新型コロナウイルスを「破壊」してくれるマスク素材が開発される

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新型コロナウイルスを構成するタンパク質を破壊する酵素の働きにより、ウイルスを捕獲した上で失活させることができるマスク素材が開発されました。市販品としては最高クラスの予防効果を持つN95マスクをさらに上回るマスクの登場により、ウイルスの拡散が大幅に抑制できると期待されています。

Aerosol capture and coronavirus spike protein deactivation by enzyme functionalized antiviral membranes | Communications Materials
https://doi.org/10.1038/s43246-022-00256-0

University of Kentucky researchers develop an | EurekAlert!
https://www.eurekalert.org/news-releases/959504

New Face Mask Material Can Capture And Deactivate Coronavirus Particles
https://www.sciencealert.com/newly-designed-face-mask-can-capture-and-deactivate-coronavirus-particles

新型コロナウイルスなどのウイルス対策としてマスクが非常に有効なことはよく知られています。しかし、マスクの多くはウイルスを含む粒子を捕獲して吸い込まないようにすることができるだけで、マスクに付着したウイルスはそのままなので、マスクの外側を手で触ったり使用済みのマスクの取り扱いが不適切だったりすると、感染リスクが高まってしまう懸念があります。

そこで、アメリカ・ケンタッキー大学のディバカー・バッタリヤ教授らの研究チームは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)ポリメタクリル酸(PMAA)をスポンジ状にした微多孔膜に、市販の洗剤にも使われている抗ウイルス酵素のサブチリシンを加えた素材を開発しました。


そして、この膜を新型コロナウイルスの表面にあるスパイクタンパク質で作った合成粒子でテストしたところ、100ナノメートルサイズのエアロゾル粒子の98.9パーセントをカットすることができたとのこと。これは、微粒子の少なくとも95%をキャッチするN95マスクを上回る数値です。

しかも、新素材に付着したスパイクタンパク質は、接触から30秒以内に完全に破壊されてしまいました。新型コロナウイルスはスパイクタンパク質を使って人間の細胞に感染するため、この新素材でマスクを作れば表面に付着した新型コロナウイルスを速やかに不活性化できると考えられます。

研究チームによると、この新素材を使ったマスクの製造コストはN95マスクと同じとのこと。しかも、N95マスクが使い捨てなのに対して新素材のマスクは数日間使い続けることができるため、廃棄物として排出される使用済みマスクの量を減らすことにもつながります。

バッタリヤ教授は「この新素材は、N95マスクのようにウイルスをろ過することが可能な上に、ウイルスを完全に不活性化する抗ウイルス酵素を含んでいます。このイノベーションは、新型コロナウイルスに対する新たな防御層として、ウイルスの拡散予防に役立つでしょう」と述べました。

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