こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
昨日からオミクロン株への水際対策の一貫で、政府が航空各社に日本人の帰国まで制限するために日本到着便の予約停止を「要請」、一夜にして撤回するという事件が起きました。
日本到着便の「予約停止」要請撤回めぐり大臣が陳謝
https://news.yahoo.co.jp/articles/0eab6f2342a0b30566b6d9a7d55c11c272311e15
撤回したとはいえ一時は岸田政権と取り巻きの官僚たちは在外邦人を見捨てると宣言した
これは非常に重いよ
自国民を救えない国が台湾有事に憂慮するとはちゃんちゃらおかしい
日本到着の国際線の新規予約停止を要請 12月末まで 国土交通省 | NHKニュース https://t.co/gHjo7HZQDN
— ABC Trader (@ABC87791035) December 2, 2021
撤回されたから良かったものの、これは極めて問題が大きい行為でしたので、論点をまとめておきます。
まず、現状における水際対策で外国人の入国を制限することは私も是とする立場ですが、日本人をこうした形で「帰国拒否」することは憲法違反の疑いすらあります。
日本国憲法第22条第1項
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
これが一般的に「海外渡航の自由」と解される部分です。
「公共の福祉に反しない限り」という留保がついているものの、さらに度し難いのは日本政府は今回この制限を「要請」によって行おうとしたことです。
明確な基準や法的効力のない「要請」によって、日本政府が事業者や国民に圧力をかけることがコロナ対策として繰り返されてきましたが、その行き着く先がこれです。
特に航空会社などのインフラ事業は、政府の許認可に多くの部分を依存しますから、このような「要請」は言葉以上に「強制」に近いものになるでしょう。
日本国民が憲法で保障された自由・人権を、法的根拠すらない「要請」によって、国民自身あるいは事業者等の手で奪わせようとする。
今回の日本政府の目論見は二重三重に問題であり、とうてい看過することのできないものです。
海外に行くと永住権でない限り必ず滞在期限というのがあります。短いもので数ヶ月、長いので数年になります
この定められた日数以内に必ず滞在国を出なくてはいけません
国際社会はもちろん、日本だけでは生きてはいけないので2021年12月1日の時点で海外に渡航してた邦人はいたでしょう
— やす a8 ベンチャーキャピタル (@YasLovesTech) December 2, 2021
海外在住者による問題提起Tweet。ツリー一読を推奨。
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前述のように、今回のような超法規的な「要請」はコロナ禍の下で何度も繰り返され、
「落ち着いたら法整備や(緊急事態条項のような)憲法改正を議論する」
と言いながらずーっと先延ばしを続け、結局今回も、臨時国会が開かれる前に新たな変異株の脅威にさらされることになりました。
ロックダウンが良いかどうかに議論はあるとしても、法的根拠もない「要請」でなし崩し的に人権が制限される現状は、このまま宙ぶらりんで良いはずがありません。
本件も撤回されたからよしとするのではなく、海外在住の日本人をごく短期間とはいえ見捨てようとしたこと、そして問題の根幹にある日本国政府の「要請グセ」について、国会からも厳しく声をあげていきたいと思います。
それでは、また明日。
音喜多駿/おときたしゅん
参議院議員(東京都選挙区) 38歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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