クッキーやケーキ類などの洋菓子に、銀色の小さなツブツブがついていることがあるだろう。
「ああ、あれね」と思い当たる方も多いと思う。ただあのツブツブ、くっついているお菓子と自動的に一緒に食べることになるので、それ自体がどんな味なのかわからない。
筆者で言えば、名前も知らない。食べたことがあるのに、名前も味もわからないような食べ物というのがある。
主役になれないそんな食べ物たち。今回はそれだけを純粋に味見してみました。
※2008年2月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
身近な謎の味覚たち
食べた経験があるのに、そういえば味がわからないものたちの試食会。まずは冒頭に挙げた例の銀のツブツブを試してみたい。製菓材料コーナーにそれはあった。
「トリオスプレー」というセットで売られていたこの商品。確かにどれも洋菓子にくっついているのをよく見かける。
さて、銀のツブツブは一体なんなのだろうか。
おお、どうやらこのツブツブ、「アラザン」というものであるらしい。今こうして書いたところ、一発でカタカナに変換されなかったので、それほど一般的に知られている名前ではないのかもしれない。
正体は砂糖の粒とのこと。それにしてもピカピカだ。
お菓子にくっついているのを見るときは何も感じなかったのだが、こうしてツブツブだけを取り出してみると食べ物という感じがしてこない。ピッカピカのキラキラで、視覚がそれを食品だと認知してくれない。
どんな味がするのだろうか。違和感を振り切り、試食開始だ。
パリボリパリボリ……。噛むと口の中で結構な音をたてる。これまた食べ物っぽくない食感だ。
味は………甘い。特にそれ以上はない感想。
うーん、やはり装飾的に用いられる食べ物という感じだ。ただ、試してみたかったことをできて納得した感じはある。
さて、アラザンと一緒に入っていた色とりどりの細かいチョコレート。思えばこれも単独では食べたことがない。まあチョコレートなのはわかるが、どんな味なのだろうか。
ソフトクリームなどにくっついているのを見かけることのあるこのチョコ。今回買ったセットには茶色い方の細かいチョコも入っていたので原材料を比べてみたが、着色料以外の違いはあまり見られない。
さて、これだけでいってみます。
うーん、あまりチョコっぽい味がしない。
茶色い方と食べ比べてみるとよくわかるのだが、いわゆるチョコレートの香りがカラーの方ではあまり感じられない。かといって特別な味がするわけでもない。
ふーん、という感じくらいしか思い当たらない。まあ確かめられたのでよしとしよう。
ところで、製菓材料コーナーでは他にも気になるものを見つけた。
緑色の細長い砂糖漬けらしき物体。名前は「アンゼリカ」というらしい。初めて聞いた名前だ。
これ、筆者が子供の頃に食べたクッキーなどにくっついていたのだが、みなさんは口にしたことがあるだろうか。最近はあまり見かけなくなった気がするのだがどうだろう。
裏面の原材料名を見たところ、正体はふき。
確かに言われてみればそういう形をしているが、意外に感じられた。かなり派手な色をしているのに、実体とは地味な和食の食材だったのか。
ではこれも丸かじりしてみよう。
甘い…。ひたすら甘いなあ、これ。
砂糖が中まですっかりしみこんで、ふきの風味などまるで感じられない状態。ふきだと言われてもそういう感じはしてこない。やはりこれだけで食べるようなものではない。
飾りつけ用の食べ物であることに納得。さて、ここまで洋菓子系のものを食べてきたので、今度は和の系統の食材も試してみよう。
主役にならない食べ物たちの味
続いて試してみるのは寒天。あんみつなどに入ってる半透明の四角いやつは寒天から作るだろう。個人的にあれが好きなのだ。
海藻から作られる寒天。ならばそれだけ食べてもそれなりにいけるんじゃないだろうか。
バリッ!と丸かじりしてみる。うーん、これは……。
おいしくない。口の中でもしゃもしゃするだけで、ちっともうまくない。なんとなくビニールを思わせる食感もなかなか厳しい。これはやはりちゃんと溶かして使うべきだ。
寒天を噛みながら見ていたパッケージのお願い欄。前半はいいとして、最後の2行に「わらくず、土等がついていることがありますので…」とあるではないか。
そんなのちゃんと見なかった。食べちゃったかも、土。
味としても気づきとしてもウヘーという感じだった寒天。残念ながら寒天丸かじりはやめておいた方がいい。
続いて試してみるのは、日本酒に入っていたり、酢の物などにかかっていたりするのをたまに見かけるあれだ。
金箔だ。誰が最初に始めたのか知らないが、食べ物に金箔がかかっていたり混ざっていたりすることがある。食品コーナーに置いてあったので、一応食品と言うこともできるのだろう。
成分を見ると、98.9%は金であるらしい。かなり本気で金だ。
袋から出してみてもやはり金。もうこれは金そのものであって、食べ物ではない。
それでも食べちゃっていいらしい。飾り用の要素が強く、もうあからさまに金属であるわけだが、これだけで食べると一体どんな味がするのだろうか。
うーん、もそもそする。おいしくない…。
味はないと言っていいだろう。もっと「ザ・金属」といった味がするかとも予想していたのだが、そんなことはなかった。逆に言えばそれで拍子抜けした感もある。
食材に豪華さを添える金箔だが、それだけで食べると豪華さはなぜか消える。うーん、という感じがするだけだ。
続いて試してみるのはもう一つ和の食材。よく吸い物に浮かんでいたりするあれだ。
麩である。吸い物がしみこんだ麩は実においしい。
この麩、実はそれだけで食べてもいけるんじゃないかと前々から思っていた。ちょっとしたスナック感覚で、サクッとおいしいのではないだろうか。
そんな期待はあっさり消えた。これはおいしくない。さらに言えばまずい。
小麦粉の生っぽさとでも言えばいいのだろうか。そうしたものばかり感じられて、ちっともスナック感覚などはない。うーん、残念。これからはちゃんと吸い物に入れて食べよう。
最後に試すのは、和の麩に対して洋のクルトンだ。和食と洋食の違いはあるとは言え、食品のイメージとしては少し似ている部分もあると思う。
スープに入ってるのを見るとなんとなくうれしくなるクルトン。パッケージにもあるとおり、カリカリしておいしそう。ただ、スープに入ってるとうっかりふにゃふにゃにさせてしまうことも多い。
クルトンだけを食べれば、カリカリ度100%だ。ではこれだけで実食。
これはおいしい!今回の試みの中で初めてそう思った。
カリカリとした食感に加え、香ばしい香りもする。塩系の味がほとんどないため、風味と噛みごたえが強調されて意外なおいしさにつながった。
やっとうれしい結果になった。納得度もおいしさも高いクルトン、スープに入れる前にちょっとつまんでみるのもいいと思う。
普通はそれだけで食べない食べ物試食会。あまりおいしいものがあったわけではないが、気になっていたことを試すことができた意味では納得した。
プリンやアイスに混ざっていることのあるバニラビーンズも、そのまま食べてみたら強烈過ぎてきつかった。
もう納得したので、これからは普通においしく使われた状態で食べることにしたいです。