ヘイトスピーチに非寛容な日本 – 元官庁エコノミスト

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一昨日8月2日、エコノミスト誌のGraphic Detailのコーナーに、People in the West are least worried about hurtful speech と題するグラフが掲載されています。

まず、エコノミスト誌のサイトから引用すると、上の通りです。有害スピーチ hurtful speech、とは、我が国でいえば「ヘイト・スピーチ」ということになるのかもしれませんが、エコノミスト誌では、一般に左派は有害な言論に対して非寛容的であり、公共の場での容認できない有害な発言を規定する法令の必要性を感じているのに対して、右派はこういった規制が行き過ぎると言論の自由がリスクにさらされる可能性を危惧する傾向がある、と指摘しています。

その上で、英国のキングスカレッジ・ロンドンの世論調査員であるモリ氏が行った最近の調査、2020年12月から2021年1月にかけて28か国の23,000人の成人に言論の自由に対する調査を実施した結果が上のグラフの通りです。左のパネルの棒グラフでは、青い方が有害スピーチに寛容で、赤い方は非寛容でスピーチの変更を求める、ということになり、右のパネルでは、ズバリ、報道の自由と有害スピーチへの寛容性を2次元のカーテシアン座標にプロットしています。

左のパネルから、我が日本は調査対象国の平均よりも有害スピーチに非寛容であることが読み取れます。もっとも寛容なのは英国であり、もっとも非寛容なのは中国という結果になっています。日本は先進民主主義国の中ではもっとも非寛容という結果です。そして、主たる結論を引き出している右のパネルに着目すると、みごとに報道の自由と有害スピーチに対する寛容度は正の相関を示しています。

通常は相関関係なのですが、高校の数学で習った関数に従って、y=f(x)ですから、x軸の変数がy軸の変数を決める、という因果関係が暗黙に想定されています。つまり、報道の自由が十分に保証されていれば、有害スピーチにも寛容、というか、変更を求めるわけではなく、それほど気にしない、という結論です。

ポリティカル・コレクトネスと報道や言論の自由と有害スピーチ、この3者の関係について、なかなかthought-provokingな調査結果でした。

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