環七と中山道がクロスする場所にある都営三田線板橋本町駅。入口を出ると、晴れているにもかかわらずじめっとした空気と薄暗さを感じた。頭上を覆うような首都高がそう感じさせたのかもしれない。
そこから歩くこと数分。閑静な住宅街の中に今回の記事の主役「長寿庵」が佇んでいる。外観は昔からある街のおそば屋さんといった風情。住宅街にぴったりなのんびりした雰囲気が漂っている。しかし、扉を開けてみたところ……ゾクッ
東京怪奇酒やん。
説明しよう。『東京怪奇酒』とは、清野とおる先生のエッセイマンガで、友人知人他人から直接聞いた怪談の現場に足を運んで酒を飲むという内容。
長寿庵の入ってすぐのところに、そんな清野とおる先生のサインが飾られていた。だが、私が驚いたのはサインがあったことではない。ありすぎなのだ。色紙が重なるほどに何枚も。清野とおる先生、めっちゃ来てる……!! カタカタ
・ゾクッ 東京怪奇酒
それもそのはず、このそば屋の道を挟んだ向かいには、ネットで「関東最強」と言われる縁切りスポット『縁切榎』がある。スポットの詳細は以前の記事をご覧いただくとして、東京怪奇酒の続編『ゾクッ 東京怪奇酒』の3杯目が縁切榎の回なのだ。
したがって、縁切榎の絵馬を販売している長寿庵も『ゾクッ 東京怪奇酒』に登場する。作中では清野とおる先生も「ココの蕎麦……激うまなんですよ」と語っていた。
・昔ながら
そこで「かつ丼セット(税込み1200円)」を食べてみたところ、確かにそばがウマイ。真っ白な細めの麺はのど越しが良く、もりそばのつゆが真っ黒と言えるくらい濃いのが昔ながらのおそば屋さんという感じがする。
浅草の並木藪蕎麦ほどではないにせよ、濃厚なしょっぱさのあるつゆでそばの半分くらいを浸して食べた。そば湯で割ったらまたウメェんだこれが!
ちなみに、メニューには「榎蕎麦(税込み880円)」というものもある。こちらは、ミョウガや鰹節、かいわれ、えのきなど薬味祭のそばであった。
・パワースポット(当社比)
しかし、何より印象的だったのは店員さんが楽しそうに働いていること。活気があるところも昔ながらを感じたポイントで、思わずこちらも笑顔になってしまう。
店を出た後、なんとなくスッキリしたような気分になった。パワーを分けてくれるような店である。というわけで、関東最強の縁切りスポットの道を挟んだ向かいにはパワースポット(当社比)があった。
清野とおる先生いわく、春に登場する「桜の葉を練り込んだ淡いピンクの『桜切り蕎麦』」が絶品で「毎年1度は食べないと春を越せない体になっちゃいましたよ」とのこと。今度は春に来るのも良いかもしれない。
・今回紹介した店舗の情報
店名 長寿庵
住所 東京都板橋区本町18-9
営業時間 11:30~15:00/17:30~20:00
定休日 木曜日
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.