投票棄権を招く日本政治の貧困さ – PRESIDENT Online

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選挙戦は有権者に分かりやすい構図となったが…

衆議院の総選挙は10月19日に公示され、31日の投開票に向け、各候補者が選挙戦に突入した。主な争点は新型コロナ対策と日本経済の再生、それに中国、北朝鮮を念頭にした安全保障政策である。

計1051人が立候補し、衆院定数の465議席(小選挙区選289、比例選176)を争う。過半数は233議席となる。

政権選択といわれる衆院選。今回は自民公明両党の与党と、立憲民主党を中心に共闘を組んだ野党が激しく対決する。与党vs.野党の一騎打ちで、選挙戦は有権者に分かりやすい構図となった。

岸田文雄首相は19日午前、福島市で演説に立ち、「この選挙は未来選択選挙だ。ぜひ、皆さんの選択と信任をいただき、信頼と共感のある政治を進めていきたい」と訴えた。

一方、立憲民主党の枝野幸男代表はこの日、島根県松江市に飛び、「国民一人一人の懐を温かくする所得の再分配こそ景気をよくする第一歩だ。私たちには具体的なビジョンがあり、プランもある」と政権交代を主張した。

自民党が変わらなければ、日本は良くならない

岸田政権となるまで、安倍晋三元首相、菅義偉前首相の両政権は、合わせて9年近くも続いた。とくに官邸主導を前面に打ち出した安倍政権は「アベ1強」といわれ、安定感はあったものの、長期政権がもたらす弊害を生んだ。

いわゆる「ゆるみ」や「おごり」である。安倍政権は森友・加計の両学園疑惑や桜を見る会の問題で多くの国民の信頼を失った。参院選をめぐって法相経験者が逮捕・起訴され、実刑判決を受ける選挙違反事件などの前代未聞の事件も続いた。しかし、自民党内からは反省の声は聞かれず、自浄作用は働かなかった。

※写真はイメージです – 写真=iStock.com/oasis2me

自民党が「成功した」と自負するアベノミクスはどうか。確かに経済成長には寄与したかもしれないが、富裕層と低所得者層の格差が広がり、その是正が大きな課題となっている。

自民党総裁選(9月29日)が近づくと、若手・中堅の国会議員から党内改革を求める声が上った。だが、岸田首相は安倍氏に近い甘利明氏を幹事長とする党役員人事を実施。その結果、改革の声は薄れ、政界のキングメーカーとしての安倍氏の影響力はさらに強まった。

衆院選で自民党は少々痛い目に遭って目を覚ますべきではないか。これまで日本を牽引してきた政党である。自浄作用に欠けるいまの自民党には改革が必要だ。自民党が変わらなければ、日本は良くならない。

「必ず投票に行く」と答えた人は「56%」

そのためには、より多くの有権者が投票する必要がある。通常、投票率が低ければ低いほど、組織票の多い自民党や公明党が強くなる。反対に投票率が高くなると、野党に票を入れる有権者は増える。多数の国民の判断が働いてこそ、政権選択選挙だ。それが民主国家であり、民主主義である。

今回、問題の投票率はどうなるか。

過去の衆院選の投票率(小選挙区選)を調べてみると、2012年は「59.32%」、2014年が「52.66%」と、2回続けて戦後最低を更新した。2017年は選挙権年齢を18歳以上に引き下げた初の衆院選だったが、若者の投票が予想以上に少なく、「53.68%」と伸びなかった。

NHKが10月15日から3日間実施した世論調査では、「必ず投票に行く」と答えた人は「56%」だった。過去の例から分析すると、実際の投票率はこの数字より低くなる。自民党に反省を求めるためにも、多くの有権者が投票に参加し、民意をしっかり示すべきである。

※写真はイメージです – 写真=iStock.com/maroke

いまの野党に日本を委ねるわけにはいかない

立憲民主党をはじめとする野党は、政権を握るにはまだ力不足だ。沖縄・普天間のアメリカ軍基地の県外移設を求めて日米関係を悪化させたり、福島の原発事故に右往左往したりと、旧民主党政権の杜撰さを思い出すと、旧民主党の党員が多い立憲民主党に日本の舵取りは任せられない。

立憲民主、日本共産、国民民主、れいわ新選組、社会民主の野党5党の共闘は、政権を勝ち取るための作戦としてはいいだろう。だが、実際に政権交代が実現した場合、根本の政治思想が異なる党同士が政策を立てて実行するというのは無理がある。

それゆえにいまの野党に日本を委ねるわけにはいかない。立憲民主党が政治力を付け、国民の信頼を得られる政党に生まれ変わる必要がある。

時間はかかるだろう。だが、それができれば、日本にイギリスやアメリカのような2大政党が誕生する。自民党と立憲民主党による2大政党制である。2つの党が交互に政権を取ることでお互いを補い、正しい方向に日本という国の軌道を修正できるのではないか。その結果、バランスのある政治が生まれる。これが沙鴎一歩の持論である。

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