メモ
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴い、世界中でマスクを着用する習慣が定着しつつあります。ウイルスの拡散防止に効果的だとマスク着用を支持する人がいる反面、人権侵害などを理由にマスク着用に反対する人がいるのも事実。海外メディアのThe Conversationは、「過去の感染症流行時は今ほどマスク着用が否定されていなかった。この違いは何なのか」と論じています。
Mask wearing wasn’t disputed in previous crises – so why is it so hotly contested today?
https://theconversation.com/mask-wearing-wasnt-disputed-in-previous-crises-so-why-is-it-so-hotly-contested-today-171536
Wearing a face mask is not new – but the backlash against them is, say historians
https://www.telegraph.co.uk/global-health/science-and-disease/wearing-face-mask-not-new-backlash-against-say-historians/
1918年頃にスペインかぜが流行した時や、1940年頃にドイツ軍の空襲を避けてイギリス人らが地下にこもった時、あるいは1950年代にイギリスでスモッグが発生した時には、国民は今よりはるかにマスク着用に肯定的で、大きな論争も発生していなかったとThe Conversationは指摘しています。
マスクの歴史を研究するキングス・カレッジ・ロンドンのジェシー・グリン氏によると、第二次世界大戦当時はイギリス政府がインフルエンザを防止するため、50万枚のマスクを配布したとのこと。この時科学者と政府の間でマスク着用について論争が起こることはなく、人々はただ「ファッショナブルではない」という感情を抱いただけで、マスク着用に動揺せず、自由や英国人気質に反するなどとは考えなかっただろうとグリン氏は指摘します。
これらの出来事がCOVID-19の流行と異なる点について、The Conversationは「目に見えるかどうか」という点を指摘。例えばドイツ軍の攻撃時には空襲によるほこりや煙が舞い、スペインかぜの流行時には下痢や嘔吐などの目に見える症状が表れていました。政府やメディアはCOVID-19にも視覚的な情報を付加しようと人工呼吸器を付けて横たわる人の写真などを使って脅威を喧伝していましたが、このような方法は感染者を「敵」とみなし、感染者を不必要に特定することなどにつながったため、医療専門家や学者らの間で議論が巻き起こったとThe Conversationは指摘しています。
第2の相違点として、情報の伝達方法が大きく異なる点をThe Conversationは指摘。1910年代にマスク着用が宣伝されたのは政府公認の新聞やポスターだけであり、他の機関から情報が発信されることはほとんどありませんでしたが、その後人々が手にする情報はラジオやテレビなどからと広がっていき、現代では一個人が情報を発信することさえ可能になりました。SNSなどからマスク着用反対の声が広がるのは、今では当たり前に見られる現象になりました。
The Conversationは「20世紀初頭の健康被害流行時に比べてマスク着用に非協力的な人は多く、現代のマスク着用における国民感情はメディアやSNSなどが原因で分裂しています」と述べました。
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2021年11月26日 17時28分00秒 in Posted by log1p_kr
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