控えめに言って最高──。つい先日、群馬県の大泉町を初めて訪れた私、P.K.サンジュンは、久々に震えるほど感動した。というか、ここはマジで群馬なのか? いいや、日本なのか? それくらい大泉町はブラジルでしかない。
残念ながら1度もブラジルに行ったことが無いことはさておき、それでも大泉町を訪れた多くの人が「ここは日本なのか?」と錯覚するハズ。先日デビューした私が言うのもなんだが、大泉町はもっともっと多くの人に知って欲しい超優秀な観光スポットだ。
・日本のブラジル
大泉町観光協会のホームページによると、大泉町の人口の2割は外国籍だという。そのうち最も多いのがブラジル国籍で、大泉町の「ざっと10人に1人はブラジル人」とのことである。
なぜ大泉町にブラジル人が多いのか? 理由は大泉町にスバルやパナソニックの工場が多くあったこと。1990年以降、人手不足に陥った大泉町は、かつてブラジルに移住した日系ブラジル人を多く受け入れたらしい。
大泉町はただ単に法律を整備しただけではなく、言葉・文化・習慣の違う人たちがともに安心して快適な生活が送れる「秩序ある共生のまちづくり」を目指し、サポート体制を確立。結果、大泉町は日本屈指のインターナショナルタウンへと変貌を遂げたとのことである。素晴らしいぜ、大泉町。
・東京から車で2時間
でもって、かねてから「大泉町に行ってみたかった」という当サイトのYoshioに誘われ、一緒に大泉町に出掛けることに。都内からは高速道路を使っておよそ2時間、最寄りのインターチェンジは北関東自動車道「太田桐生IC」か、東北自動車道「館林IC」だ。
さて「そろそろ目的地付近かな?」なんて思いつつ窓の外に目をやると、そこには妙な違和感が。よくよく見ると中心部に進むにつれ、外国語だけの看板が多く目に飛び込んでくる。その多くはブラジルの公用語「ポルトガル語」で書かれており、どういう意味なのかはサッパリわからない。
「もしかしたら大泉町は想像よりも遥かに “ブラジルブラジル” しているのでは……?」と思いつつ、今回の目的地であるスーパー「キオスケ・ブラジル」に到着した瞬間、疑問は確信に変わった。
ブラジル感パねぇぇええええ!!!!
・日本っぽさZERO
「キオスケ・ブラジル」の周辺には飲食店や美容室が多く立ち並んでおり、その多くがポルトガル語の看板を掲げている。あまりにもポルトガル語が多すぎて「PIZZA-LA」の看板がポルトガル語に見えてしまったほど、ポルトガル語率は高い。
さらに「キオスケ・ブラジル」に入店すると、そこには異国情緒あふれる外国特有の香りが。スパイシーというか、活気がある香りというか。とにかく、日本ではなかなか巡り合えない “圧倒的な現地感” がそこには満ち溢れていた。
お客さんも南米系と思われる人が多く、この時は1人も日本人の店員さんは見ていない。会計の際の「レジ袋はいりますか?」という問いかけも、基本的には全てポルトガル語である。唯一「オブリガード(ありがとう)」だけしか理解できなかった。
・グルメも最高
で、今回「キオスケ・ブラジル」を目指した理由は大きく2つ。1つはブラジルっぽい食材を購入したかったこと、そしてもう1つが「店内にある食堂がめちゃめちゃウマい」と聞いていたからだ。スーパーで美味しいブラジル料理が食べられるなんて、至れり付くせりではあるまいか。
注文したのは「イチボのステーキランチ(1400円)」と「フェイジョアーダ(1300円)」の2品。フェイジョアーダはブラジルのソウルフードと呼ばれる料理で、簡単にいえば「肉と豆の煮込み」である。これをライスと菜っ葉(ケール?)の炒め物といただくのが定番だ。
待つことおよそ15分。到着した料理はいずれも超ボリューミー! さらに言えば両方とも激ウマ!! イチボのステーキは赤身肉のウマさが口の中に広がり、ガーリックのパンチがガツンと効いている。ほどよい酸味の角切り野菜のソースも単なる絶品だ。
フェイジョアーダはシュラスコ食べ放題の店でちょっと食べたことがある程度であったが、豆・肉・ソーセージ・豚の尻尾(?)がトロリと煮込まれた味わいは、濃厚かつまろやかな口当たり。見た目ほど味にクセはなく、勝手に「ブラジルのおふくろの味」を連想した。
全体的に味は「日本人の味覚には1歩も寄せていない感」がすごく、逆にそれがイイ! まさか群馬県でこれほど濃密なブラジル体験ができるとは……!! この日は2時間弱しか滞在出来なかったが、大泉町……今度は1日かけて巡ってみたいほど気に入った。
というわけで、群馬県の大泉町は “ほぼ現地” と申し上げて差し支えないくらいブラジル感のスゴい町である。コロナの影響でしばらく海外旅行へ出かけていない方などには、自信を持ってオススメだ。