韓国に遠慮する日本の弱腰外交 – 深谷隆司

BLOGOS

 深谷隆司の言いたい放題第915回 

 「日本の弱腰を批判する」

 文化審議会が昨年末、「佐渡島の金山」を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産の推薦候補に選んだが、韓国が「韓国人の強制労働の被害現場だ」と、相変わらずの反対で推薦見送りを主張した。

 2015年の長崎県の端島炭鉱(通称軍艦島)登録に際しても韓国が不当な宣伝戦を行い、外相会談での合意を無視して「強制労働」と声明に載せていた。当時の安倍首相が猛抗議を行って修正させたが、韓国は何かというと「強制労働」と喧伝する。彼らにとっては常套手段なのである。

 そもそも政府は令和3年4月の菅政権時の閣議で、朝鮮半島出身者が強制労働させられたかどうかについて、「募集」「官斡旋」「徴用」による労務については、いずれも強制労働に関する条約上の「強制労働」には該当しないとの「答弁書」を決定し、これを公式見解としている。

 なんでもかんでも強制労働を認めろと言い続ける韓国に遠慮する義理は無いのだ。

 今回の登録については地元新潟県や佐渡市にとって15年以上取り組み続けた悲願であった。

 しかも韓国の動きも念頭に、推薦内容を「手工業で世界最大の金生産量を実現したとされる江戸時代に限定」するなど深い配慮まで行ってきた。

 県当局者によると、昭和15年から17年にかけて当時佐渡金山を経営していた三菱鉱業が朝鮮半島で労働者を募集し、約千人を受け入れた事実はあるが給与などは支払われていたという。

 推薦を見送れば韓国の「強制労働」という主張を認めたことになると憂慮していたが、残念ながら推薦見送りである。 

 韓国は慰安婦問題でも、「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した日韓慰安婦合意さえ後に否定する有様だ。

 韓国に善意や常識を期待することは出来ない。譲歩すればまた一歩踏み込んで不当な主張を繰り返す「始末に負えない国」なのである。  日本政府は歴史の事実をしっかり世界に説明する勇気と度量を持つべきだ。いつまでも弱腰外交ではなめられるだけだ。

 期待してきただけに「岸田政権、しっかりしてくれ」と檄を飛ばしたい心境である。