予算案賛成の国民民主に議員苦言 – 階猛

BLOGOS

21日、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナの領土の東端に「ドネツク人民共和国」、「ルハンスク人民共和国」が独立したことを承認。22日にはロシアが両「共和国」と「友好協力相互支援協定」を結びました。この協定に基づき、24日にロシアは、両「共和国」から支援の求めがあったとしてウクライナへの侵攻を開始しました。すでにウクライナ各地で甚大な人的・物的被害が発生し、社会活動、経済活動が麻痺しています。

今回の侵攻の目的について、プーチン氏は「ウクライナ政権からの愚弄と虐殺にさらされてきた人々の保護であり、そのためにウクライナの非軍事化・非ナチス化を追求していく」と述べましたが、事実無根であり、自己矛盾です。国連憲章は、加盟国に対し、他国の領土保全や政治的独立に対抗して武力を行使することを禁止しています。今回のロシアの行動は、明らかにこれに反するものです。

この暴挙に対してウクライナは、国連憲章で認められた自衛権を行使することができます。ただし、NATO(北大西洋条約機構)に加盟していないため、欧米諸国と共に集団的自衛権を行使することはできず、軍事大国のロシアに単独で立ち向かうしかありません。日本を含めた主要国は、経済制裁によってロシアの侵攻を止めようとしていますが、これも容易ではありません。ロシアは、天然ガスをEUに大量に輸出し、世界第二位のアルミニウム供給量を誇り、小麦やとうもろこしの世界的な穀倉地帯です。長期にわたってロシアへの経済制裁を続けていくと、ロシアとの貿易が途絶えて自分たちの首を絞める危険もあります。

とはいえ、日本として、軍事力によって大国が小国を支配下におさめる行動を傍観することはできません。単にウクライナや欧州の問題にとどまらず、日本が位置する東アジアを含めた国際社会の秩序を壊しかねないからです。「対岸の火事」ではなく、当事者意識を持ってロシアのウクライナ侵攻を止めなくてはなりません。そのためには、ロシアの最高権力者であるプーチン氏を説得することが不可欠です。日本は、安倍政権時代に何度も首脳会談を行い、いまだ北方領土問題は決着しないものの、経済協力は進めてきました。そのパイプを今こそ生かし、プーチン氏と事態収束に向けた話し合いをすべきです。

改めてプーチン氏の独裁的で強権的なやり方を目の当たりにし、「絶対的権力は絶対に腐敗する」というイギリスの歴史家アクトンの言葉を思い出しました。ロシアのようにならないためにも、政権を厳しく監視し、政権に代わり得る野党の存在が極めて重要です。国民からいかに税金を集め、いかに配分するかを決めるのが来年度予算案であり、政権の重要な権力行使です。野党の役割を自覚していれば、これに賛成することなどあり得ないはずです。苦楽を共にしてきた仲間が多い国民民主党の今回の判断は、理解しがたく極めて残念です。

Source

タイトルとURLをコピーしました