花火大会が中止や無観客になりまくっている今、個人で楽しむ「おもちゃ花火」が売り上げを伸ばしているらしい。たしかにテレビ中継(ステイホーム花火大会)では、花火の魅力が十分に伝わらないだろう。やはり花火は、夏の夜の雰囲気も込みで味わい尽くすものなのだ。
んで、テレビ中継では十分に魅力が伝わらないとか言っておいて何だが……気になる「おもちゃ花火」をガンガン試していくのが当企画。今回は、1975年3月に中国で製造された45円の『地上回転 拳重烟花』に火をつけてみた。夏の夜にぜひ続きを読んでいただきたい。
・読み方がわからん
地上回転 拳重烟花──読み方がよくわからないが、かなりパンチ力のある商品名である。烟花は中国語で花火を意味するらしい。重い拳の花火とは……いやよく見ると、金太郎のような子供がウェイトリフティングをしているように見える。あ、これバーベルなの?
と思って調べてみたら、中国語で「重量挙げ」のことを「拳重」というみたい。なるほど「ウェイトリフティング花火」ってことか。よく見たら英語で「RAISING WEIGHT」とも書いてあるな……なるほど。いや点火後どうなんだよコレ。
ちなみにオリンピックでは、2000年代以降に中国人メダリストが続々と誕生している。もしかすると1975年生まれの花火が、将来のメダリストたちに何かしらの影響を与えたのかも……つまりこいつは、ウェイトリフティングの魅力が伝わる熱い花火なのかもしれない。
・点火
45円の中国産花火……遊び方は、花火を地面にさして導火線に火をつけるだけ。それではいっちまいます!
点火ァァアアアッ!!
激しい激しい激しいいいいいいいい!
バーベルの重り(プレート)がクルクル回る!
スゲエエエエエエエエエエエエ!
これが商品名「地上回転」の意味か! そして火花を浴びながらも全く姿勢を崩さない金太郎……おそろしくフォームがきれいだ。腕の伸びも見事であるっ!
金太郎カッコィィィィイイイイイイイイイーッ!
そしてぇぇえええええー!
スッ……
静かに競技を終える金太郎。
一瞬に込める爆発的パワーは、まさにウェイトリフティングのようであった。大量の火花を浴びながらも表情を変えずにバーベルを上げ続けた金太郎は、きっと多くの子供たちに勇気や感動を与えたに違いない。メダリストのルーツはこれだったか。
75年生まれの45円花火には、金メダル級の物語が詰まっていた。競技(燃焼)時間は約15秒。オリンピックの感動を生で味わいたい方もぜひ試してみてほしい。
参考リンク:おもちゃ花火「地上回転 拳重烟花」
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.