2.5Gbps対応で4千円以下! AnkerのUSB Type-C接続LANアダプターを使ってみる【イニシャルB】

INTERNET Watch

 Ankerから最大2.5Gbpsの通信に対応したUSB Type-C接続の有線LANアダプター「Anker PowerExpand USB-C & 2.5Gbps イーサネットアダプタ」が発売された。このジャンルの製品は、中身はRealtekで外観だけが違う製品が多いのだが、本製品は、Ankerというブランド力でも勝負している製品に仕上がっている。実際の製品をチェックしてみよう。

収穫を得るのは誰か?

 コンシューマー市場で2.5Gbpsのネットワークが普及しつつある今、このニッチな市場で勝者となるのは、果たしてどのメーカーなのだろうか?

 国内での事情で言えば、2.5Gbps対応製品を手に届く価格で、広く販売を開始したのはプラネックスやバッファローであり、最近、アイ・オー・データ機器やエレコムなどの参入が続いている。

 言わば、この畑は、小さいながらも、プラネックスやバッファローが種をまき、耕してきたわけだが、果たして、最終的な実りを誰が収穫するのかは、まだ見えてこない。

 そんな中、さらなる市場参加者として登場したのがAnkerだ。

 バッテリーやケーブルで著名な同社だが、ネットワーク機器もわずかながら取り扱っており、「アダプター」というオーディオやHDMI変換ケーブル系製品と同じジャンルで「Anker PowerExpand USB-C & 2.5Gbps イーサネットアダプタ」もラインアップに加えられている。

Anker PowerExpand USB-C & 2.5Gbps イーサネットアダプタ

 同社の製品ラインアップの中では、メジャーな製品とは言えないのは確かだが、製品のデザインやケーブルの素材などは、同社の従来製品と同じタイプのもので構成されており、逆にネットワーク機器とは異なる「アダプター」感が、この製品の良さにもつながっている。

 個人的には、開発や価格面での努力の姿を間近で見てきたプラネックスやバッファローが、この畑でしっかりと成果を収穫してほしいと願っているが、もしかすると、実った稲穂を刈り取っていくのは、別なのかもしれないと感じ始めている。

高耐久ナイロン+アルミ素材という魔力

 では、製品を見ていこう。本製品で採用されているチップは、もはやこの分野でのド定番となったRealtek製となる。

 現状、2.5GBASE-T対応で低価格帯のUSB接続有線LANアダプターは、チップのリビジョンの違いはあるにせよ、ほぼRealtek製で中身に大きな違いはない。

 そこで、各メーカーは独自の訴求を打ち出しており、丁寧なマニュアルと手厚いサポートだったり、価格だったりと工夫してきたわけだが、本製品の差異化のポイントは「Anker」らしさだ。

 仮にロゴがなかったとしても、全体的な質感とケーブルあたりから、「Ankerかな?」と思わせるデザインはさすがで、モバイルバッテリーやケーブルなど、他の製品との統一感がしっかりと実現されている。

グレーのアルミ筐体やメッシュの高耐久ナイロンがいかにも「Anker」らしい

コネクタはUSB Type-Cとなる

 個人的には、無骨ないわゆるネットワーク機器らしいデザインが好みなのだが、一般ウケするのは、間違いなくこちらだろう。

 マットなグレーでメタル感があるアルミ素材は落ち着いた印象があり、角が丸められた形状は、いかにもAnkerっぽさにあふれている。本体から伸びた12cmほどのケーブルは、メッシュ状に編み込まれた高耐久ナイロンで、同社が販売しているUSBケーブルで採用されているものと同じだ。

 このケーブルは、少し固く、取り回しの融通が利かない印象があるが、グイッと曲げると完璧ではないがある程度は形状を保持してくれるようになっており、何より丈夫に出来ている。

ケーブルは若干固め。これがメリットでもあり、デメリットでもある

「Surface Go 2」に装着した様子。ケーブルが固いので、このように浮いてしまうとコネクタへの負荷が気になるし、横方向にも場所を取る

 この手の製品は、持ち運ぶうえ、抜き差しの機会が多いので、軽いことや丈夫なことは、それだけでもメリットなのだが、本製品はこうした条件を備えている。

 逆に、デザイン重視で、放熱用のスリットなども見当たらないため、安定性に問題ないのかと心配になるが、実際に1週間ほど使ってみたが特に動作に問題はなかった。

 ただ、熱はそれなりに発生する。本体で放熱する方式のため仕方がないとは言えるが、手で触ると暖かく感じられる。

 冬場はちょっとしたカイロとしても活躍しそうだ。

ジャンボフレーム設定が必要ならRealtek製ドライバーを

 使い勝手は良く、USBポートに接続するだけですぐに認識され、ドライバーをインストールする手間がない。今回は、Windows 11をインストールした端末に接続してみたが、問題なく認識され利用することができた。

 ドライバー不要で使えると、外出先で別のPCを利用する場合にも重宝するうえに、会議室などに本製品を常備しておくことでウェブ会議の際などにも、すばやくPCを有線接続できるメリットがある。

 こうした点は、確かに「アダプター」的な使用感と言えそうだ。

 しかしながら、標準でインストールされるWindows標準ドライバーでは、ジャンボフレームの設定ができないなど、物足りない部分もある。

 このため、今回は以下のドライバーを手動でインストールして利用した。これでジャンボフレームなど、アダプターのプロパティから詳細な設定が可能になる。なお、Linux用ドライバーなども以下のページからダウンロードできるので、Windows以外で利用する場合はこちらを利用するといいだろう。

RTL8156/RTL8156Bドライバー

Windows標準ドライバーではジャンボフレーム設定なし

必要な場合はRealtekの最新ドライバーを利用する

 取扱説明書は、同梱されるクイックスタートガイドだけとなる。簡易的で、ほとんど説明はないが、つなぐだけで認識するので、不要と言えば不要だろう。

 欲を言えば、LEDの説明くらいあっても良さそうだが、緑点灯の「Conncection Indicator」でリンクしていること、オレンジ点滅の「Signal Indicator」で通信していることは分かる程度なので、これも見れば分かるというところなのだろう。

 速度的には問題なく、iPerf3のテストで2.3Gbps前後の速度を確認できた。テスト時、Windows標準ドライバーよりも、Realtek製の最新ドライバーの方が速度的には安定しているように見えたので、個人的には上記ドライバーの利用をお勧めする。

iPerf3のテスト結果。速度は問題ない

後発ながら人気が出そう

 というわけで、「Anker PowerExpand USB-C & 2.5Gbps イーサネットアダプタ」を実際に使ってみたが、若干、取扱説明書の簡易さ、発熱とケーブルの固さ(これはメリットとも言えるが……)、ドライバー周りが気になるが、デザイン面はやはり魅力的だ。

 Type-Cのみの対応も割り切ったものだが、Type-Aを使わないのであれば、逆にコネクタ周りがスリムだし、他社製のように変換アダプターを使わずに済むのでスッキリしていて好感が持てる。

 実売価格(10月14日時点)もAmazon.co.jpで税込3990円と、税込3791円のプラネックス「USB-LAN2500R(Type-A)」と同等で、税込5918円のバッファロー「LUA-U3-A2G/C(Type-A対応だがType-C変換アダプター付き)」や税込5180円のエレコム「EDC-QUA3C-B(Type-A対応だがType-C変換アダプター付き)」よりも安い。

 こうなると、後発ながら、市場での存在感は無視できないと言えそうだ。個人的には、ある程度分かっている人向けの製品と言いたいが、いかにも一般ウケしそうな製品で、市場の実りを一気に刈り取っていくだけの実力は備えているという印象だ。

Source

タイトルとURLをコピーしました