いま、D2Cブランドが SNS 投資をトーンダウンさせる理由:「求めるオーディエンスの支持が得られていない」

DIGIDAY

SNS広告がますます高価になり、かつトラッキングが難しくなっている現在、パーソナライズドギフトブランドのシュガーウィッシュ(Sugarwish)は戦略を再考し、SNSでのキャンペーンを減らしてアーンドメディアやSEOをはじめとする別のチャネルを追加するなど、方向転換を図っている。

この傾向は、コロラドを拠点とするD2C企業であるシュガーウィッシュに限ったことではない。メディアバイヤーは、自社のマーケティングミックスを多様化し、特にFacebookとインスタグラムへの過度の依存から脱却する方法を積極的に模索している。これは少なくとも2020年以降、顕著な傾向である。

オーディエンスからの支持を得た新たな戦略

「有料という観点から言えば、SNS広告投資は、結果を見ても成果が見えてこない」と、シュガーウィッシュのマーケティング担当バイスプレジデントであるステファニー・プレストン氏は述べる。「つまり、私たちが本当に求めているオーディエンスからの支持は得られていない」。

つまり、過去6カ月間、Facebookやインスタグラム、Twitterの有料広告は、顧客維持に必要なメールやアカウントのサインアップを促進するものではなかったのだ。ただし、プレストン氏が詳細について言及を避けたため、顧客維持にどのような影響があったのかは不明だ。

2021年、シュガーウィッシュはFacebookとインスタグラムに140万ドル(約1億8200万円)を費やした。アナリティクス企業のパスマティックス(Pathmatics)によると、2022年に入ってからは、シュガーウィッシュがSNS広告に投じた費用はわずか50万1000ドル(約6513万円)だという。また、同じくパスマティックスによると、同社はデスクトップ動画広告にメディア支出を追加し、2022年は14万2000ドル(約1846万円)を費やしている。

シュガーウィッシュのメディアミックスは、SNSやメールマーケティング、その他有料メディアを基軸として取り組まれている。しかし、この半年間、同社は戦略の多様化を進めており、アーンドメディア、SNSマーケティングエージェンシーを通じたコンテンツ作成、Google検索などのチャネルに再び焦点を当てていて、現在これらのチャネルが結果を出していると、プレストン氏は話す。

関心の低下も「SNS広告の効果は絶大」

SNS広告のコストが過去数年で劇的に上昇したことは間違いないと、ソーシャルマーケティングエージェンシーのモディフライ(Modifly)のCEO兼創設者であるエライジャ・シュナイダー氏は言う。

「SNS広告は費用対効果が悪いと偏見や疑念を抱いているブランドを見かけるが、我々はそうは思わない。SNS広告の効果は絶大だ。ただし、費用がかかるのも事実だ」と彼はメールで述べた。つまりSNS広告が課金制であり続けるかぎり、ブランドにとっては、ターゲットオーディエンスへリーチするために大きな支出をする必要があることになる。

「我々は、メディアへの支出を多様化することを強く支持し、そうするよう進言する。ひとつに絞って投資するのは賢いやり方ではない」とシュナイダー氏は言う。「一方で、範囲を広げすぎるのもよくない(つまり、いくつかのプラットフォームに少しずつ支出しても、無駄使いに終わる可能性がある)」。

ブランドは懐疑的な見方に

シュナイダー氏の指摘に対して、クリエイティブエージェンシーのサムシングディフェレント(Something Different)のプロジェクトマネージャー兼アカウントアソシエイトであるエイブリー・メンチャー氏は、多くのブランドがSNS広告に対して「あまり成果が上がらない」チャネルと見ていると話す。

「こうした関心の低下にもかかわらず、SNSはやはり、多くの消費者にリーチする最強のツールだ」と、メンチャー氏はメールを通じて述べている。

シュガーウィッシュでは、SNSへの取り組みを継続する計画だが、「これまでよりも、かなりトーンダウンするだろう」とプレストン氏は言う。

[原文:Why DTC brand Sugarwish is dialing down its social media advertising strategy

Kimeko McCoy(翻訳:SI Japan、編集:黒田千聖)

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