ウェッブ宇宙望遠鏡、次の恒星間天体を観測できるかも

GIZMODO

現在、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)は初観測に向けて準備を続けていますが、リサーチャーたちは太陽系を通過する天体を観測するチャンスも楽しみにしているようです。

開発コスト100億ドルのJWSTは、宇宙の歴史のあらゆるフェーズを研究する役割を担う赤外線観測用宇宙望遠鏡です。銀河の進化や星のゆりかご、系外惑星を観測し、宇宙誕生に近い135億年以上前をさかのぼることができます。さらには、不意に近くに現れる遠方からの天体も観測します。

北アリゾナ大学の惑星科学者Cristina Thomas氏は、NASAのリリースの中で「ウェッブでなら、はるかに弱い等級や明るさで実に興味深い科学を行えます」と述べていました。「今まで、この領域の赤外線で恒星間天体を観測することはできませんでした。(赤外線観測は)私たちが興味を持っているさまざまな組成の特徴に対して、多くのチャンスを生み出します」とのこと。

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深宇宙からやってきて2019年に太陽系を通過していった彗星『2I/ボリソフ』
Image: NASA, ESA, and D. Jewitt (UCLA)

これまで人類は2017年のオウムアムアと2019年のボリソフと、すでに2つの恒星間天体を観測しています。ボリソフは核が3200フィート(約1キロメートル)と推定されており、時速11万マイル(約17万キロメートル)で飛んでいきました。オウムアムアの分類を巡っては、葉巻のような形状という珍しさから論争を呼びました。エイリアンの宇宙船だと提案する者まで現れたのです。

おそらく結論として可能性が高いのは昨年Journal of Geophysical Researchに掲載された、5億年近く前に離れた恒星系から弾き出された系外惑星の一部だったとする論文でしょう。

しかし、ボリソフとオウムアムアは現れては去っていったため、NASAの研究者たちはJWSTが未来の太陽系来訪者をどう観測するのか期待を寄せています。

NASAのゴダード宇宙飛行センターの天体物理学者Martin Cordiner氏はリリースでこう述べていました。「ウェッブの最上級の精度とパワーは、このような恒星間天体の化学組成を調べ、その性質について詳しく知るための、これまでにない機会を与えてくれます。恒星間天体がどこから来て、どのように誕生したのか。そして故郷の星系の状況などといったことについてです」

また別の恒星間天体が現れたら、研究者たちはJWSTの分光学機器を使って発するガスや塵の化学組成を研究できます。天体の化学組成を知れば、その故郷の星系について何か分かる可能性があります。

しかし、そういった観測は恒星間天体が存在してこそ。JWSTはあと数カ月は準備に費やしますから、今のタイミングで飛来しているわけではなくて良かったですね。今月はミラーの位置合わせを行っていて、初めて光を検知したばかり。NASAは6月に観測を始める予定です。

Source: NASA,

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