たけのこの里公式の「正面」とは – BLOGOS しらべる部

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国民的お菓子ともいえる「きのこの山」と「たけのこの里」。実は「きのこ」と「たけのこ」にそれぞれ正面があるということ、みなさんご存知でしょうか?

BLOGOS編集部

実は、この2つのチョコレート菓子、特許庁によって「立体商標」に登録されており、公にもその形状が認められているのです。一方、こうしたお菓子そのものが立体商標として認められるのは非常に珍しいそうです。販売する菓子メーカー「明治」の担当者や特許の専門家に話を聞きました。

カーネルおじさんやコーラの瓶も…立体商標とは?

立体商標は、特許庁が管轄する立体的な形状のものについて商標権の登録を認める制度です。弁理士の新井悟さんによると、立体商標は大きくふたつに分けられるといいます。

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ひとつ目は、ケンタッキーフライドチキンのカーネル・サンダース人形や、不二家のペコちゃん人形など、店舗の前に広告物として置かれる立体物。

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立体としてお店に置いてあるものが多いので、こうしたものは登録が認められるケースが多いといいます。

ふたつ目はパッケージの形状で、代表的なのはコカコーラの瓶や、ヤクルトドリンクのプラスチック容器などです。

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「きのこの山とたけのこの里は、そのどちらにも当てはまらずお菓子の商品の形状。こうしたケースが認められるのはハードルがとても高く、珍しいケースといえます」(新井さん)

なぜお菓子の立体商標登録は珍しいの?

では、なぜこうしたケースが認められるのは珍しいのでしょうか?

それは立体商標が登録された場合には、その形状を登録した会社や組織が半永久的に使用する権利を持つという点にあります。

その形状をいわば特定の会社が独占して使用できるため、形を見ただけで全国の消費者が「○○社のこの商品だ」とすぐにわかるくらい、長年にわたって広く認知されているということを証拠として特許庁に見せる必要があるのです。

たとえば鳥の形をしたまんじゅうは、2003年に株式会社「ひよ子」によって立体商標登録されるも、同様の鳥の形をしたまんじゅうを販売している競合他社から無効審判を請求され、翌年に無効となりました。東京をはじめとした関東などでは一定の知名度があるものの、「全国的な周知性を獲得するには至っていない」とされ、ひよ子はその後2015年にも再度出願しましたが、拒絶されています。

きのこの山は3回目の出願で登録実現

明治の「きのこの山」の発売は1975年、「たけのこの里」の発売は1979年。同社のお菓子を代表する40年以上のロングセラー商品で、社内でも「きのたけ」の総称で親しまれているそうです。しかし、この「きのたけ」も立体商標登録を実現するまでに何年もの歳月を要しました。

きのこの山とたけのこの里の初代パッケージ(株式会社明治提供)

1997年に同社はこの2つの立体商標の出願を初めて行いましたが特許庁からの結果は拒絶。きのこの山は計3回、たけのこの里は計2回出願し、ようやく認められたのです(きのこの山は2018年、たけのこの里は2021年)。

「きのたけ」両方の立体商標の登録を担当した長尾美紗子さんは、「広報やマーケティングに関連する部署から、これまで出した広告や新聞の掲載記事などを取り寄せるほか、インターネット上で商品の形だけで商品名がわかるかどうかのアンケートを実施しました。その結果、約9割の方から『きのこの山』『たけのこの里』と、正しい商品名の回答を集めることができ、登録につなげることができました」と話します。

きのこの山、たけのこの里、それぞれの正面はどれ?

社内では「きのたけ」との総称で呼ばれている同商品たち。立体商標には、きのこの山が5画像、たけのこの里は7画像登録されています。

提供=株式会社明治

「きのたけ」それぞれの正面はこちら

提供=株式会社明治

正面は、誰がどのように決めたのでしょうか。

「それぞれの商品を毎日眺めるなかで、左右のバランスなどから『この角度が正面だ』と。最終的には私の「きのたけ」への愛で決めました!」(長尾さん)

長尾さんは「お菓子を楽しむ時は、商品の形をしっかりと見ずに食べてしまう方も多いと思いますが、時にはじっくりと色や形なども見て楽しんでいただけるとうれしいです」と話しています。

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