民家、神獣、エビ棺桶「みんぱく」行くならこれを見て!

デイリーポータルZ

大阪にある国立民族学博物館「みんぱく」。

「みんぱく」が大好きなライターにみどころを聞きました。

「みんぱく」はいきなり行って全部見ようとするとボリュームがありすぎて途方にくれてしまうので、行く前にぜひ参考にしてみてください。

みんな大好き「みんぱく」

2月に公開されたライター大北さんの記事「大阪観光の最終兵器は国立民族学博物館」が最高におもしろかった。

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記事ではみんぱくに勤務する教授にも話を聞いています。

この記事を読むだけでも「みんぱく」のすごさがわかってもらえると思うのだけれど、実際に行ってみると本当にその情報量に圧倒されてしまい、とてもじゃないけど一日では見切れないぞ…と途方にくれると思うのだ。

僕も去年行って圧倒されてきた。

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「みんぱく」は多くの展示物がガラスケースに入っていないのもいい。すぐ目の前に実物があるのだ。

たとえば世界中の仮面を集めたコーナーだけでも1日見ていられるくらい充実している。

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たまらん。
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見ていくときりがないです。

入口から出口まで、ぜんぶが見どころと言ってもいい「みんぱく」だが、今回は実際に「みんぱく」に行ったことがあるライターに、それぞれの一押しを教えてもらった。

ぜひ次行くときの参考にしてみてください。

いったん広告です

拙攻さんの一押しはタシュケントの民家

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拙攻(せっこう)

膨大な展示品の中で一番思い入れがあるのは、やっぱり中央・北アジア展示場にある「タシュケントの民家」です。

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タシュケントに実在する家屋をモデルに造られたこの模型は、中庭の植え込みから、縁台の上の茶器、玄関の住所表記にいたるまで、現地の暮らしの景色をありのままにいきいきと再現しています。旅行で大阪を訪れた10代なかばの頃。はじめてこの展示をみたときに、心をぐわしと鷲掴みにされました。見ての通り全体的に古くさくて土ぼこりにまみれているのですが、なんて美しい家なのだろうと。

それからおよそ10年後に念願のタシュケントを訪れ、その魅力にどっぷり浸かり何度も旅行することになるのですが、おれにとって中央アジアへの憧れの入り口には、この展示模型があったというわけです。

今でも年に一度はみんぱくに遊びに行きます。模型のサイズはかなり大きくて、一辺が2mくらいのほぼ正方形。模型の周りをぐるぐる何周もしながら、あらゆる角度から舐め回すように眺めていると、だんだんとタシュケントの街に入り込んでいくような没入感が味わえます。

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みんぱくといえば、広報誌(機関誌)も魅力的。ライトで気軽に楽しめる「月刊みんぱく」と、格調高くも知的好奇心をくすぐる「季刊民族学」。定期的に送られてくるこの二誌が暮らしの栄養剤になっている

 

まいしろさんの一押しはエビ棺桶

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まいしろ

まずは、何も考えずにこの写真を見て欲しい。

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「エビかな?」と思った方、正解だ。これは人ぐらいの大きさの巨大なエビである。

ではなぜ、人ぐらいの大きさなのか。それはこれが棺桶だからだ。

これはアフリカ・ガーナ南部の棺桶。

この地域では、故人の仕事や趣味にちなんで、エビやビール瓶のようなユニークな形の棺桶を作るという。

「どうせ入るなら、こんな棺桶に入りたい!」という、今まで感じたことがない感情を掻き立ててくれるこちらの傑作。みんぱくではなんと無料ゾーンで見ることができる。

日本広しと言えども、こんな最高のエビを無料で見せてくれるのは、たぶんみんぱくだけだろう。ぜひ全員今すぐ見に行って欲しい。

 

続いて紹介するのは、ザンビアのニャウ・ヨレンバだ。

ニャウ・ヨレンバは、儀式のときに現れる野生動物。森の奥からやって来て、死者の魂を連れ去るという。

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が、このニャウ・ヨレンバ、見たらわかるように中には人が入っている。

村の男性たちが、儀式の前にこっそりかぶりものを作り、動物のふりをしてやって来るという。

迎え入れる女性の方といえば、中身は村の男性だとうすうすわかっているらしい。しかし、野暮なので口には出さず、最初から最後まで野生動物として接してあげているそうだ。

せっせと野生動物のふりをする人も、知っていて動物として接する人も、どっちもいい。

ザンビアの最高の風習ニャウ・ヨレンバ、ぜひこれからも末永く残って欲しい。

 

最後はヨルダンの民族衣装。

写真だと伝わりにくいのが悔しいが、上から下まで3メートル以上もある巨人サイズの服である。

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ここまで大きいと、服というよりもう「布」だ。どうやって着ればいいのかもわからない。

が、みんぱくではそんな途方に暮れた人のために、着付けの動画を公開している。いきなり3メートルの服を着ることになったときのためにも、ぜひ実際に見て欲しい。

こーだいさんのおすすめは神獣「バロン」

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こーだい

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東南アジアコーナーの神獣「バロン」

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東アジアコーナーの民族衣装

大北さんが「1日じゃ見終わらない」と書いておられて「やっぱりそうだよね!」と膝を叩きました。私の場合も、展示を一応一通り見たと言えるようになったのはたぶん5回くらい通った後だった気がします。それでも「こんなんあったっけ?」という展示物に出くわすことが今もあります。

好きな展示物が多すぎて見どころと聞かれても「全部」としか言えないんですが、東南アジアコーナーにいるバリ島の神獣「バロン」には来館すると必ず挨拶するようにしています。日本の獅子舞とたぶんルーツは同じで、そこに異国情緒が加味された姿がすごくかっこいいんです。横から見て胴体の長さに驚いたり、直近で見て細かい装飾を堪能したり、展示物が剥き出しで置かれているからこその楽しみ方をさせてもらっています。

細かい装飾といえば、東アジアコーナーに展示された少数民族の衣装もすごいです。ため息が出るくらい繊細で美しい装飾が施されていて、これを作った人たちよりもはるかに余裕のある生活をしているはずなのに、素っ気ない服ばっかり着てる俺ってなんなのよ?って思ってしまいます。これも顔を近づけて舐めるように観察しています。

それから展示とは違うんですが、図書館に設置された掲示板が最高でした。「この文字が読める人がいたら、担当の研究室まで連絡ください」と書かれた下に未解読文書のコピーが大量に貼り出されてるんです。まるで落し物の持ち主を探してるみたいですが、読める人が現れたことがあるのか猛烈に気になります。

みんぱくへ行こう

大北さんが記事で書いているように、みんぱくというのは研究施設で、表に展示されているものは実はごく一部、実際の収蔵品はこの30倍くらいあるのだという。世界の情報をそんな一か所に集めちゃっていいんだろうか、重力がおかしくなったりしないか。これからも行くたびにびっくりして帰ってきたいと思う。

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