインタビューを行った。
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――データマーケティングツールの導入を検討したきっかけは何だったのでしょうか?
ツール導入の目的は、ECサイトの構築にあたり導入していたカートシステムのfutureshopと連携し、futureshopのデータをもとに施策や分析を行うことで、EC売上を向上することでした。
ECサイトの構築や顧客管理という点で、futureshopは必要機能を網羅しているツールでしたが、ECサイトの会員数も順調に増え、既存顧客のデータをもとに、より高度な販売促進施策や分析を実施していきたいと考えるようになりました。
たとえば、施策の面において、全顧客への一斉配信や、簡単なセグメント配信はできますが、過去の購買履歴や、メールの開封やクリック、アクセスログなどの行動履歴に応じてF2転換を促すステップメールなどは、futureshopだけではできません。分析の面においても、商品カテゴリごとの買い回り分析やRFM分析など、複数のデータを組み合わせた詳細な分析はできませんでした。
futureshopからCSVデータを吐き出し、これらの施策や分析を実施する方法もありましたが、セグメント配信データや、分析用のデータ集計は手作業で実施する必要があり、膨大な工数が発生してしまいます。弊社のEC部門はあまり人数が多くなく、そこまで工数を割けない状況だったので、実施したい施策や分析があるにも関わらず、簡単な施策や分析を実施するにとどまっていました。
そこで、futureshopと簡単に連携ができ、futureshop内のデータとECのアクセスログを統合して、EC売上の向上に寄与する高度な施策や分析が可能なマーケティングツールの導入を検討しはじめました。
月桂冠がb→dash導入前に抱えていた課題
――そこでb→dashを導入したのですね。何が決め手になったのでしょうか?
より高度な施策や分析を行おうとすると、futureshop内の顧客データ、受注データ、商品データと、ECサイトのアクセスログデータをツールに連携して、加工/統合する必要があります。
futureshopなどのカートシステムとマーケティングツールを連携しようとすると、連携作業にSQLの知識が必要なので、社内のシステム担当に依頼するか、社外のシステムベンダーに発注しなければなりません。また、連携後のデータの加工や統合にもSQLが必要なので、工数やコストがかかってしまいます。そのため、コストと工数を抑えながら、施策や分析ができる方法がないかと複数のツールを検討しました。その際に、b→dashの話を聞いたのです。
b→dashとfutureshopは標準連携が可能なので、b→dashのアカウント情報をfutureshopへ連携すれば、すぐにデータを自動連携できます。futureshopのデータを都度連携する必要がないので、工数も削減でき、かつ施策や分析の実施スピードを早めることができる点が魅力的でしたね。
また、b→dashには、Data Paletteというデータの加工/統合を行う機能があるのですが、このData Paletteを活用すると、SQLの知識がないメンバーでもノーコードでデータ加工/統合ができます。社内のシステム担当に依頼したり、社外のシステムベンダーに発注することなく、簡単にやりたい施策や分析が実施できるはありがたいです。
Data Paletteを活用すると、SQLの知識がなくてもノーコードでデータ加工/統合ができる
――b→dashを使って、どのようなことが実現できましたか?
先ほどお話したように、b→dashのData Paletteを使えばノーコードでデータの準備ができます。また、futureshopとの連携も非常に簡単なので、ほかのツールを導入する場合に比べ、大幅に工数を削減できます。ですが、導入時に別のプロジェクトが動いていたこともあり、その工数も割くことができない状況でした。
しかし、b→dashでは「オンボーディングプログラム」というものがあり、施策や分析に必要なデータの準備作業をカスタマーサクセス担当の方が代行してくださいます。そのため、我々がデータの準備作業をすることなく、導入後約2カ月で、もともと実施したかった施策や分析だけでなく、約100種類のEC業態における鉄板施策や分析を実施できる環境を初期構築していただきました。
実際に、futureshopのデータとb→dashのデータを掛け合わせることで、単純にメールを配信するだけではなく、過去の購買履歴や行動履歴に基づいて、送るコンテンツを出し分けるシナリオも実現できています。ほかにも、広告施策の一気通貫分析をもとに、LTV向上につながる新規顧客の獲得増加施策も実現できています。コストを抑えながら、LTV向上などのKPIを達成するのに役立っています。
また、それらのKPI改善施策を実施する際、SQLなどの知識がなくても、ノーコードで施策や分析に必要なデータの準備ができるので、運用負荷も低減できています。
「b→dashの活用により、LTV向上につながる新規顧客の獲得施策を実施できている」と語る矢野氏
――b→dashの導入を検討されている方々へメッセージをいただけますか?
弊社のように、futureshopなどのカートシステムを導入・活用している企業は多くあると思いますが、カートシステムだけでは、より踏み込んだ施策や分析ができなかったり、実施しようとすると、膨大な工数やコストがかかってしまうことを課題に感じられているケースは多いと思います。
もし、futureshopを導入されている企業様で、ツール連携を簡単に実現し、データの連携やデータ加工/統合をエンジニアではないメンバーでも運用できるようにしたいのであれば、b→dashの利用は適しているかなと思います。
さらに、導入後のサポートも手厚く、設定に関するフォローはもちろん、オンボーディングプログラムにより、施策や分析に必要なデータを初期構築いただけるので、導入後すぐに施策や分析を実施できるのも魅力です。我々のようにデータの活用にあまり工数を割けない会社にとって、b→dashはおすすめだと思います。
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