Twitterはここ数年で、小規模なブログサービス的存在からオンラインゲームのコミュニティの中核的な要素へと進化してきた。Twitch(ツイッチ)のストリーマーたちの数多くが、ファンとつながり、配信を発表し、ほかのクリエイターとのネットワーキングでTwitterを好んで利用しているのだ。
Twitterのゲームコンテンツ・パートナーシップ部門のグローバル責任者であるリシ・チャダ氏によると、2020年に同プラットフォームではビデオゲームに関するツイートが20億回以上投稿されたという。Twitterのビデオ広告サービスであるTwitterアンプリファイ(Twitter Amplify)のゲーム収益は、2020年第3四半期から2021年第3四半期の間にほぼ倍増した。
チャダ氏は、ゲームのアクティビティがプラットフォーム上で増加していることから、Tipsやスペース(Spaces)などの機能は、ゲームクリエイターがフォロワーを収益化し、オーディエンスと直接つながるのに役立つ可能性があると考える。米DIGIDAYはチャダ氏にインタビューし、Twitterがゲーマーたちのお金と注目を集めようとしていること、そしてゲーマーとゲームクリエイターのためのプラットフォームとしてのTwitterの成長についての彼の考えを聞いた。
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このインタビューは、わかりやすくするために編集され、要約されている。
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――Twitterでのゲーム関連のアクティビティはここ数年でどのように成長したのか。
2020年はビデオゲームに関する20億以上のツイートがあり、対前年比75%増だった。また、ツイート数だけでなくユニークユーザー数も伸びている。ユーザー数が49%も増えており、これまで以上に多くの人がビデオゲームについてツイートしている。
私が非常に興味深いと思うのは、成長が前年比で一貫して起きているということだ。2018年には10億ツイートを達成したことで非常に喜んでいた。これは、ゲームやゲーム業界全体が主流になりつつあることの証左だと思う。
私がTwitterについて本当に重要だと思うのは、まさに今の時代精神が発生している場所であるということだ。世界で起きているさまざまな事件や現象に関して話すために、人々はTwitterに来る。ゲーミングに関しても、そのようなことが起きていると思う。どんなゲームであろうと、どこでそのゲームがストリーミングされていようと、人々はそれについて話すためにTwitterを訪れる。
これは、ゲームをプレイするためのディスプレイがいわば「ひとつ目のスクリーン」だとすれば、そのメインの体験に対して、ゲーム関連の会話とコンテンツを副次的に楽しむための「ふたつ目のスクリーン」体験がある。Twitterはこのふたつ目のスクリーン体験の場所となっている。
――Twitterは、ゲームクリエイター向けのサイトとして、TwitchやYouTubeなどの専用ゲーム・ストリーミングプラットフォームと競争しようとしているのか。
私は次のようにポジショニングを考えている。TwitterはTwitchやYouTube、さらにはFacebookゲーミング(Facebook Gaming)で起きていることを補完する「ふたつ目のスクリーン体験」だと思う。実際、私たちは、これらのプラットフォームにないものをクリエイターたちに提供していると考えている。我々はあくまでも補完的なプラットフォームであり、クリエイターが他プラットフォームでやっていることを共食いするものではない。
――Twitterのゲームに関するさまざまなパートナーシップについて大まかに説明してほしい。
ゲームの本当にユニークなところは、非常に巨大な業界だということだ。ゲームを話題に話していても、ある人はクリエイターが念頭にあるかもしれないし、ほかの誰かはゲームパブリッシャーやデベロッパーのことを考えているかもしれない。誰か別の人と話してみると、eスポーツについて考えているかもしれない。私たちがゲーム関連で提携しているパートナーはこうしたあらゆる種類を網羅している。
私たちが注力しているふたつの重要な柱がある。ひとつはゲームパブリッシャーとデベロッパーだ。エピックゲーム(Epic Games)やライオットゲームズ(Riot Games)などがこれにあたる。次はeスポーツだ。これにはチーム、リーグ、アスリートなどが含まれる。次はエディトリアル関連だ。エディトリアルのパートナーやコミュニティはどのような形を取っているか。コミュニティとはアワードイベントや大きなゲーミングショー、クリエイターを中心として作られる。
これが4つの分類だ。重複している部分もあるが、ゲーム業界全体がどのような構成をしているかを説明するのに役立つ。私たちはゲーム業界全体をサポートし、業界のすべての人に収益、リーチ、イノベーションを提供しようとしている。
では、パートナーと協力して、革新的かつオーディエンスの拡大とエンゲージメントを支援できるような方法でコンテンツをプラットフォームに配信するにはどうすればよいか。これは言い方を変えるなら、彼らがどうやってオーディエンスを収益化し、Twitterでビジネスを構築するかということでもある。一部のパートナーとは、私たちはマネタイズには全く関わらない一方で、マネタイズに関して多くの取り組みをしているパートナーたちもいる。あらゆるパートナーに万能なアプローチが存在するわけではない。
――Twitterはどのようにしてゲームファンに同プラットフォームでお金を使うよう説得するつもりなのか。
われわれはTipsでお金の支払いに門戸を開いたばかりだが、今度はスーパーフォロー(Super Follows)を使ってテストしている。なので、ユーザーが何をできるかという点ではまだ初期段階だ。はっきり言えるとしたら、もし本当にそれを理解し、これらのプロダクトを利用して創造性を発揮できるコミュニティがあるとしたら、それはゲームコミュニティだということを全面的に私は信じている、ということだ。
収益化機能に関して言えば、Twitterアンプリファイ(Twitter Amplify)を中心にしていることを強調したい。私たちのアンプリファイ・プレロールプログラムは、個人が短い形式の動画やストリーミングのハイライトを大規模に収益化できる、ブランドにとっても安全なプログラムだ。私がこのプログラムで気に入っているのは、クリエイターが簡単にすぐに始められる方法で自分の動画やストリーミングのハイライトを収益化することができ、Twitter上に短い形式のコンテンツを作ることができることだ。最初はライオットゲームズやフェイズ・クラン(FaZe Clans)などのプレミアムパブリッシャーから始めたが、今ではゲームクリエイターとの提携にも拡大している。
これとは別に、アンプリファイスポンサーシッププログラムも用意している。多くのeスポーツチームやIGN、ライオットゲームズのようなトップパブリッシャーと、プレロールに焦点を当てていない、より革新的なフォーマットで仕事をしている。
――Twitterスペースはどうか。ゲームクリエイターはどのように利用しているのだろうか。
ひとつはIGNのようなエディトリアルサイドのパートナーからのものだ。彼らはそれを、大きなショーイベントや、ショーのあとのまとめや議論のために使う。それから、スペースをいち早く採用したゲームジャーナリストのジェフ・キーリー氏のような人もいる。同氏は自身のゲームメディアであるゲームスライス(GameSlice)内で新しいスペース用ブランドを立ち上げ、そこに友人たちに出演してもらっている。彼のスペースでの最初のコンテンツには、元任天堂のレジー・フィサメィ氏がゲスト出演した。
そして、これが最大規模のスペースユーザーが集まっているところだが、たくさんのマインクラフト(MineCraft)YouTuberたちがスペースにひょっこりと現れている。彼らには熱狂的で極めてアクティブなファンがプラットフォーム上にいるので、突然、何千人もの人々が彼らのスペースを聴くことになる。
私が思うに、最大の学びのひとつは、ゲーミング分野がTwitterのスペースにおいて、あらゆる業界を比べてももっともよく耳にするスペースになりつつあることだ。これはゲーミングのTwitterオーディエンスが非常にアクティブであることによる。録画とクリッピングに関する新機能が追加された今、それはますます大きくなっていくと思う。
――5年後のTwitterゲーミングのビジョンを聞かせてほしい。
まずTwitterについて話をしよう。私がTwitterに期待しているのは、5年後にはどんなゲームクリエイターもこのプラットフォームを自分たちのビジネスの場と見なすことができるようになること、そして、コンテンツを配信し、ほかのプラットフォームで行っていることを補完することができる、現実的な収益源になることだ。それが続く限り、それは私たちが正しい仕事をしていることを意味する。
加えて、Twitterはeスポーツとゲーム業界を前進させ、今よりもずっと主流にしていく場所でなければならないと思う。私はゲームやeスポーツを、NFLやNBAのような従来のスポーツと同じように考えたいと思っており、5年以内にはそれを実現できると思う。そしてTwitterはその点で重要な存在になると思う。
最後に、私にとって非常に重要なことは、伝統的なスポーツファンがeスポーツファンと比べてどのように収益化されているかという点だ。基本的に、eスポーツファンは従来のスポーツファンと比べて非常に小規模にしか収益化されていない。それはTwitterや私たちのアンプリファイプログラムのようなプラットフォームを通じて変わることができると思う。
ALEXANDER LEE(翻訳:塚本 紺、編集:分島翔平)