Wi-FiルーターのUSB端子って何のため? 「RT-AX3000 V2」にHDDをつなげばNASに! スマホでもPCでもアクセス可能

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USB端子にUSB HDDを接続してNASを作ろう

 USB端子を装備したWi-Fiルーターがあるのはご存知だろうか。例えば、ASUS製のWi-Fiルーターであれば、ほとんどの機種に有線LAN端子と並んでUSB端子が用意されている。

 しかし、こうしたUSB端子を知らない、あるいは使っていないというユーザーも多いはず。

 一般的な家庭で使われるWi-Fiルーターは、インターネット回線を複数端末で分け合って使うための機器であり、有線・無線のLANは必要でも、USB端子が必要になることはまずない。

 実はこのUSB端子を使うと、さまざまな付加機能を活用できる。中でもUSBストレージを接続すると、ネットワーク上で共有が可能。つまりNASとして機能するという、大変便利な機能がある。

 今回はWi-Fi 6対応ルーター「RT-AX3000 V2」を用いて、実際にUSBストレージを接続し、NASとして使えるまでの流れを見ていきたい。といっても実際にはそう難しいことはなく、2つ3つのポイントを押さえれば簡単にNAS機能を利用できる。

「RT-AX3000 V2」の背面端子部。有線LAN端子と並んでUSB端子がある

そもそもNASとは?

 NASは「Network Attached Storage」の略で、直訳すると「ネットワークに接続された記憶装置」となる。一般的なUSBメモリーやUSB HDDを使う際にPCへ直接接続する方式はDAS(Direct Attached Storage)とも呼ばれ、ネットワークを介するものがDASに対してNASということになる。

 NASは、有線LANポートを備えたネットワーク対応HDDとしても市販されているが、一般的にはUSB HDDに比べて高価だ。また、PCに直接接続するだけのUSB HDDに対し、ネットワークを経由するNASは接続や設定の敷居が高いとのイメージもあるだろう。

 使用するときに電源を入れるPC(やスマートフォン)に対し、NASは基本的に電源を入れっぱなしにして、いつでも使えるようにしておく。つまり、NASは使いたい人が使いたいときにアクセスするものなのだ。といってもそもそも消費電力もPCに比べれば小さく、アクセスしない間は省電力な状態なので、電気代が跳ね上がるような心配はない。

 そして、スマートフォンで撮影した写真や動画は、NASやDASへバックアップできる。例えば、無制限のアップロードサービスが終了したばかりのGoogleフォトを継続利用するなら、Google Oneへの加入に最低でも100GBで年2500円かかる。iPhoneのiCloud+なら50GBで年1560円、200GBでは4800円にもなる。

 仕組みが違うため同列で比較すべきでない部分もあるが、1TBのものが、NASなら1万円台、USB HDDなら5000円程度から購入できる。手軽さで言えばUSB HDDだろう。

 NASやUSB HDDがあれば、ファイルのやり取りにも重宝する。写真データを家族で共有するだけならUSB HDDでもいいが、NASであれば、テレワークで必要なデータを保存し、違うPCでも作業できるようにしたり、ほかの人へインターネット経由で共有したりもできる(社外秘のデータ等、取り扱いには注意が必要だが)。

 家族で共有するNASをデータのバックアップ先として使う場合、何らかの理由でNASが壊れるとデータが全て失われるというデメリットもある。逆に、重要なデータがNASに一元管理されているなら、NASのバックアップをPCなどに取っておくのも簡単で、重要なデータを失ってしまう危険を防げることもメリットとなる。

ポータブルHDDやUSBメモリーをNAS化してみる

 では実際に、RT-AX3000 V2のUSBポートにストレージをつないでNAS化してみよう。

筆者所有のUSB HDD。余り物のHDDをケースに入れただけの代物

 まずは、筆者が所有する容量500GBのポータブルHDDを接続する。不要になったノートPCに入っていた2.5インチHDDを抜き、適当なUSB HDDケースに入れただけの代物だ。USB 3.0に対応しており、外部電源なしで動作する。

「RT-AX3000 V2」のUSB端子にUSB HDDを接続

 RT-AX3000 V2にUSB HDDを接続し、ウェブブラウザーでRT-AX3000 V2の設定画面を開く。初期画面のネットワークマップのところにUSB 3.0のアイコンがあるのでクリックすると、[外付けUSBディスクの状態]が表示された。特に問題なく認識できているようだ。

RT-AX3000 V2の設定画面を見ると、問題なく接続が完了していた

 続いて[外付けUSBディスクの状態]のメニューから[メディアサーバー]の設定へ。続いて[Samba共有/Cloud Disk]タブを開く。Sambaというのは、Windowsのファイル共有機能のこと。初期状態で[共有を有効にする]のチェックがオンになっているので、既にNASとして動作する状態になっていた。

[共有を有効にする]がオンになっていれば、NAS機能は動いている

 次は[デバイス名]の設定。NASの名前にあたるもので、好きな名前を付けて構わない。[ワークグループ]は、PCなどで指定しているのであれば合わせておくが、変更していなければ初期値である「WORKGROUP」のままでいい。ここまで設定できたら、いったん下の[適用]ボタンを押して変更を反映させておく。

[デバイス名]は自由に設定していいが、今回は「RT-AX3000 V2」とした

 再び設定画面に戻ったら、[適用]ボタンの下にある箇所から設定していく。ここでは、NAS機能にアクセスできるアカウントと、NASのフォルダーを設定できる。

 アカウントは、RT-AX3000 V2の管理画面ログイン用のものがNAS機能の管理者用としても設定されており、加えて別のアカウントも設定できる。丸印に[+]が付いたボタンを押すと、アカウント名を追加してパスワードを設定できる。

利用者ごとにアカウントを追加できる

 次に、右側のRT-AX3000と書かれた下に、接続中のUSBストレージの名前が表示される。これをクリックすると、ツリー表示で一段下がって、設定したディスクラベル(ボリュームラベル)が表示される。ここをクリックし、ウインドウの右上にある[+]マークをクリックすると、NASへ新たにフォルダーを作成できる。

新たにフォルダーを作成できる

 作成したフォルダーには、[R/W](読み書き)、[R](読み込みのみ)、[いいえ]の3つの権限をアカウントごとに設定可能。必要に応じて、特定の人しか見られないフォルダーや、誰でも自由にファイルをやり取りできるフォルダーなどが作れる。写真データフォルダーは家族全員が見たり追加したりできるが、仕事のデータが入ったフォルダーは自分だけしか見られない、といった使い方が可能だ。

作成したフォルダーの権限をアカウントごとに設定できる

 NASの基本的な設定はこれで完了。アカウントやフォルダーは後から追加したり、権限を変更したりもできるので、運用しながら設定を加えていくといい。

 ちなみにUSB端子へexFATでフォーマットした64GBのUSBメモリーを接続してみたところ、最初はうまく認識しなかった。RT-AX3000 V2に接続した状態で、本機からNTFSで再度フォーマットする(ほかにFATとHFSでフォーマットが可能)など、あれこれ試したところ、何とかNASとして動作した。どうしてもUSBメモリーを使いたい理由がないなら、ポータブルHDDやSSDを導入する方が確実で、容量の面でもメリットがある。

USBに接続したストレージは、本機からフォーマットできる。接続に不具合があればまずフォーマットを試そう

FTPやクラウドストレージ、プリンターサーバーなど、活用法はさまざま

 今回はWi-FiルーターのUSBポートで最も活用しやすいNAS機能に着目したが、ほかにもさまざまな使い道がある。

 RT-AX3000 V2では、USBストレージを接続した場合、NASのほかに、FTPサーバーや、NASに外出先からインターネット経由でアクセスできるクラウドストレージ機能である「AiCloud」も使えるし、Macユーザーなら、Time Machineバックアップ用ストレージにもできる。

 さらに、USB端子にプリンターを接続してネットワークプリンターサーバーにしたり、モバイルネットワークに接続できるUSBモデム(モバイルルーターなど)をつないで固定ネット回線の代替にしたりという機能もある。

RT-AX3000 V2のUSBポートには、NAS以外にもさまざまな機能がある。ぜひ活用していただきたい

 それぞれ、全ユーザーに必須の機能とまでは言えないものの、知っていれば意外と重宝する場合もあるかと思う。使っているWi-FiルーターにUSB端子がないか、あればどんな使い方ができるのかを、チェックしてみていただきたい。

(協力:ASUS JAPAN株式会社)

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