2021年はアクシオス(Axios)にとって多忙で話題の年となった。商標登録された「スマート・ブレビティ(Smart Brevity)」スタイルのニュースレターで知られる同社は、誕生してからまだ5年しか経っていないにも関わらず、数多くの注目を集めた。
2020年12月、同社はシャーロット・アジェンダ(Charlotte Agenda)を買収し、ローカルニュース部門の準備を整えた。2021年2月には、アクシオスは新たなSaaS事業「アクシオスHQ」を立ち上げ、同事業は1年も経たずに150万ドル(約1.7億円)以上の収益を上げた。そして2021年の春と夏には、彼らがアスレティック(The Athletic)と合併、もしくはアクセル・スプリンガー(Axel Springer)に買収されるのでは、という噂がメディアに広まった。
アクシオスのプレジデントで共同ファウンダーのロイ・シュワルツ氏は、「現時点では、事業売却、もしくは我々よりも大きな会社と合併するのは時期尚早だ」と語った。
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しかし、この話題性がどのように影響したのか明確ではないが、同社の2021年の売上は8600万ドル(約97億円)に達し、今年も前年比40%の成長を再度達成する見通しとなっている。この結果、3年連続の黒字を維持することになる。
米DIGIDAYが収録したポッドキャストの最新エピソードで、シュワルツ氏は成長している3つの新規ビジネスについて語った。それはローカルニュース、アクシオスHQ、そしてまもなく登場するサブスクリプションサービスのアクシオス・プロ(Axios Pro)だ。同社はこれらの事業にここ1年の間優先的に取り組んで来ており、2022年年も継続して取り組む予定だ。
以下はポッドキャストにおける会話のハイライトに、読みやすさのために若干の要約と編集を加えたものだ。
スタートアップにとって黒字は必ずしも目標ではない
「過去3年間は黒字、その前年はちょうど損益分岐点に達した。実際のところ、私たちは利益を出そうとしているのではなく、まだ成長モードにあり、利益を投資に回そうとしている。ただ、パンデミックのあいだに投資をするのが大変難しくなった。人材の雇用は大変だった。2020年は赤字になる計画でスタートしたが、投資をすべて凍結したため、黒字になった。そして2021年も「多額の投資をする」と掲げてスタートした。実際に投資は行ったが、雇用は非常に困難だった。予想していたよりもずっとスピードが遅い。したがって、2021年も黒字となるが、それは必ずしも意図的ではない」。
サブスクリプション事業をようやく構築
「最初の事業プレゼンを振り返ると、そこでは収益の50%を広告から、残りの50%を持続可能なサブスクリプションタイプの事業から得たいと考えていた。我々は、最初からそれに焦点を当ててきた。我々が提供しようとしているサービスとは何か。(アクシオス)プロは非常に明確なサービスだ。我々は、いつか有料コンテンツを提供することを常に知っていた。我々が5年待った理由は、広告ビジネスが予想以上に早く成長し、オーディエンスが予想以上に早く成長したからだ。そして、我々が十分に大きくなる前に、人々がコンテンツを読み、ブランドを知るための邪魔になるようなことをしたくないと思った。そして今、我々は十分に大きくなったので人々がお金を払ってくれる良質のコンテンツを作ることができるようになった。我々にはそれを行ってきた歴史がある。アクシオスの前に、私たちはポリティコ・プロ(Politico Pro)を手伝っていた。同事業は、サブスクリプションプロダクトとして素晴らしい成功を収めている」。
アクシオスのM&Aアプローチ
「私たちはいつでも、話を持つこと、そして潜在的なパートナーや潜在的な投資家についてより多くを学ぶことにオープンだ。私たちは、過去数年間、それを行ってきた。どんなパートナーや投資家がいて、何を探しているのかを知るために、我々はたくさんの良い会話を交わしてきた。彼らは何をしようとしているのか、そしてそれは我々のビジョンと一致しているのか。最終的に我々が結論づけたのは、自分たちが抱えているのは信じられないほど急成長している事業だということ。我々には、これらの異なる事業で非常に大きなチャンスを目にしており、それらがどのように展開するかを見届けたいと思っている。我々はそれにもっと投資したい」。
「私が思うに、2022年に我々がもっとも探し求めているのは、本当に優れた投資パートナーであり、私たちが持っているビジョン、特にアクシオスHQのビジョンを理解している人々だと思う。SaaS分野を深く理解している人々に参画してもらうことで、急成長が予想される今後数年間を乗り切るうえで大きな助けになる。その経験がある何人かのパートナーを見つけられると素晴らしい」。
「我々はその分野で素晴らしいパートナーを探し続け、買収の機会も探すが、それが我々の戦略の前面になる可能性は低い。(アプローチとしては)非常に魅力的なものを見つけた場合は、そのためのスペースを確保するが、それを戦略として主導しているわけではない。わが社の戦略は内部成長であり、これらの事業を構築することだ」。
KAYLEIGH BARBER(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)