■米国の飲食店チェーンではモバイルオーダーなどを使い非対面・非接触型でのソリューションを提供している。
イートインでもスマートフォン・アプリを介したセルフオーダーシステムで注文から決済を完了し、お客がピックアップカウンターで注文メニューをトレーで受けとって席について食事する。
ファストフードとカジュアルレストランの中間の業態であるファストカジュアルでは特にスタッフとの対面によるやり取りは全く発生させないフリクションレスとなっている。
長引くパンデミック禍に人手不足が深刻化するレストラン業界ではコンタクトレスが主流になっていくのだ。
北米に2,100店以上のベーカリーカフェを展開しているパネラブレッドは2日、新たなモバイル注文機能「コンタクトレス・ダインイン(Contactless Dine-In)」を発表した。
コンタクトレス・ダインインは着席したテーブルからアプリ経由で注文しメニューをテーブルまで運んでもらうイートインの「オーダー・フロム・マイ・テーブル(Order From My Table)」の完全非接触バージョンだ。
5年前から一部のパネラ・ブレッドで行われていたオーダー・フロム・マイ・テーブルは従業員がテーブルまでメニューを運んでいた。
コンタクトレス・ダインインはお客がカウンターで注文品をピックアップして、自分で席まで持っていくスタイルとなっている。
オーダー・フロム・マイ・テーブルは注文時にテーブル番号を入力していた。
コンタクトレス・ダインインはジオフェンシング機能により利用者がリモートからの注文なのか、もしくは店内からの注文かが店側にわかるようになっている。
リモート注文では利用者が店に入ったところを感知して、調理を始めることになる。同時に利用者にはプッシュ通知等で調理が出来上がったことを知らせるようになっているのだ。
自宅や勤務先からモバイルオーダーで注文後、パネラ・ブレッドに行きテーブルに着席する。料理が出来上がると通知がくるのでカウンターで受け取るという流れになるのだ。
コンタクトレス・ダインインはレジ行列に並ぶ必要がなく、店内にある注文端末を触る必要はない上、メニューを運ぶ従業員との対面もない。
コンタクトレス・ダインインのポイントはジオフェンシング機能にある。ジオフェンシング技術のモバイルオーダーではチキンサンドイッチチェーンのチックフィレがよく知られている。
ジオフェンシング(geo-fencing)はGPSにより利用者が店のエリア内にいなければ決済ができない機能だ。
エリア内に入ってくるとチェックインのボタンが表示され、それを押すことで決済が完了し注文が厨房に行くことになる。
一方、ジオフェンシングとは別に、ピックアップ等の予約時間を設定するチェーンもある。が、その設定では利用者がその時間に行けないこともある。
ジオフェンシングはそういったロス機会をなくすのだ。
例えば学食や社員食堂でモバイルオーダーしたとする。クラスルームもしくはオフィスからリモートで唐揚げ定食等を注文し決済までしておく。ただしこの状態ではまだ注文は厨房に届いていない。
利用者が食堂に入ったことをジオフェンシングで感知し、利用者がチェックインするか、もしくは自動的に注文が厨房に伝わることになる。
用意ができるとショートメッセージ等で通知があり、利用者がカウンターで唐揚げ定食を受け取ることになる。誰とも接触しないで済むのだ。
なおパネラ・ブレッドではドライブスルーの他、ツーゴー用のラピッド・ピックアップ、カーブサイド・ピックアップ、デリバリー等、デジタルを駆使した様々な受け取りを提供している。
トップ画像:着席したテーブルからアプリ経由で注文しメニューをテーブルまで運んでもらうイートインの「オーダー・フロム・マイ・テーブル(Order From My Table)」。画像ではテーブル番号「28」を入力している。パネラ・ブレッドのバージョンアップされたモバイル注文では注文者がカウンターに取りに行く非対面・非接触スタイルだ。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。日本では多くのチェーンレストランに座席にタブレット端末を設置しています。タブレットを介して注文してもらうセルフオーダーシステムです。このシステムは今後衰退すると思っています。なぜならタブレット等の設置費用がある上に、メンテにタブレットは毎度消毒もしなければなりません。タブレット注文では利用者も端末に触る行為を強いられます。
またお客が自身のスマートフォンで店舗に設置されたQRコードを読み込んで、ブラウザ上で注文するシステムもマイナーになっていくと思います。お店でいちいち読み込む必要があるからです。若干遠回りのようですが、お客がその飲食店のアプリをダウンロードしてアプリを介してモバイルオーダーするシステムが最も便益があるので残っていくと思います。
カスタマーファーストが徹底するアメリカではタブレット端末からの注文やQRコードによるオーダーもあるにはありますが主流にはなっていません。結局、お客が自身のスマホを使ってアプリを介し注文することのほうが顧客に最も便利な方法なのです。
強調しておきますがQRコードを読み取らせてのブラウザ注文より、店の専用アプリをダウンロードして注文するスタイルが最終的にカスタマーファーストになります。