東日本電信電話株式会社(NTT東日本)と西日本電信電話株式会社(NTT西日本)は1月20日、固定電話のIP網移行について報道関係者向け説明会を開催した。
2024年1月に予定されているIP網移行(PSTNマイグレーション)は、固定電話サービスの局内設備を「PSTN(Public Switched Telephone Network:公衆交換電話網)」から「IP網」へ移行するというもの。2010年11月に概要が発表され、その後、2015年と2017年に具体的な内容が発表されている。2017年の時点で、移行の2年前に提供条件などについて公表するとしており、今回がその発表となった。
説明会では、料金や注意事項など、これまで発表されている内容について改めて説明。そのうえで、IP網移行により終了する一部サービスについて新たに発表した。
具体的には、「マイライン」「マイラインプラス」のサービスを終了するとともに、料金体系の変更に伴い通話料の各種割引サービスを終了することが発表された。
なお、2024年1月の切り替え手順やタイミング、および国際電話の通話料金については、引き続き調整中であり、決まりしだい追って公表するという。
手続きや宅内工事、電話機の交換は不要。IP網移行に便乗する詐欺に注意!
まず、PSTNマイグレーションについて、2017年に発表した内容を改めて、NTT東日本の井上暁彦氏(経営企画部 営業企画部門 部門長)が説明した。
PSTNマイグレーションとは、固定電話の局内設備を、加入者交換機や中継交換機などの交換機からなる「PSTN網」から、「ひかり電話」などですでに用いている「IP網」へ切り替えることを指す。
切り替えは局内設備であることと、従来のメタル電話のアクセス回線はそのまま残り、加入者による手続きや加入者宅での工事、電話機等の交換は不要であることを、井上氏は強調。そして、「IP網への移行に便乗した悪質な販売勧誘などが想定される」として、周知を呼び掛けた。
スケジュールとしては、他事業者との接続はすでに開始。2022年1月からは、ダイレクトメールなどで契約引き継ぎの案内を開始する。2024年1月に切り替えを開始し、2025年1月までに切り替えを完了する。
通話料は「市内昼間と同額」のフラットな料金体系に。固定電話間は全国一律で3分9.35円
切り替えにあたって、加入電話に係る契約はそのまま継続し、手続きは不要。基本料金も現状と同額となる。
通話料については、距離に依存しないIP網の特性を生かして、シンプルでフラットな料金体系にする。例えば固定電話から固定電話にかける場合の通話料は、全国一律で3分9.35円と、これまでの昼間の市内通話と同じ金額になる。
サービスについては、基本的な音声サービスは提供を継続し、利用が減少もしくは提供が困難なサービスは2024年1月に提供を終了する。「INSネット」については、音声通話は残るが、「ディジタル通信モード」は終了し、補完サービスを提供していく。
「テレホーダイ」「タイムプラス」など通話料割引サービスの終了を発表。「マイライン」「マイラインプラス」も提供終了
そのうえで、「マイライン」「マイラインプラス」を終了することが今回新たに発表された。
マイラインは、利用したい(NTT東西以外の)電話会社を登録しておくことにより、「00XY」などの電話会社の識別番号を付けなくても登録した電話会社を利用できるサービス(電話会社選択サービス)。マイランプラスは、識別番号を付けた場合でも、登録した電話会社のみを利用するサービス(電話会社固定サービス)だ。
また、通話料金がフラット化されることにより、通話料の各種割引サービスを2024年1月に終了することも発表された。
個人向けでは、「イチリッツ」「スーパーケンタくん」「ケンタくん」「ケンタくん5」「タイムプラス」「INSタイムプラス」「エリアプラス」「INSエリアプラス」「テレホーダイ」「INSテレホーダイ」「i・アイプラン」が終了する。
法人向けでは、「ワリマックス」「ワリマックス・プラス」「ワリビッグ」、「プロフィッツ」(NTT東日本のみ)、「プロセレクト」(NTT東日本のみ)、「プロスペクト」(NTT東日本のみ)、「ワリエース」(NTT西日本のみ)、「プレミレート」(NTT西日本のみ)、「県内異名義割引」「i・スクール」が終了する。
こうした割引サービスの終了によって、通話料金のフラット化とあわせて「利用形態によっては一部値上げになることもあるが、負担が減るケースがほとんど」と井上氏は説明した。
井上氏は、個人で負担が増えるケースについては多くないと前置きしたうえで、2つの例を挙げた。1つは、市内の夜間料金は現在、4分9.35円のため、例えば市内へ夜間に3分~4分の間の時間だけ電話する場合は料金が上がる。もう1つは、「イチリッツプラン2」で月額料金を払って県内の市外への通話を頻繁に利用する場合だ。「こうした利用であれば値上げになる可能性もあるが、その人でもほかの場合では値下げになるので、トータルでは安くなる場合が多いと考えている」と井上氏は語った。