危険な韓国産食品は?(写真/EPA=時事)
「辛ラーメン」で知られる韓国の即席ラーメン最大手「農心」がEUに輸出した商品から、基準値超えの有毒物質「2-クロロエタノール」が検出され、EU当局は販売停止とリコールを実施したと報じられた(8月16日)。食環境衛生研究所・食品分析室の岸田拓也氏が語る。
【52例】使用基準不適合の添加物:塩辛等(1月、4月、9月)、基準値超の農薬:生鮮エゴマや青唐辛子等(1、3、4、5、6、8月)、大腸菌検出:キムチ(昨年5月)等、韓国食品の摘発
「同成分は殺菌剤や染料などに使われるもので、強い毒性があります。高濃度で体内に取り込んだ人の死亡例もあり、国内では直接、食品に使うことは認められていません」
農心ジャパンは「人体に恐れはない数値。EUで販売停止となった商品は、日本には輸出していない」(広報部)と回答したが、厚生労働省では「輸入品目のなかにあるか確認中」(医薬・生活衛生局食品監視安全課輸入食品安全対策室)という状況だ。
輸入食品の安全性に関して、これまで何度も話題に上ってきた韓国だが、このコロナ禍の1年半にも続々と安全を脅かす食品が上陸している。
厚労省が公表する「輸入食品等の食品衛生法違反事例」によると、2018~2019年度の韓国産食品の違反事例は計38件だったが、2020~2021年度(8月現在)はすでに52件が違反事例として摘発されている。
特に違反事例が多いのが、エゴマ(4件)や青トウガラシ(6件)などの生鮮野菜だ。前出・岸田氏が語る。
「違反原因は、基準値を超える農薬が主です。たとえば青トウガラシから検出された『テブフェンピラド』は、殺ダニ剤として使われており、発がん性試験では、腫瘍の一種である肝細胞腺腫の発生頻度増加が認められています。赤トウガラシの『テトラコナゾール』も高濃度で摂取すると、発がんなど人体に影響が出る可能性があります」
海産物も問題となることが多い。焼穴子(1件)やカニ辛味噌漬け(1件)などの加工品からは大腸菌群、活赤貝(3件)や活アサリ(4件)からは下痢性貝毒が検出されている。
2020年6月19日には、千葉県多古町の食品輸入販売業者が輸入した韓国産赤貝(一斗缶)から基準値を超える麻痺性貝毒が検出され、383個が回収に追い込まれた。
実際に深刻な事態を招いたケースもある。
2014年には、東京都内の和食店で韓国産のヒラメの刺身を食べた複数の客が嘔吐、下痢の症状に見舞われた。原因は、韓国産ヒラメに多く寄生しているという食中毒寄生虫「クドア」だった。
2020年3月には、米国で韓国産エノキタケを生食し、食中毒の原因となるリステリア菌に感染して4人が死亡、30人余りが入院する事態が発生した。
検査結果判明前に流通可
産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏はこう言う。
「近年、韓国の消費者は、食品や日用品の安全性に関して“過剰なまでに潔癖”な印象です。しかしこうした風潮は自国の衛生管理を信用していないことの裏返しでもある。同じような商品なら日本製を買う人が多いですから。
韓国の飲食店のなかには、キムチやナムルなど小皿で出す料理の食べ残しを『もったいないから』と次のお客に出す店もあります。行政の指導も年々強化されていますが、それでもたびたび食の衛生問題が報じられて大炎上しています」
日本の検疫に“穴”があることも問題だ。食品の安全に詳しいジャーナリストの小倉正行氏が指摘する。
「2020年度の食品輸入件数235万件のうち検査されたのは20万件。検査率は8.5%です。また、輸入された食品のうち無作為に一部を選んで検査するモニタリング検査は、結果が判明する前に輸入が認められるので、流通して消費されてしまうケースがある」
実際にモニタリング検査で違反事例となった韓国産食品を流通させてしまった輸入業者が言う。
「うちの場合、輸入してから検査結果がわかって厚労省の回収命令が発出されるまでに2週間程度のタイムラグがありました。その間に飲食店に卸して食材として使われてしまった。健康被害はなかったのですが、申し訳ないことをした……」
輸出量が過去最高
韓国産食品の違反事例が相次ぐ背景には、ここ数年の間に起きた世界的な韓流ブームの影響もありそうだ。
2020年に米アカデミー賞を受賞した韓国映画『パラサイト』の世界的ヒットに続き、コロナ禍で動画配信サービスが軒並み会員数を伸ばし、『愛の不時着』などの韓国ドラマが人気を博した。
そうしたエンタメ作品の浸透を通じて韓国の食文化にも注目が集まった結果、昨年の韓国産食品の世界への輸出額は43億ドル(約4700億円)と史上最高を記録した。今年、厚労省に違反を指摘された韓国産食品輸入業者の代表はこう言う。
「当該食品は全部廃棄しました。韓国側の相手先業者は昨年から付き合いを始めたところで、本来なら取引をこれでやめたいところですが、いまは需要も高いし、付き合いを続けざるをえない」
消費者問題研究所代表の垣田達哉氏が言う。
「韓国産食品は一般的なスーパーより、輸入食材店や飲食店で扱われることが多い。たとえば激辛ソースのカプサイシンシロップやフルーツのマクワウリは、キムチをはじめ韓国料理でよく使われる食材で飲食店での需要が高く、海産物は回転寿司チェーンなどで使われている可能性がある。
今後も韓国食の人気は続く可能性があり、多くの品目で輸入が増えることが予想される。これまで以上に安全性について注視する必要があるでしょう」
もちろん、すべての韓国産食品に問題があるわけではないが、身を守るためにはリスクを知っておくことが欠かせない。
※週刊ポスト2021年9月17・24日号
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