睡眠用ヘッドホン・イヤホンおすすめ3選。音楽を聴きながら寝落ちできるアイテムを厳選【2021年度版】

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ヘッドバンド型は斬新! 寝グセが心配だけど…。

ストレスや制約の多い昨今、眠るときくらいは穏やかに心地よく過ごしたいですよね。そんなとき、周囲の騒音を低減して快眠をサポートしてくれるのが睡眠用ヘッドホン(通称:寝ホン)です。通常のイヤホンと違い、装着したまま寝てしまっても耳が痛くならず、高い遮音性で静かに眠れるものや、Bluetoothでオーディオデバイスから音楽をストリーミングしてくれるものまで機能も豊富です。今回はガジェットレビュー専門サイトのWirecutterの「おすすめ寝ホンレビュー」をご紹介します。


睡眠用ヘッドホンは音楽を聴きながら眠りに落ちたい方向けのソリューション。Wirecutterでは各種イヤホンを試してみたのですが、まず最初に残念なお知らせですが、完璧な寝ホンはまだ存在しません。どんな機種にも何らかのマイナスポイントがあり、非の打ち所がないモデルは見つかりませんでした(その分、今後進化していく可能性を秘めているという事ですが)。特定のニーズに対応してくれる製品はあるので、それなりに妥協していきながら選んでいく覚悟が必要です。

耳が痛くなりにくいヘッドバンドタイプの睡眠用ヘッドホン:AcousticSheep SleepPhones Wireless

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Photo: Wirecutter

音楽やオーディオを聴きながら眠りにつきたい方におすすめ。ヘッドバンドスタイルのSleepPhonesは複数のサイズや素材をから選ぶことができ、Bluetooth経由であらゆるオーディオをワイヤレス送信可能。ただ、同じスタイルの競合製品よりも高価です。

ベッドの中で音楽を聴いたり動画を見たり、あるいは瞑想アプリを使って眠りにつきたい…という方におすすめなのがAcousticSheep社のSleepPhones Wirelessです。ヘッドバンド式の寝ホンには珍しく複数のサイズと素材から選ぶことができるので、自分に合ったものが見つかるはず。フェルトで覆われたフラット設計で耳が痛むこともなく、廉価製品よりも低音がしっかり出ます。スマホはもちろんタブレットやテレビなど、Bluetooth対応デバイスからワイヤレスでオーディオをストリーミングすることができ、バッテリーも12時間たっぷりもちます。

Bluetoothモジュールとスピーカーは簡単に取り外すことができ、ヘッドバンドは水洗い可能。ただヘッドバンドタイプなのでナイトキャップや歯科矯正用のヘッドギアを使用される方、あるいは夜のスキンケアには不向きかも。また、布製で遮音性はそれほど高くないので、パートナーのいびきといった外部の騒音をシャットアウトしたい方には物足りなく感じられるかもしれません。ベッドでしか使えない寝ホンに1万円以上かけるのは高い…という見方も。

遮音性の高い睡眠用イヤホンの王道:Bose Sleepbuds II

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Photo: Wirecutter

周囲の音をシャットアウトしたい方へ。高価な分、遮音性は抜群。イヤホンタイプながら就寝時に耳が痛くなることはありません。ただし再生できる音声や音楽はBose Sleepアプリに制限されます。

パートナーのいびきや夜更かしするご近所の物音、工事現場の音が気になる方はBose Sleepbuds IIがおすすめです。こちらのハイテク耳栓は他のBose社製品と違いアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能はついていませんが、周囲の騒音をガッチリ軽減してくれます。ノイズアイソレーション仕様のデザインは、騒音を物理的にバリア。ホワイトノイズや他のオーディオを流せばさらに周囲音が気にならなくなります。

横向きでも寝やすいように小型化を追求したため、ワイヤレスストリーミング機能は割愛されています。なので、オーディオコンテンツは事前にイヤホンにロードしておく必要があります。また、残念なことに視聴できるのはBose Sleepアプリで提供される音声や音楽のライブラリに制限されます。

Sleepbuds IIにはアラームや着信通知機能がありますが、アウェアネスモード(聞きたい外部音を取り込むモード)はないので、赤ちゃんの泣き声や犬の鳴き声、ホームセキュリティのアラートなどが聞こえなくなる恐れがあります。バッテリーは10時間持続するので十分ですが、朝寝坊したい方には少し短すぎるかもしれません。 周囲の音を気にせずぐっすり眠りたい場合にBose Sleepbuds II は最適なオプションかもしれませんが、3万円は高すぎる…というのもまた無視できない意見でしょう。

スポーツ時にも使えるヘッドバンドタイプの睡眠用ヘッドホン:Moita Sleep Headphones

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Photo: Wirecutter

ベーシックでお手頃価格の睡眠用ヘッドホン。非常に安価なヘッドバンドタイプの寝ホンで、装着感も文句なし。Bluetoothであらゆるソースのオーディオをストリーミングできますが、サイズは1種類しかなく、カスタマーサポートや保証もありません。

多少の賭けをしてもいい、という覚悟があるならMoita Sleep Headphonesは今回テストした中で最もお手頃な製品です。20ドル(約2,200円)以下の価格帯では、横向きに寝ても耳が痛くならなかった唯一の製品です。ただ1サイズ展開で作りは若干大きめ。青く点滅するBluetoothのインジケーターライトも、暗闇では少々目障りでした。 低音域のレスポンスが精彩を欠くのもマイナスポイントに。

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Video: Wirecutter/YouTube

睡眠用ヘッドホンをおすすめしたい人

睡眠用ヘッドホンは「寝つきが悪い」や「物音で目が覚めてしまう」ことに悩み、ホワイトノイズや音楽、瞑想オーディオを聴くことで改善を図りたい方向けの商品です。従来のイヤホンやヘッドホンでは耳が痛くなったり、寝ている間に外れてしまったりすることがありますが、寝ホンなら一晩中つけていても痛くなりにくいソフト感が特徴(そうでない製品もありました)。きちんとフィットしていれば朝まで外れる心配はありません。

もちろん、睡眠補助グッズはヘッドホンだけではありません。1人暮らしの方や、パートナーと趣味が合う方なら小型のスピーカーやホワイトノイズマシンでも十分対応できますし、単に音を遮断したいだけなら耳栓の方がはるかに経済的でしょう。ただ「耳栓はちょっと…」という方や、同じ部屋で寝ている家族やパートナーに迷惑をかけたくない方は自分のお気に入りメディアをイヤホンで楽しむことで快適に眠れるかもしれません。では、おすすめの各製品を詳しく見ていきましょう!

音楽やオーディオを聴きながら眠りにつきたい方におすすめ:AcousticSheep SleepPhones Wireless

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Photo: Sarah Kobos

AcousticSheep SleepPhones Wirelessは、好きな音楽やASMR 動画、瞑想サウンドなどを聞きながら眠りにつきたい方、そしてパートナーやルームメイトに迷惑をかけたくない方におすすめです。静かすぎると寝られない方や、普通のイヤホンだと寝にくい方にも最適です。

本品はヘッドバンド型で、装着感は今回テストした中で最も柔軟で快適。他の製品と異なり、どんなに寝転んでも耳に食い込むことはありませんでした。あたたかい肌触りを好む方向けのフリース素材と、軽量で通気性の良い「ブリーズ」の2素材から選ぶことができ、ヘッドバンドとしてもアイマスクとしても使えます。生地は伸縮性があり、ヘッドバンドはS・M・Lの3サイズ展開なので、自分にフィットするサイズを見つけられるはず。

電子部品は取り外せるので、ヘッドバンド部分は洗濯機で洗えますし、汚れたら交換することも可能。説明書のとおりに何度か洗ってみたら、ちゃんとキレイになりました。ちなみに予備のヘッドバンドも20ドルほどで販売されています。マジックテープでとめられた上部の小さなスリットから充電ポートにアクセスしたり、ドライバーやBluetoothモジュールを出し入れしたりすることができます。安価な競合製品よりも生地が厚く縫製もしっかりしています。

SleepPhonesと他社の廉価製品との大きな違いの1つが、スピーカー部分が色分けされている点。これ、実はすごい大事。これがないと、ヘッドバンドから一度取り出したパーツを元に戻すのに苦労することになります。

本品では右のスピーカーには赤いステッチ、左のスピーカーには緑のステッチが施されており、スピーカーのグレーの面が耳側に向くようになっています。他社製品ではどちらが右でどちらが左かカンで試すことになるので、これはユーザーにやさしいきめ細かいサービスだと思います。

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Photo: Sarah Kobos
Bluetoothモジュールには音量、スキップ、再生/一時停止、電源などのコントロール機能がありますが、モジュールがヘッドバンドの布地の下にあるため、操作は手探りで。

Bluetoothモジュールでは音量、スキップ、再生/一時停止、電源オンオフの操作が可能。ヘッドバンド生地の内側に搭載されていますが、操作はそれほど難しくありません。寝ている間にうっかりボタンを押さないように、モジュールがおでこ側に来るよう装着することをおすすめします。

オーディオ機器とのペアリング作業は、通常のBluetoothヘッドホンと変わりありません。スマホをベッド脇のテーブルに置いた状態では接続に問題が起きることはなく、数部屋先のトイレまで歩いて行っても通信が途切れることはありませんでした。とはいえ、家屋のパイプや鉄筋がワイヤレス信号の妨げになるといけないので、オーディオデバイスはベッドと同じ部屋に置いておいた方がいいでしょう。

AcousticSheep社ではSleepPhonesのバッテリー寿命を最新バージョンで12~13時間としていますが、音量や使い方によって変動します。60%の音量で試したところ、同程度の結果が得られました。ただ60%では少々音が大きすぎたので、音量を落とせばバッテリーももう少し長持ちするかもしれません。電池が空の状態からフル充電するには3時間ほどかかるので、一晩中音声を流しておきたいのであれば、毎朝充電しておくと安心です。

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Photo: Sarah Kobos
スピーカーは薄くて柔らかく、柔軟性があります。フェルトで覆われているので、寝転がっても快適。左右のスピーカーはステッチで色分けされており(表側:グレー、裏側:白)ヘッドバンドを洗った後も電子機器を元の位置に戻しやすくなっています。

音質に関しては、他の安価な製品よりも低音域のレスポンスが優れていました。同価格帯の寝ホンでは倍音しか再生されないことも多い中、ヒップホップ系の曲でもしっかり低音が感じられました。ただ低音が強いわけではなく、たとえば映画の中の轟音(『インセプション』の背景音など)を再現することはできません(睡眠用だからできなくていいけど…)。それでも高音域はクリアですし、低音域でも粗さやチープ感はないので、全体的に非常に良い音質だといえます。

今回おすすめする製品はいずれも装着感が良く十分なサウンドを備えています。今回のテストには普段耳鳴りで悩むメンバーも参加していたのですが、「SleepPhonesなら、普段スピーカーでかけている曲も聞ける」と気に入っていました。

布製のヘッドバンドはイヤホンやヘッドホンのイヤーカップほどの遮蔽性はないので、音の出入りはあります。適度な音量で聞いている分には、同室内にいるパートナーに音漏れすることはないと思いますが、最大音量だと静かな部屋でうっすら音の輪郭が聞こえるかもしれません。それでもスマホやベッドサイドのスピーカーで音を流すのと比べれば、圧倒的に静かです。また、SleepPhonesを装着していても周囲音は聞こえるので、お子さんやペットの様子が気になる方や、防犯や安全のため外の音をキャッチしたい方にはちょうど良いでしょう。

好きじゃないところ

確かにSleepPhonesはおすすめできるアイテムなのですが、購入前に検討すべき大きなマイナスポイントがあります。まず先ほども述べましたが、ファブリックゆえの遮音性の低さ。ヘッドバンドが耳を覆っているので、ある程度は周囲音から守ってくれますが、いびきや工事の音、犬の鳴き声やご近所のどんちゃん騒ぎなど、眠りの妨げになるような音を完全にシャットアウトすることはできません。

また、根本的な問題ですが、ヘッドバンド式のデザインに抵抗がある人もいるでしょう。ナイトキャップを着用する方やスキンケアアイテムをお肌に塗っている方、暑がりの方などは厚手のヘッドバンドを巻いて寝るのは日々の生活習慣に合わないかもしれません。

しかし、SleepPhones最大の欠点は、100ドル(約1万1000円)もするのに就寝時以外使えない点です。昼間これを巻いて外出するのはなかなか勇気がいりますし、100歩譲ってフリース素材なら冬に巻いて出ることはできるかもしれませんが、通気性が良いので寒い日には不向きです。AcousticSheep社は「風通しの良い素材なら、エクササイズ時にも使用可」としていますが、電子機器部分の耐湿性が不明なので、汗で壊れてしまうと保証対象外になってしまうかもしれません。また、マイクもついていないので通話にはスマホが必要です。

騒音をしっかりブロック! 安眠を得たい方におすすめ:Bose Sleepbuds II

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Photo: Sarah Kobos

周囲の音を完全に遮断して安眠したい方におすすめです。遮音性でいえば、Bose Sleepbuds IIはまさに「睡眠のためのイヤホン」。環境音をしっかりカットしてくれるデザインと、独自のアプリで提供するマスキングサウンドにより、パートナーのいびきや犬の鳴き声、近所の工事音など不快な音をすべてカバーして眠りへと誘ってくれます。

Bose Sleepbuds IIは物理的に耳をふさぎ、アプリ経由でBoseが厳選したサウンドスケープを流すことで、まるで耳栓をつけているように周囲の騒音を包み隠してくれます。

Boseといえばアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能が好評ですが、本品はANCデバイスではありません。ANCは飛行機の音のような、継続的な低音には効果を発揮するのですが、ハンマーで叩く音のような断続的な音や、人間の声のような高音を遮断するのは得意分野ではありません。そこでSleepbuds IIではできるだけ鼓膜を音波から隔離し、それでも漏れてくる音はホワイトノイズでカバーするイヤホンになっています。

最近私の家の隣のビルでセキュリティゲート設置工事が始まり、2階にある寝室の窓の真下でジャックハンマーを使った作業が行われています。これはSleepbuds IIの威力を試す好機だと思い、さっそく使ってみました。雨音と木々のざわめきを合わせた風景音(Bose社が“Rustle”と呼ぶもの)を組み合わせたところ、すぐ近くにあるはずの騒音がほとんど気にならなくなり、昼休みだったのもあり、30分ほど転寝してしまいました。こんな感じで、実体験からもSleeobuds IIがあれば生活の中で出会うあらゆる騒音を散らすことができると断言しましょう。

もう少し厳密に本品の遮音性を調べるため、ノイズキャンセリングヘッドホンや耳栓と同じ方法でSleepbuds IIをテストしてみました。その結果、私たちが不快だと感じる100から1,280ヘルツの周波帯で平均11.1デシベルの騒音低減効果があるとわかりました。これは、最高ランクのANCヘッドホンほどではないものの、十分に効果があるといえるもの。このデータを耳栓の評価に当てはめると、11デシベルの低減はNRR(遮音評価)の「約29」に相当し、「ささやき声、深夜の郊外」レベルということになります。この物理的な騒音低減効果に加え、サウンドマスキング機能を搭載することでSleepbuds IIはかなりハイレベルな遮音性を実現しているのです。

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Photo: Sarah Kobos
Bose Sleepアプリで外部の音を遮断するサウンドを提供。ただし選択肢は少なめ。

Sleepbuds IIに必要なBose Sleepアプリでは、ノイズマスキングサウンド(14種類)、風景音(15種類)、そして瞑想アプリのミュージックを彷彿とさせる「静けさ(10種類)」のライブラリが用意されています(サンプルはBoseのウェブサイトで試聴可能)。お気に入りを見つけたら、ワイヤレスでアップロードし、10曲までイヤホン本体に保存することができます。ただし、サウンドの切り替えにはアプリを使用します。サウンドファイルはシームレスかつ無限にループするので、いったんトラックを選択すればあとはそのまま放置してOK。

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Photo: Sarah Kobos
Sleepbuds Ⅱは小さく、耳にすっぽり埋まるので、枕にあたって痛くなることはありません。寝返りを打ってもズレにくいです。

Sleepbuds IIのように遮音性が高いイヤホンを着けていると、朝目覚まし時計の音が聞こえないのでは…と不安になりますが、このイヤホンにもアラームが組み込まれているので大丈夫。アプリを通じて時間をセットすることができます。また重要な電話を逃したくない場合でも、オプションで電話の着信通知もセットできるので安心です。ただイヤホンにマイクは搭載されていないので、SleepbudsⅡで電話に出ることはできず、通話はスマホなどを通じて行なう必要があります。

本品は小さく、耳にぴったりとフィットするので横向き寝でも快適。日中使用を前提としたワイヤレスイヤホンはマイクや大型のBluetoothモジュールが組み込まれているので、外耳道からはみ出すことも多く、横になったときに耳の中が痛くなりますよね。Sleepbuds IIは3サイズ展開のチップ付きウイングが付属しているので、自分に合ったサイズが見つかりやすいと思いますが、欲をいえばもう少し幅広いサイズを用意してほしかったです。

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Photo: Sarah Kobos
充電ケースはファンデーションのコンパクトと同等サイズ。ケースは3回フル充電したら電源につないでおきましょう。

バッテリー駆動時間は最大10時間ですが、曲の転送や大音量再生すると短縮されます。空の状態からフル充電するには6時間程度かかるので、朝起きたら(紛失防止のためにも)充電ケースに戻すように習慣づけておくといいでしょう。

ケースは3回までフル充電対応するので、週に数回電源につなげばOKです。 Sleepbuds IIはIPX4等級の防水機能を備えているので、万が一水がかかっても大丈夫。保証期間は1年間で、90日の満足度保証もついているので万が一問題があっても安心です。

好きじゃないところ

先述のとおり、Sleepbuds IIにはマイクがついていません。またオーディオソース各種からのワイヤレスストリーミング機能もなく、Bose Sleepアプリで選んだサウンドをアップロードするしかないので少々物足りないかも。デザインを重視している点は評価できますが、「睡眠時の騒音を遮断」以外の用途には使えません。率直にいえば数十種のサウンドをループで再生する機能に250ドル(約2万7,000円)費やすのは、コスパがいいとはいえないでしょう。

それでも今回Sleepbudsをおすすめ製品に選んだのは、これに匹敵する機能を持つ製品がほかになかったから。耳栓は周囲の音を低減してくれますが、自分の体内の音が増幅され、閉塞感が生じる欠点があります。また、耳栓では いびきなどの大きな音を完全にカバーすることはできません。安眠のためなら労を惜しまない方にとってはBose Sleepbuds IIが有効な選択肢になるはずです。

もう1つ心配なのは、本品はあまりにも遮音性とマスキング機能に優れているため、緊急時の音まで聞こえなくなってしまう恐れがあるということ。このジレンマを解消する策として、Boseは「一定時間後にオーディオがオフになるよう設定する(いびきがうるさい場合は有効ではないですが)」、「片方のイヤホンだけ装着する(これは非現実的)」、「一緒に寝ているパートナーに、何かあったら知らせてもらえるよう頼んでおく」といったことを推奨しています。

最後に、人の外耳道と外耳の大きさは必ずしも一致しないので、できればチップとウイングは別々のパーツであればいいな、と思います。

ベーシックでお手頃価格のヘッドバンドタイプ睡眠用ヘッドホン:Moita Sleep Headphones

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Photo: Sarah Kobos

Bluetoothデバイスからオーディオをストリーミングでき、安価で寝ているときも快適なイヤホンをお探しの方にはMoita Sleepヘッドホンがおすすめ。「ヘッドバンド型を一度試してみたいんだよね」というときには、価格も安いので、うってつけのアイテムです。ただ30ドル(約3,300円)を下回る商品なので、ある程度の妥協は覚悟しておかなければなりません。

Monitaのいいところは、ヘッドバンド型の寝ホンに必要な機能を可能な限り低価格で実現しているところ。今回テストした安価なヘッドホンの多くはスピーカー部分が硬い円盤状(80年代のウォークマンのよう)で、30分着けただけでも耳が痛み出しました。対してMonitaのスピーカーは少し変わったデザインで、硬い中心部を囲むようにリングが配置され、重さがうまいこと分散されています。結果的に、一晩中つけっぱなしでいられるほど快適な装着感が実現できたのです。

他の低価格製品同様、Moitaのヘッドバンドは1サイズしかありません。大きめ設計で伸縮性もあるので、頭が多少大きい人でも痛みを感じることはなさそうですが、逆に小顔の方には圧迫感があるかもしれません。サイズが大きすぎる場合は、縫いつけてしまうのも手。そうでないと寝ている間に外れてしまいそうですから。ドライバーとBluetoothモジュールは取り外し可能で、ヘッドバンドは手洗いOKでいつでも清潔に保てます。

バッテリー駆動時間は10時間とされていますが、実際はもう少し長く使えそう。音量60%程度で試したところ、11.5時間使用した時点で「バッテリー残量が少ない」と表示され、さらに完全に空っぽになるまでには約12時間弱かかりました。 ボリュームを上げれば、バッテリー寿命は短縮されるかもしれませんし、Moitaには通話機能もあるので、これもまたバッテリーの減りを早めることになるでしょう。

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Photo: Sarah Kobos
他の廉価製品と違い、スピーカーのディスクはかたい部分を柔らかくカバーしているので、頭の重さが分散されて快適です。

今回のテストでMoitaのヘッドホンを就寝時に使用したところ、快適度は十分でしたが低音がほとんど出ないので音質はまずまずといった感じ。映画の爆発シーンやヒップホップには迫力不足ですが、それ以外では耳障りな音や耳に突き刺さるような音、ざらつき感といった不快要素はありませんでした。

Bluetoothモジュールを使って再生、一時停止、スキップなどの操作ができます。動画では若干の遅延がありましたが、気になるほどではないと思います。

好きじゃないところ

正直、本品には気になる点がいくつかあります。まず、先述した通りサイズは1種類しかありません。器用な方なら自分に合うサイズに縫い付けることができるでしょうが、それもかなり手間です。生地もやや幅広なので、暑がりの方は頭周りに熱がこもってしまうかもしれません。また、SleepPhonesでも指摘しましたが、ナイトキャップを着けている方や就寝中にスキンケアをしている方など、そもそもヘッドバンド型が合わない場合もあるでしょう。

ヘッドバンドに電子パーツを出し入れするのはそれほど難しくありませんが、ヘッドバンドを洗った後はどこに何があったかわからず少々手間取るかもしれません。どっちのスピーカーが右でどっちが左かといったことや、「こちらの面を外側に」などの説明書きはありません。取り外す際に自分で“L”や“R”としるしをつけておくことをおすすめします。

SleepPhonesやSleepbuds IIと違い、Moitaには通話用のマイクが搭載されています。ただ、かなりこもった音で聞こえにくいので、重要な電話には使わない方がいいでしょう。

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Photo: Sarah Kobos
Bluetoothのインジケーターライトが、まるで滑走路の灯りのように点滅します。絶縁テープなどでふさいでしまうといいかも。

ヘッドバンドの前面中央にあるBluetoothモジュールには青いライトがついているのですが、これが一晩中点滅するので、テストの際は「クリスマスのトナカイみたい」という意見もありました。絶縁テープを貼れば見えなくなるので、気になる方は試してみて下さい。ちょっとカッコ悪いですけどね。

もう1つの注意点は、MoitaがAmazonで直接販売されていること。メーカー(AmazonではBluluと表示されています)のウェブサイトもなければ、連絡先も保証もありません。なのでAmazonの30日間返品保証期間が過ぎてしまうと、何か問題があっても相談する窓口がありません。安かったししょうがないかと思えるならいいのですが、購入する前に知っておくべきポイントでしょう。

Moitaには大手ヘッドホンメーカーのような体制が整っていないため、今回レビューした製品と同じデザインが明日もあるのか、また在庫が安定しているかどうかもわかりません。安価なヘッドホンを製造する場合、既存のパーツを大量購入するというメーカー側の都合もあります。次のロット製造時には安価に抑えるため、まったく別の場所から部品調達する可能性もあります。つまり、現段階でこのヘッドホンを買うことはある種の賭けにでているようなもの。購入後は返品可能期間が過ぎるまで、箱をきちんととっておいたほうがいいでしょう。

これからの睡眠用ヘッドホンはどうなる?

Kokoonが発表したNightbudsはイヤホン型の寝ホンですが、睡眠のモニタリングやコーチングをしてくれるうえ、入眠したら自動停止したり電話を受けるマイクを搭載したりと機能が豊富。クラウドファンディングを経ての販売開始です。

1Moreが発売したComfoBuds Z小さくてフラットなデザインのワイヤレスイヤホンなので、横向きに寝ても耳が痛くなりません。スリープサウンドが内蔵されているほか、Bluetooth経由でデバイスからオーディオをストリーミングできます。1More社はComfoBuds Zが耳栓レベルの遮音性を持ち、周囲の騒音を23デシベル低減するとしています。こちらのハイブリッドイヤホンがどれだけ機能するか非常に興味があるので、今後テストしてまた報告したいと思います。

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