凶暴なカワウソの群れが人やペットを襲う事件がアラスカ州で相次ぐ

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by USFWS Mountain-Prairie

アメリカ・アラスカ州のアンカレッジ市で、カナダカワウソが人や犬を襲う事件が発生し、州当局がカナダカワウソの捜索を行っていると報じられています。科学系ニュースサイト・Live Scienceによると、2021年9月にはアンカレッジ市内でカワウソの襲撃事件が3件発生し、うち1件では子どもが負傷しているとのことです。

River otter attacks 9-year-old boy at East Anchorage pond
https://www.adn.com/alaska-news/wildlife/2021/09/05/river-otter-attacks-9-year-old-boy-at-east-anchorage-pond/

A group of violent otters is mysteriously attacking people and dogs in Alaska | Live Science
https://www.livescience.com/otter-attacks-in-alaska

9歳のエイデン・フェルナンデス君が弟と一緒に池にいる4匹のカナダカワウソを撮影していたところ、そのうちの1匹が群れから突然離れてエイデン君に襲いかかりました。エイデン君は慌てて逃げたものの、つまずいて転んだところを複数のカワウソにかまれました。

母親のティファニー・フェルナンデスさんが地元メディアのAnchorage Daily Newsに語ったところによると、エイデン君の太ももの後ろにはカナダカワウソの牙の痕が2つ、太もも前部に1つあったそうです。また、背中にも傷があったとのこと。エイデン君はすぐに救急病院に運ばれ、狂犬病ワクチンを接種しました。


カワウソが他の動物を襲う事件はまれにあるそうで、2011年に発表された研究によれば、アメリカでは1875年以降、野生のカワウソの襲撃事件が39件報告されているそうです。そのうちの15件はフロリダ州で発生しており、加害者となったカワウソのうち24匹は狂犬病を患っていました。

しかし、エイデン君の事件を含めると、アンカレッジ市では2021年9月下旬だけで3件のカナダカワウソによる襲撃事件が報告されており、襲われている犬を助けようとした女性や、別の犬が襲われたとのこと。さらに、2019年には2匹の犬が湖で泳いでいるところをカナダカワウソによって水中に引きずり込まれた事件もあったそうです。この時は、飼い主が湖に飛び込んで犬を助けたため、命に別状はありませんでしたが、犬の体にはかみ傷や切り傷があったとのこと。

アラスカ漁業狩猟局(ADFG)の野生生物学者であるデヴィッド・バトル氏は、一連の事件に関わっているのは、特定のグループのカナダカワウソだけではないかと予測しています。カナダカワウソの群れは子連れの母親あるいは複数の独身のオスで構成されますが、複数のカワウソが襲いかかったという点から、バトル氏は母親が子どもを守るために襲いかかったのではなく、複数のオスで構成されたグループによる犯行だと推理しています。


従来の学説に基づけば、「カナダカワウソの攻撃は犬に対する防御本能である」と解釈できますが、バトル氏は「ほとんどのカワウソは人や犬に対してここまで強い反応を示すことはありません。カナダカワウソは好奇心旺盛な動物ですが、人や犬に対して攻撃的なことはあまりありません」と述べ、何らかのきっかけで人や犬に対して攻撃的な行動を取るようになった可能性を指摘しています。

ADFGは一連の事件の加害者となるカナダカワウソの群れを捜索していますが、カナダカワウソは固定された縄張りを持たず、水路を伝って広範囲に移動できることから、捕獲するのは難しいのではないかとバトル氏は述べています。

by Cacophony

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