「フレッツ・ADSL」サービス終了の2023年1月31日まで、あと1カ月余り。ただし一部エリアでは2年間延長 

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NTT東日本の「フレッツ・ADSL」サービス概要ページ

 東日本電信電話株式会社(NTT東日本)と西日本電信電話株式会社(NTT西日本)が提供するADSL回線サービス「フレッツ・ADSL」は、一部のエリアを除き、2023年1月31日で提供を終了する予定だ。残すところ1カ月余りと迫っているが、代替サービスの光回線への移行などが進み、フレッツ・ADSLの回線数は順調に減少している模様だ。

 なお、フレッツ・ADSLは全国で一斉にサービスを終了するわけではない。光回線サービス「フレッツ光」の提供開始が遅かったエリアでは「お客さまのサービス移行準備に十分な期間を確保していただく」(NTT東西)ために、引き続き2年間、フレッツ・ADSLの提供を継続する。

 具体的には、フレッツ光が2022年1月31日以前に提供開始されていたエリアでは、2023年1月31日にフレッツ・ADSLを終了する予定だ。一方、フレッツ光の提供開始時期が2022年2月1日~2023年1月31日のエリアでは、フレッツ・ADSLの提供終了は、2年先の2025年1月31日となる。

 NTT東西は、フレッツ・ADSLの提供が終了するエリアのユーザーに対して、郵便物や電話などで案内を行ってきた。その結果、2023年1月31日に終了するエリアは「すでにフレッツ・ADSL回線は大きく減少しており、残期間においてもさらなる減を見込んでいる」(NTT東西・広報)という、さらに「予定通り2023年1月31日でのサービス終了に向け、お客様に混乱が生じないよう、準備を進めている」としている。

 また、「2025年1月31日でのサービス終了の対象となるお客様に対しても、今後、個別のご案内を実施する予定」だとして、準備を進めているという。

 フレッツ・ADSLは、2000年12月に東京23区と大阪市の一部でサービスを開始。当時の通信速度は、下り最大1.5Mbps/上り最大512kbpsだった。その後、提供エリアを拡大するとともに通信速度を増速。現在、最も高速なプランは下り最大47Mbps/上り最大5Mbpsとなっている。

 フレッツ・ADSLのサービス終了の背景には、保守部品の枯渇が見込まれることや、通信速度がより高速な光回線サービスが普及したことなどがある。

 ADSLに限らず通信サービスを継続するためには保守部品が必要だ。しかし、ADSLのサービス提供に必要な物品の製造は終了しており、保守物品の枯渇が見込まれることから、サービスを継続するのは困難だとして、すでに2016年の時点で新規加入の受付は終了していた。

 ADSLと光回線は、最大通信速度以外にも違いがある。ADSLは、ユーザー宅が収容局から離れると通信速度が遅くなるケースが多く、場合によっては数倍の差が出る。しかし、光回線は収容局からユーザー宅までの数km程度であれば速度の低下はほとんどないため、収容局からの距離にかかわらず安定した通信速度が期待できるという特徴がある。

かつて「フレッツ・ADSL」加入者向けに提供された「ADSLモデム-MN」。2001年12月末、下り最大8Mbpsのサービスが開始されると同時に販売開始された製品

 ADSLは「Asymmetric Digital Subscriber Line(非対称デジタル加入者線)」の略称で、電話用のアナログ回線にネットワーク接続のための情報を重畳させる方式のこと。工事の手間を最小限に抑えることができると同時に、NTTが推進していたISDNを上回る通信速度を実現した。

 日本での導入は1999年から本格化し、NTTがフレッツ・ADSLのブランドでサービスを開始したのは2000年12月。最大通信速度は下り1.5Mbps/上り512kbps、月額料金は4800円(プロバイダー料金・加入電話基本料金ともに別)だった。

 2000年~2001年はヤフー(Yahoo! BB)、イー・アクセス、アッカ・ネットワークスなどがADSL事業に相次いで参入。その後、数年間は、通信速度向上に向けての熾烈な競争が続いた。ちなみに、「ブロードバンド」が新語・流行語大賞のトップ10に選出されたのは2001年だった(当時の動向については「BB Watch」の2006年12月25日付記事『年表で振り返るブロードバンドの歴史(第1回:通信・回線編)』を参照してほしい)。

2015年7月31日掲載の記事で続きを読む

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