ISSから廃棄された宇宙ゴミが大気圏に再突入

現地時間の3月8日(金)、国際宇宙ステーション(ISS)でかつて使われていたバッテリーを積んだパレットが数年の旅を経て、メキシコ湾上空で大気圏に再突入しました。

重さ2.9トンに及ぶ宇宙ゴミ

パレットは9台のバッテリーを搭載しており、重量は2.9トン2021年3月にロボットアーム「カナダアーム2」によって捨てられてからというもの、制御不能のまま地球の大気圏への再突入に向けて落下してきていたのです。

先週末、そんな状況についに終止符が打たれました。パレットは東部時間の3月8日午後3時29分(日本時間9日午前4時49分)ごろ、カンクン−キューバ間の上空に再突入したと、ISSのゴミの行方を追っている天体物理学者Jonathan McDowell氏が報じました。

しかし、パレット全体が大気圏再突入の際に燃え尽きたのか、それとも高温を耐え抜いた部品があるのかは不明欧州宇宙機関(ESA)もパレットの再突入をモニタリングしており、地上に落ちてきた部品もあるかもしれないが人間に当たった可能性はとても低いと推測していました。パレットが地球に戻ってから負傷や被害は報告されていません。

日本の補給機が運んできたパレット

今回のパレットはこれまでISSから捨てられた中でも、最も重量のある物体です。以前から進められていたバッテリー交換のため、2020年5月に日本の宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)が運んだもので、より効率的な新型リチウムイオンバッテリーを積んでいました。

宇宙飛行士たちがそれらと旧型のニッケル水素バッテリーとを交換する作業を実施。バッテリーにはISSの太陽電池アレイで発電した電力が蓄積されます。

本来なら、旧型のバッテリーは日本のHTVに積み込まれた上できちんと廃棄されるはずでした。しかし、過去にHTVがパレットを搭載せず離脱したことがあり、ISSには処分されずじまいのものが残っていました。

そのためNASAは旧型バッテリーが積まれたパレットを、ロボットアームを使って捨てる羽目に。制御不能な再突入に至ったのでした。

今回のバッテリーのような巨大な物体の制御不能な再突入は極めて珍しいことですし、地球の大気圏で最期を迎える物体のほとんどは跡形もなく燃え尽きます。各国の宇宙機関が受け入れている、制御不能な再突入1回における死傷者リスクのしきい値は0.0001%だと、ESAは書いていました。

宇宙産業が成長し続けていくにつれ、誰がルールを守っているのかモニタリングすることは難易度が上がるかもしれず、やがて新たな規制が誕生する可能性もありそうです。

Source: X, ESA(1, 2),

タイトルとURLをコピーしました