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ここにきて新型コロナウィルスの蔓延も落ち着きつつあるが、長引いたコロナ禍によって国内のレジャーは大打撃を受けている。言うまでもなく国内旅行の需要は下がり切っていたし、観光地では青息吐息で営業をしている旅館や飲食店は今も少なくない。既に体力が持たずに閉業してしまったというケースもある。
旅行ですらこれなんだから、元々ここ20年ぐらいずっとユーザー需要が減り続けてきたパチンコなんてもっと酷い。今回は、最新の市場規模とユーザー数の減少についての話をしていきたい。(文:松本ミゾレ)
残り710万人……減少を食い止める努力はあれど先行き不透明
9月末、パチンコ情報サイト「グリーンべると」に「パチンコ参加人口710万人、前年から180万人の大幅減少」という記事がアップされた。
日本生産性本部余暇総研の「レジャー白書2021」で、2020年のパチンコ参加人口が前年の890万人から710万人に減少したことが明らかになった、というのだ。2年連続過去最低の更新で、業界には激震が走っている。
パチンコ業界はここ数年、それこそコロナ禍以前からユーザーの離脱に喘いでた節がある。
そこでパチスロ旧規則機種の設置期限を若干延長してみたりしてユーザーをつなぎとめるための細々とした努力は継続してきた。それが先々の業界にとって良いことかどうかはさておき。
メーカー側は、パチンコ台に実質的な天井機能を搭載させたり、久々に6段階の設定を導入する機種などもリリースしたりして、ホールもそれらを設置してきた。店によっては女性客獲得のため、アメニティに力を入れるなどもしているところである。
ただ、それでも参加人口は年々減ってきたし、ここへ来てのコロナ禍で、閉業する店舗も相次いでいるのが実情だ。
一気に180万ユーザーが撤退した理由はコロナだけか?
このユーザーの激減の最大要因はコロナ禍。それは間違いない。ただ、ユーザーが減り続ける原因というのは他にもある。
たとえば昨今はパチスロ6号機が主流になっている。出玉性能が抑えられ、最大2400枚出すと一度大当たりが途切れるという射幸性の低さについては、これまでもこちらのコラムで説明をしてきた。
パチンコ・パチスロというのはあくまで遊技の建前はあれど、結局の所庶民のギャンブルだから、夢を見ることができない機種はウケない。つまり一撃で10万、20万も出る可能性が絶対にない機種となると「わざわざ打ちに行かなくていいよね」と思われやすい。
さらに6号機の場合、有利区間という概念があり、これを確認するための「有利区間ランプ」もやたら目立ちにくい場所にひっそりと点灯している。目立たないんだけど、勝ちたかったり、無駄にお金を入れたくない場合はここを注視しなければならない。
新規ユーザーの流入が急務な時代に、この有利区間ランプの目立たなさが結構な曲者要素なのだ。ぶっちゃけ、この辺りのややこしさを敬遠している人は現役のパチンコユーザーの中にもいる。
ここをもっと分かりやすく説明したほうがいいと思うが、現状そこに心を砕いている業界とは思えない。ホールも「この機種の有利区間はこうなってますよ」みたいな説明をしてくれる店はほとんどない。
それから今は、パチスロよりもパチンコのほうが明らかに射幸性が高くなっている。1時間で20万円分ぐらいの出玉が手に入るような機種もある。それはいいんだけど、ハイリスク・ハイリターン機種の宿命として、投資金額がどうしても5万、6万とかになりがちで資金がショートしやすい。「苛烈な出玉性のパチンコは好きだけどお小遣いないから打てない」という人を増やしがちということである。
こういう大博打好きな人ってレートの低い台はそもそも打たないし、出玉が緩い台も打たない。打とうと思う選択の余地がないのである。「射幸性の高いアレを打てないぐらいなら、しばらく我慢しよう」となっちゃうわけだ。
コロナ禍だけでなく、こういった現状のパチンコホールの「遊ぶ選択肢の少なさ」も、ユーザーの激減に影響しているのではないかと、いちユーザーとしては感じるところである。
ただ、今年に入って10年ぶりにパチンコのテレビCMが復活したので、これを見てホールに通うようになる人は少なからずいるはず。来年公開される『レジャー白書』には、きっとその影響力が数字として表れていることだろう。