「コンデナストは D2C 企業になる」:過去10年で最高の年を経た、同社CROのP・ドラッカー・マン氏

DIGIDAY

コンデナスト(Condé Nast)のグローバル最高収益責任者のパメラ・ドラッカー・マン氏によると、2021年は同社にとって過去10年間で最高の年だった。激動の2020年のあと、この結果は保証されていたわけでも予期されていたわけでもなかった。

米DIGIDAYのポッドキャストの最新エピソードでドラッカー・マン氏は、11月中旬の時点で、紙媒体を含む同社の全世界でのコマーシャル収入は20%増加したと語った。特にデジタル分野では、売上高が前年比で40%近く増加したが、これは主に新しいeコマース事業(46%増)、デジタルビデオへのさらなる投資、そして広告キャンペーンにおけるオーディエンスターゲティングからコンテキストターゲティングへのシフトによるものだという。

今年の成長のおかげで、コンデナストは2022年を使って「広告会社としてだけでなく、D2C企業としても最高の、もっとも洗練された会社になることに投資する」ことができるとドラッカー・マン氏は述べた。これには、NFTを含む新しいビジネスやプロジェクトの実験、メタバースでのイベントの開催、ライブショッピングへの本格参入などが含まれる。

以下は、読みやすさのために軽く編集し要約した会話のハイライトである。

RFP(提案依頼書)の急増

「マーケターたちは多くの新しい方法で当社の広告を購入しており、当社がオーディエンスから収益を上げる方法は、自社データを通じて直接行われている。オーディエンスターゲティングからコンテクスチュアルターゲティングへの移行はまだ始まったばかりだが、重要なポイントがあると思う。ほかのパブリッシャーたちが今、この時期にどのようなことをしているのか、興味深い。しかし、私はちょうど別の顧客と話をしていたが、正直に言って、今入ってきているRFPの量という点では、これほどの流入は見たことがない。プライバシー分野における変化や、マーケターたちが顧客を見つけるための新しい方法を見つけなければならない状況が原因なのか、と自分たちでも問いかけ始めている。この点は明らかに彼らにとって重要であり続けるだろう」。

クリエイターエコノミーはパブリッシャーにとって良い前兆

「もうひとつの大きな出来事はクリエイターエコノミーだ。マーケターがどのように支出先に優先順位をつけているかという観点から観測してみると、これは昨年の春にプライバシー分野の変化が始まる前からすでに起こり始めていたことだ。実際にファネル全体を見てみると、マーケターたちは、投資収益率において勢いがなくなりつつあることに気付き始め、ブランド構築に資金を再集中し始めていたと思う」。

「また、テクノロジーによってファネルが崩れた実態もある。顧客が(商品購入に際して行う)決断のプロセスは、もはやそれほど長くはない。欲求を生み出し、それを商品購入に転換させることは以前とは違って今ではものの3秒ほどで起きてしまう。そのため、マーケターは『どうやって燃料をさらに投入するか』『どうすればコンテンツの近くに(広告を)登場させられるか』といった点に力を入れている。誰もがコンテンツクリエイターになりたがっている。そして、コンテンツがコマースを促進している理由、コンテンツが顧客定着とエンゲージメントを促進している理由はたくさんある」。

「コンテンツ企業としての我々のポジショニングは良い。しかし、マーケティングパートナーたちが必要としているソリューションになるためのポジショニングもすでにできている。我々は、消費者と直接関係を築くことに焦点を当てている。そのため、我々はeコマース関係を構築し、質の高いコンテンツの収益化戦略を、消費者に直接繋がる方法を中心に据えたより強固な関係構築においている。これらは、我々自身のために改良しているツールだ。そのため、これらのツールの一部をクライアントに貸し出すことができる」。

コストを抑制するための新たな方法を見つける

「我々のコストに対する考え方にはいくつかの変化があった。パンデミックの前の時代では、我々は『過剰』が普通の生き方をしていた。人々は(プロダクトを購入する時に)『これは自分に必要か。それとも必要でないか』と熟考はしていなかったと思う。それがあの時代の物事の在り方だった。我々はより機敏になることを学んだと同時に、必要な物を減らすことを学んだ。どういうことかと言うと、『(自分が達成しないといけない課題)を達成するためには私には何が必要か』と熟考する態度だ」。

「我々は、リソースをより有効に使う方法を学んだ。そのことから、キビキビと節約をする態度と、より良いビジネスの運営方法が生まれた。ただ仕事量を増やすのではなく、よりスマートに仕事をするという考えを持つようになった。(たとえば)さまざまなロケーションに現場の制作チームがおり、すでに特定の現場にチームがいるにもかかわらず、わざわざ別のチームを飛行機でそこまで送るべきかどうか、しっかりと熟考する、といった具合だ。正直に言って、これは本当に我々に与えられた贈り物だ。我々がどのようにお金を使うかについてのより思慮深いアプローチを教えられた」。

[原文:‘Becoming a direct-to-consumer company’: How Condé Nast’s Pamela Drucker Mann is focusing on innovation in 2022 after the best revenue year in a decade

KAYLEIGH BARBER(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)

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