Google 、気候変動を巡る「誤情報」の規制に踏み切る:要点まとめ

DIGIDAY

広告主やパブリッシャー、YouTubeクリエイターに向けて、Googleが新たにポリシーを打ち出した。

それによると、気候変動の誤った情報、つまり「気候変動の存在と、原因に関する確立された科学的合意に矛盾するコンテンツ」から収益が得られなくなるという。

この新たなポリシーは、気候変動を否定するコンテンツの横で自社の広告を流されたくないとする広告主や、気候変動を否定する広告の横で自社のコンテンツを流されたくないとするパブリッシャーの要請で策定されたものだと、Googleは説明する。

主な詳細内容

  • 新たなポリシーの影響を受けるのは、「気候変動をでっち上げやペテンだとする内容や、世界全体の温暖化を示す長期的傾向を否定する意見、温室効果ガスの排出や人間の活動が気候変動の一因であることを否定する意見」に言及しているコンテンツだ。そのようなコンテンツの収益化は、今後できなくなる。またそのような広告も、今後はGoogleの広告ネットワークで流されなくなる。
  • Googleは本件にかかわるデータを共有していなかったが、ポリシーの施行がはじまれば、企業、およびクリエイターはより明確な情報が得られるだろうと述べている。なお新たなポリシーが施行されるのは、本記事が米国で公開された10月7日(米国時間)から、パブリッシャーおよびクリエイターに対しては30日後、広告主に対しては60日後だという。
  • Googleでは、AIと人の目を利用してチェックし、「違反するパブリッシャーのコンテンツや、Google提供の広告、YouTubeパートナープログラムで収益化されているYouTube動画」に対して、このポリシーに準じているかをチェックしていく。なおコンテンツに関しては、「誤った主張を事実として提供しているコンテンツ」と「報道目的、もしくは議論を展開するコンテンツ」を区別したうえで評価を行う。
  • オーガニックコンテンツはポリシーの適用外。また、気候政策に関する討論や気候変動の影響、気候変動の新たなリサーチといった気候に関わるトピックで収益を得ているコンテンツは、今後も引き続き収益化が可能である。なお、オーガニックコンテンツに関して、YouTubeはすでに独自のポリシーを展開しており、誤情報の拡散を軽減し、消費者に対して検索結果や関連動画で、権威あるコンテンツをレコメンドするよう取り組んでいる。

はじめの一歩

広告主やエージェンシーの経営陣は、今回のポリシー変更は、Googleを正しい方向に導く一手だと捉えている。「これは大きな前進であり、歓迎すべき変化である」と話すのは、メディアエージェンシーのUMで、デジタル・イノベーションの最高責任者を務めるジョシュア・ローコック氏だ。誤情報の急増と広告主にもたらされるリスクに関しては、最近メディアエージェンシーのIPGメディアブランド(IPG Mediabrands)が調査結果を発表しているが、今回のGoogleのニュースはその報告書に続くものだという。「今回の流れが、ほかの企業やアドテクパートナーに『わが社もそうしよう』を思わせるような前例になってもらいたい」とローコック氏は話す。

複数のエージェンシーの経営陣によると、エージェンシーのスタッフや役員だけでなく、広告主もオンラインの気候変動に関する誤情報や、その誤情報のもつ影響力に対して、大いに懸念しているという。

「気候変動はあまりにも重要な問題であり、もはやとても無視できない」と、消費財大手ユニリーバ(Unilever)のグローバルメディア担当エグゼクティブバイスプレジデントのルイス・ディ・コモ氏は、ステートメントで述べている。「視聴者に対して意図的に気候変動の偽情報を流し、人々を誤った方向に操ろうとするコンテンツは、それがいかなるものであれ、メディアプラットフォームにあるべきものではないとユニリーバは信じている。気候変動を否定するコンテンツの収益化を禁じるというGoogleの新たなポリシーは、大いに歓迎されるはじめの一歩であり、この分野において、今後もさらに説明責任が追及され、状況に進展が見られることを期待する」。

さらなる一歩

エージェンシーの経営陣は、誤情報との戦いは決して楽ではないが、Googleにとって、気候変動は手はじめとして無難なテーマであり、今後はこのポリシーを誤情報が取り沙汰される他分野にも拡大するのではないかと見ている。「そもそもブランドというのは立場も違えば考え方も違う。しかし気候変動は、大半の人が問題視する答えのはっきりしたテーマだ」とある役員は話す。

[原文:The Rundown: Google creates new policy to prevent advertisers, creators from making money off of climate misinformation

KRISTINA MONLLOS(翻訳:SI Japan、編集:村上莞)

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