「我々のビジネスは減速していない」: ワットノット 共同創業者ラフォンティーヌ氏が語る、パンデミック後のライブコマース

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対面での小売販売が復活しつつあるにもかかわらず、ライブストリーミングマーケットプレイスのワットノット(Whatnot)は、コロナウイルスのパンデミック後のビジネスに減速は見られないと語る。

2019年12月に創設されたワットノットは、スポーツカード、コミック本、アクションフィギュアなどをコレクターや愛好家に販売することに特化してスタートした。現在は、新しい地域やカテゴリーへの拡大を視野に入れている。今後6カ月間で、欧州の数カ国に進出する予定だと語る。共同創業者であるグラント・ラフォンティーヌ氏は、特にファッションはもっとも急速に成長するカテゴリーとして浮上しつつあると語る。同社は「良好な資金状況である」とし、今年はチップのような新機能の追加を計画しているという。今年はすべてのチームにわたって雇用が40〜50%増加するだろうと、同社は述べている。

同氏は次のように米モダンリテールに語った。「Covidの前後で、関連するビジネスの減速は一切見られていない。当社のこれまでの成長は非常に良好で、成長は今も続いている。昨年は過去最高の年だったし、3月はこれまでで最高の月だったと説明すれば、当社の事業の軌道を理解してもらえるだろう」。

評価額は37億ドルに

しかし、一部のアナリストはライブストリーミングショッピングの長期的な成功について懐疑的だ。ガートナー(Gartner)のアナリストであるブラッド・ジャシンスキー氏は、過去12カ月で消費者の支出の対象がコンシューマー用品から旅行やレストランに移行したのは「ワットノットや他社が直面する最大の困難」だと述べている。米モダンリテールは、2022年12月のモーニングコンサルト(Morning Consult)による調査から、回答者の約78%はライブショッピングイベントに参加したことがないと判明したと、以前に報じている

ワットノットはアンドリーセンホロウィッツ(Andreessen Horowitz、a16z)が発表した2023年のマーケットプレイス上位100社のリストで9位にランクインしている。同社によれば、このランキングは各社の年間流通取引総額に基づいている。念のため述べておくと、アンドリーセンホロウィッツはワットノットの出資者のひとつでもある。ワットノットは、2022年7月のシリーズDで2億6000万ドル(約348億4000万円)のフレッシュラウンドを調達し、評価額が2021年9月の15億ドル(約2010億円)から147%増の37億ドル(約4960億円)に達した。クランチベース(Crunchbase)は、2022年9月の時点でワットノットの収益が3倍に急増したことを報告した

ワットノットは、すべての取引から8%の手数料を徴収することで利益を得ている。このアプリで商品を売るのは、そのほとんどがリセラーやコレクターでもある。個人が同社のプラットフォームで販売を行うには、申請して選ばれる必要がある。ラフォンティーヌ氏は、「承認されるのは50%未満だ」と語る。同氏はプラットフォームを利用している出品者の正確な数を明らかにしていないが、昨年、同社で100万ドル(約1億3400万円)分を超える売上を得た出品者が100人以上存在するとしている。

ファッション分野が急成長

ワットノットはコレクターズアイテムを扱うことでスタートしたが、「当社でもっとも急速に成長している分野は圧倒的にファッションだ」と、ラフォンティーヌ氏は述べる。コレクターズアイテムは依然として同社の最大のカテゴリーだが、「1年か2年のうちにファッションが最大のカテゴリーになっても驚かない」と、同氏は付け加えている。

ファッションのカテゴリーはワットノットで非常に成功したため、副業としてはじめた販売に専念するためにフルタイムの仕事を辞める出品者が出てきていると、ラフォンティーヌ氏は語る。同氏は、ゾリーン氏という出品者がワットノットでZKスタイルズ(ZKStyles)というユーザー名で活動している例を挙げている。ゾリーン氏はワットノットで最初の3カ月に5万ドル(約670万円)以上を稼ぎ出し、金融の仕事を辞めて、コンテンポラリーなウィメンズウェア販売するファッションストアの運営をフルタイムで開始した。ラフォンティーヌ氏はまた、ワットノットのライブストリーミングで販売を開始して3カ月以内に25万ドル(約3350万円)分のスニーカーを販売し、今ではフルタイムで販売に従事している、シューゲームコー(The Shoe Game Co.)というユーザー名を持つ別の出品者のことも引用している。

「これらすべての背後にある原動力は、ワットノット出品者たちが、自分たちが情熱を注いでいるものを中心にビジネスとコミュニティを築き上げているということだ」と、ラフォンティーヌ氏は述べている。

ワットノットは新しいユーザーを引き入れるため、セレブリティにも期待している。3月には、ラッパーのリル・ヨッティ氏がワットノットでライブストリーミング番組を共催し、同氏の個人的なコレクションから、世界でもっともレアなスニーカーのひとつである、オリジナルの1985エアジョーダン1s(1985 Air Jordan 1s)のブラックトゥ(Black Toe)配色を賞品にした。4月には、ヒップホップアーティストのクエストラブ氏がワットノットとの提携により、同氏の個人コレクションからビニール製音楽レコードをオークションにかけた。

配送への投資も

同社は、カテゴリー別でいえば、電子機器に投資し、さらに多くのファッションカテゴリーを構築し続けていくと、ラフォンティーヌ氏は述べる。さらに多くのファッション商品を供給していくため、ラグジュアリーファッションも取り入れることも視野に入れているという。

また、同社は、配送をより簡単にするための投資も検討している。「配送は買い手と売り手の両方にとって極めて重要で、時間、コスト、梱包の容易さ、そのほかすべての要素を考慮する必要がある。これについては、今後数カ月の間に、非常に魅力的な発表ができるだろう」と同氏は述べているが、詳細は明らかにしていない。

パンデミック以後の世界でも、買い物客は依然として同社のプラットフォームを使い続けていると、同氏は述べている。「パンデミックの最中かどうかにかかわらず、世界を広く見渡せば、多くの物理的な場所が消えてゆき、人々はほかの人々や、自分たちが熱意を持っているものと、オンラインでつながろうとしている」と、同氏は付け加えている。

しかし、ガートナーのジャシンスキー氏は警告している。「トレーディングカード、コレクター向けのアクションフィギュア、コミックなどのコレクターズアイテムはこの数年間で急成長したが、その一部はすでに減速してきている」。

[原文:Whatnot co-founder Grant Lafontaine on the livestream shopping platform’s plans for 2023]

Vidhi Choudhary(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)

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