菅首相は何のためにアメリカへ? – ヒロ

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Youとはもちろん菅首相。訪米時期は日本の報道は9月下旬となっています。目的の一つがQUAD(日米豪印戦略対話)の対面会議への出席が表向きの理由です。しかし、それだけでこの総裁選を間近に控える時に仮に1泊3日であってもなかなか行けるものではありません。

具体的な日にちですが、私がインドのモディ首相の日程から引いた感じでは9月24日の可能性が高いとみています。日本は23日が祭日ですので菅総理も移動しやすい、ということかもしれません。

この菅総理の訪米について、日本の報道は極めて淡泊というか、ほとんどその情報をつかんでいないように見えます。今回の訪米はバイデン大統領が菅首相の訪米を強く依頼したとされます。上記のQUADも日本側はオンラインミーティングを主張したものの対面会議になるようです。

アメリカが本当の理由を言わないことはしばしばあります。情報戦とその分析能力が非常に高いことを踏まえると総裁選への間接的介入がない、とは言い切れない気もします。その内容はバイデン大統領と一対一の会談をするまで菅総理に詳しく開示されないこともありえるでしょう。

私がなぜそこまで思うのか、といえば今回、バイデン大統領が菅総理をわざわざこの時期に呼ぶのが不可解そのものだからです。予想される案件は外交。そして日本のスタンスを明白にさせるために調整能力に関して稀なほどの能力を持つ菅総理に何かを依頼する、としか思えません。

菅総理の約1年間の功績についてメディアがいろいろ評価していますが、私はコロナ禍、オリパラ開催の中、よくこれだけの実務をこなしたと思っています。高橋洋一氏は「本人が本人の意思でやれたのは携帯電話の値下げだけじゃないか」といいますが、過去の積み残しを淡々といつの間にか進めたことは「策士」の域だと思います。

とすれば今回総理という顔役が変わるけれども菅氏の手腕をバイデン氏が買っているとみるべきでしょう。プレゼンは下手だけど鵜飼役をやらせれば現政権で最高の能力を持つのではないか、と評価している可能性はあります。かなり偏った私見ですが、菅氏と新首相を鵜飼と鵜の関係、もっと平たく言えば傀儡化させ、アメリカと深い関係を維持する外交戦略、これをバイデン氏が画策するのではないか、という気がします。

もしもこのストーリーが正しいなら新首相に河野氏を押し込むしかありません。高市氏は安倍元首相のラインですが、安倍氏はトランプ氏とのラインでした。バイデン氏としては安倍氏を素直に受け入れられないから高市氏を推すことはありません。岸田氏は中国と友好関係促進派だったことを考えればこれまた推すことはないでしょう。

では党員でもないし、議員でもないアメリカがどうやって日本の党首選に介入するのか、しかも中国が高市氏を推さないよう周到に対策を施していると噂されるのに対して、アメリカが現時点で何か動いている気配は見えません。仮に菅総理が25日、ないし26日に帰国したとします。その時点で大きなチカラが生まれるのだとみています。

もう一つは菅氏の去就の件があるかもしれません。「官房長官をもう一度」がないとは限りません。今回の自民党内の流れは人事刷新、これがテーマで派閥の見直しも当然出てくるでしょう。自民党が今までの体制から大きく変化するマグマは十分に溜まっています。仮に河野氏が首相になれば若手登用を含む実務、効率、能力主義の三本柱が軸になるでしょう。これに対して長老との懸け橋を菅氏が担う、という構図です。

アメリカが日本の総裁選に関与することはどれだけ日米関係が濃密であっても許されません。ただし、外交という共通する目的を持ち、一緒に汗を流すためには「見えない応援」をすることはあり得ます。その場合、アメリカが超短期戦に持ち込むのは日本の世論の巻き返しが起きる前に決めてしまう、ということかと思います。アメリカの情報分析能力は日本のマスコミなど問題にならないぐらい高いレベルを持っていることを我々が気がついていない、それだけのことだと思います。

ちょっときな臭い、そんな気がします。

では今日はこのぐらいで。

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