DNAデータストレージのCATALOGが約39億円調達–DNAベースのコンピューティング実現へ

CNET Japan

 生物の遺伝情報をつかさどるDNAを用いたデータストレージを手がける新興企業CATALOGは、DNAの分子構造をデータ処理にも利用しようとしている。

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提供:CATALOG

 CATALOGは米国時間9月30日、3500万ドル(約39億円)の資金を獲得したと発表した。同社のDNAライターおよびデータストレージシステム「Shannon」の機能を強化し、高速化、小型化するとともに、より優れたビジネスのベースとする狙いがあるようだ。DNAベースのコンピュテーションを2022年に実現したいとしている。同社によるとShannonは、1秒あたり膨大な数の化学反応を実行し、人工合成したDNA分子を操作できるという。

 マサチューセッツ州ボストンに拠点を置くCATALOGは、この装置が汎用目的のコンピューターハードウェアに取って代わるとは考えていない。そうではなく同社は、金融サービスの不正利用の検知や、エネルギー分野のデジタル信号処理といった特定の作業を加速したいと考えている。

 DNAコンピューティングは、より高速なチップの製造に向けて苦心しているコンピューティング業界から生み出された複数の革新的アイデアの1つだ。これは、生物の遺伝情報を格納するDNAの構成要素である塩基対(C、A、T、Gというアルファベットで表される)と同じものを用いる。CATALOGは、25〜30の塩基対の並びから114種類の特定の組み合わせを採用しているという。それぞれの組み合わせは、特定の数学的規則に従い、隣接する塩基対と結合する、いわばレゴのパーツのようなものだ。そして、データの格納と取得は化学反応を通じて実現される。

 CATALOGの最高技術責任者(CTO)Dave Turek氏は、結果としてできあがるシステムは、常に計算ジョブを実行し続けられるだけの効率的な処理が可能になると期待している。

 データのアーカイブ化という観点から見た場合、DNAは安定した分子構造を有しており、CATALOGの見積もりによるとその有効保存期間は何万年にも及ぶという。また格納されているデータは、ゲノムシーケンスを解析する標準的な機器で読み取ることができる。ここ数年でDNAシーケンサーのコストは次第に低下してきており、その速度も着実に向上している

 CATALOGの計画は数年がかりのものとなっており、現時点では顧客よりも研究パートナーの数の方が多い。同社の目標は、まず現在のShannonを高速化し、コンピューティングの課題解決に向けた用途をデモンストレーションすることだ。さらに、データのアーカイブテクノロジーを市場に投入し、その後コンピューティングテクノロジーに向けて拡大していきたいと考えているという。

 Hanwha Impactが今回の資金調達ラウンドを率いた。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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