鳥の社会にもカルチャーがある? オーストラリアのオウムたちの間でゴミあさりが流行中

GIZMODO

鳥も、現代社会に最適化して進化するんだッピ!

オーストラリアのシドニーに生息するキバタン(オウムの一種)たちの間で、自分でゴミ箱のフタを持ち上げて餌をゲットするというのがブームになっています。マックスプランク動物行動研究所のルーシー・アプリン氏率いる研究チームにより、このオウムの学習行動と流行についての研究が学術誌「Science」に掲載されました。

今回アプリン氏率いる研究チームは、最近シドニーでゴミ箱を荒らす在来種のキバタンの目撃情報を調査しました。

最初にさまざまな地域の住民に、2018年から2019年にかけて鳥がゴミをあさっているのを目撃したことがあるのか調査を行ないました。郊外の44の地域から300件以上のゴミ箱あさりの目撃情報を収集しましたが、そのほとんどが複数の種類のオウムによるものでした。さらに3つのホットスポットで発見された400羽以上のオウムに、一時的にカラーマーキングを施して、その行動を観察しました。

調査の結果、2018年以前はオウムがゴミ箱のフタを持ち上げて餌を入手しようとする行為は、3つの郊外地域のみで行なわれていた可能性が高いことが明らかになりました。そしてこの行動が広がり始めると、場所によって行動が微妙に変化することもわかりました。その土地ならではのゴミ箱のフタの持ち上げ方があるのです。例えば、ある地域のオウムはフタをしたまま餌をとる、逆に完全にフタを開けた上で餌をとるという具合に、オウムの行動にもローカルルールがあるということですね。

また、フタを持ち上げるオウムの84%がオスであることも明らかになりました。年齢はさまざまで、オウム社会のいろんなグループにフタを持ち上げるカルチャーが伝わっていることが伺えます。

私たちは、都市のような変化する環境における行動柔軟性のメカニズムとして、イノベーションが広まることによって見いだされる「潜在的な役割」を理解することに非常に興味があります。ですので、今回のオウムの新しいイノベーションを初めて目にした時、それが社会学習によってどのくらい広がるかどうかを研究しなければいけないと思ったのです。

今回の研究は人間以外の動物にもカルチャーが存在するという証拠に加え、新しいイノベーションが集団の中でどのように広がり、新しい行動につながっていくかを示しています。今回の発見は、都市部で人間が与えた機会に応じて、新しいカルチャーが急速に構築される可能性があることを示唆していると思います。

と、アプリン氏は米ギズモードにコメントしています。

社会性の高い動物の学習行動といえば、チンパンジーが道具の使い方を教えることがあげられます。そしてチンパンジーのグループによって道具の使い方に違いが出て、動物の中にも多様性が生まれることは、これまでにもいろんな研究で観測されてきました。

しかし、アプリン氏によれば今回のように人間が作り出した環境に影響されて動物がカルチャーを直接形成することについては、研究事例が少ないとのことです。

オウムのゴミあさりに人間も対抗

ゴミ箱荒らしがオウム界での一大ムーブメントになる可能性がありますが、実際は思ったほど急速には流行っていないそうです。その理由のひとつとして考えられるのは、鳥がゴミ箱のフタを開けるコツを掴むまでに数カ月かかるため、習得が簡単ではないということです。また、森林など自然の障壁が他の地域への流行を妨げている可能性もあります。もちろん、シドニー住民もゴミをあさられっぱなしでいるわけにはいきません。

人々はゴミ箱を開けられないように守り始めています。人間がオウムのゴミ箱あさりを止めたいのは当たり前ですよね。私たちは人間の行動も長期的に観察し、それがオウムの行動にどのような影響を与えるかについても興味があります。

人間がさまざまな環境で生活し適応できるのは、イノベーションとカルチャーを生み出す能力が我々の成功の秘訣だからですが、今回の研究はこの能力が人間に限られたことではないことを示していると思います。人間以外の動物も、素早い行動適応能力を持っています。人為的な変化は急速に進み、そして増加しています。動物がいつどのように変化に対応していくのかを理解するためには、行動反応を理解することが重要です。

とアプリン氏は述べています。

オウムたちが、「オイ、こうやってフタを空ければメシに簡単にありつけるぜ」「マジすげぇ、やり方教えてよ」みたいな感じで会話しながらゴミ箱をあけるカルチャーを流行らせているのかと想像すると胸アツです。でも住民からしたら、たまったもんじゃないでしょうけどね。

タイトルとURLをコピーしました