オムニチャネル が成功戦略のなか、デジタル再改革を推進するアーバンディケイ【ビューティ&ウェルネスブリーフィング】

DIGIDAY

グロシエ(Glossier)のようなD2C専門だったブランドがついに小売に進出したことで、オムニチャネルがビューティで成功を収めるための唯一の戦略になった。また、すでに卸売戦略とデジタル戦略を実施している企業にとってはそのような戦略を微調整することが常に必要となっている。

デジタルプレゼンスを再構築中のアーバンディケイ

その好例を挙げよう。ロレアル(L’Oréal)が所有するアーバンディケイ(Urban Decay)だ。同社は1年以上にわたりデジタルプレゼンスを再構築しており、Z世代をもっと取り込むために、自社のeコマースサイト、新規と既存の卸売パートナー、ソーシャルメディアのプレゼンスにフォーカスしているところだ。

アーバンディケイは7月に刷新したeコマースサイトを発表した。これまでのダークでムーディなスタイルは狙う顧客ベースにもっと適したカラフルで楽しいスタイルに取って代わった。UrbanDecay.comの新機能には、ホームページの上部にあるインスタグラム風ストーリーのハイライト、3D製品ページ、モディフェイス(ModiFace)による充実のバーチャルトライオン(仮想お試し)体験、また、『ユーフォリア/EUPHORIA』(原題: Euphoria)でブレークアウトした女優、チェリー・クロエ氏との最近のコラボのようなクリエイター主導提携のハイライトなどが含まれている。同社はまた、バイラルなTikTokシリーズに基づいてサイト全体で「TikTok Made Me Buy It(TikTokを見て購入した)」ラベルのテストを先月開始した。最初に対象になっているのは、24/7グライドオンアイペンシル(24/7 Glide-On Eye Pencil)、バイスリップボンド(Vice Lip Bond)リップスティック、主要カテゴリーページである。

「パフォーマンスの主な原動力は、引き続き顧客中心のフロントエンドだ。つまり、ウェブデザイン、検索とナビゲーション、SEO、そしてもちろんビジュアルマーチャンダイジングだ」と述べているのは、アーバンディケイのグローバルブランドプレジデント、エヴァ・アードマン氏だ。「この強固な基盤により、購入のしやすさとバスケットのサイズを繰り返してテストし、革新することができた。これまでのところ、ガイド付き販売クイズ、インスタグラムのようなクリエイターストーリー、「TikTok Made Me Buy It」ショッピングオプション、3D製品ページの画像などユーザーがあたかも店舗いるかのように製品(のパッケージ)を体験できるようにしたことで大きなエンゲージメントが見られている」。

デジタル再改革による成長ぶり

これらの戦略により、自社サイトでのコンバージョンが86%増加、Z世代の普及率が16%増加した。ページビューも62%増加して、サイトでの直帰率は10%減少。さらに、アーバンディケイの分類、ナビゲーション、カテゴリー、製品ページの再デザインによりGoogleでの非ブランド検索でのランキングが上昇した。たとえば、アーバンディケイはアイメイクでもっとも知られているが、現在検索エンジンで「最高のアイシャドウパレット」の座を獲得している。

デジタルトレンド予測エージェンシー、スペイト(Spate)のデータは、アーバンディケイのデジタルの成長を裏付けるものだ。スペイトによるとUrbanDecay.comのオンサイトは前年比4%の成長を遂げており、毎月平均で50万件近く検索されているという。

スペイトの共同創設者であるヤーデン・ホロウィッツ氏は、2021年5月はUD×Princeコラボレーションによりアーバンディケイにとっては突出した月になった語っている。「アーバンディケイにはすばらしい1カ月があったが、それは長くは続かなかった。しかし、これは2022年の前年比成長率の比較に影響を及ぼした。あの月の急上昇がなければ、同社の前年比成長率はもっと高かっただろう」と述べ、5月以降の数カ月における強力なローンチによってアーバンディケイのオンラインの勢いが続いたことに言及した。

アーバンディケイのソーシャルとeコマースの相互リンクは顧客がいる場所にブランドが存在している最良の例だろう。同社サイトは1カ所でインスタグラム、Snapchat、TikTokの優れた部分を模倣しているからだ。特に、TikTokのバイラリティによって多くのビューティ製品が驚くべき売上を見せているため、アーバンディケイの「TikTok Made Me Buy It」の認定スタンプは製品に併記されているビューティ関連のどんな賞よりも重要になる可能性がある。また、Z世代の関心に合わせて、昨年には若いゲーマーにリーチするためにTwitch(ツイッチ)に進出、そこでのゲーミングにもさらに注力している。また、イラストレーターのロビン・アイゼンバーグ氏との10月の休日をテーマにしたARゲームでのゲーミングにも注力している。アーバンディケイには今月後半にメタバースに進出する計画がある。

Amazon参入による急成長

だが、アーバンディケイはパートナーなしでデジタル支配を試みているわけではない。いまでもセフォラ(Sephora)やアルタビューティ(Ulta Beauty)の店舗やオンラインで販売されているが、Amazon、Tモール(Tmall)、ルックファンタスティック(Lookfantastic)、エイソス(Asos)のようなeコマースのみのパートナーにも急速に拡大している。2020年にAmazonでローンチして以来、A+コンテンツを通じてAmazonで最適化するためにこの2年を費やしている。カテゴリー全体の販売ランキングでは前年比で1ポイント成長。たとえば、フェイス部門では昨年の5位から4位にランクアップした。米国のAmazon内ではアーバンディケイは3番目に売れているアイメイクアップブランドであり、ヨーロッパではメイクアップ全体で3番目に売れている。

アードマン氏は次のように述べている。「Amazonはスケーラブルな新規オーディエンスと、そのオーディエンスを集めるためのツールをもたらしてくれる。また、当社のビジネスへのアプローチ方法においてもAmazonは重要だった。オーディエンスの要望を捉えるには、これまで以上にデータ駆動型で、今までとは異なる考え方、働き方をする必要があった。そして我々はそれを実行した。米国とヨーロッパのAmazonでローンチして以来、当社はプレミアムメイクアップ市場の2倍の速さで成長している。これらのマーケットプレイスは適切な価格で新しい消費者を見つけて取り込むのに役立っている」。

アーバンディケイから売上高は共有されていないが、同社はデジタルチャネル経由で全事業の少なくとも50%をターゲットにしていると述べている。ロレアルの2022年上半期の報告では、アーバンディケイは「ダイナミックであり続けた市場よりも大幅に速い成長を遂げている」と言及されていた。

[原文:Beauty & Wellness Briefing: Urban Decay makes the case for digital reinvention

PRIYA RAO(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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