【西川和久の不定期コラム】厚み28.5mmの第11世代Core i5搭載ミニPC!「ZBOX Mシリーズ edge MI646」

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ZBOX Mシリーズ edge MI646

 この連載では筆者が好きなので、ミニPCを結構扱っているが、今回ご紹介するのもその1つ。最大の特徴は厚み28.5mmで第11世代Core i5を搭載していることだろうか。編集部から実機が送られてきたので試用レポートをお届けしたい。

厚み28.5mmの筐体にCore i5-1135G7を搭載

 ZOTACはその昔、グラフィックスカードでお世話になったが、あたらめて同社のサイトを見ると、ミニPCのシリーズはZBOX E、ZBOX Q、ZBOX C、ZBOX P、ZBOX M……といろいろ用意されている。形状は違えど、筐体はブラックというのが全モデル共通だ。

 今回ご紹介するのはこの中のZBOX Mシリーズ。モデルは「edge MI646」、「edge MI666」、そして「MA621 nano」。モデル名から分かるように1番目と2番目はプロセッサ(第11世代Core i)違いで、筐体などは同じ。3番目は筐体もプロセッサ(Ryzen 3200U)も全く別のものとなる。手元に届いたのはCore i5-1135G7搭載のedge MI646。主な仕様は以下の通り。

ZOTAC「Mシリーズ edge MI646」の仕様
プロセッサ Core i5-1135G7(4コア8スレッド/2.4(TDP-up)~4.2GHz/キャッシュ 8MB/TDP-down 12W/TDP-up 28W)
メモリ 16GB(8GB/DDR4-3200 SODIMM×2, 最大32GB)
ストレージ 256GB M.2 NVMe SSD/2280×1, M.2 NVMe SSD/2242×1(空き) ※但し手元に届いたのは2280/512GB
OS Windows 10 Pro(21H2)
グラフィックス Iris Xe Graphics/HDMI 2.0×1、DisplayPort 1.4×1、Type-C
ネットワーク GbE×2、Wi-Fi 5、Bluetooth 5
インターフェイス USB 3.1 Type-A×3、Thunderbolt 4×1、microSDカードスロット、音声入出力
そのほか Wi-Fi用アンテナ、ACアダプタ、VESAマウントブラケット、OSリカバリー用USBメモリ
サイズ/重量 149.5×149.5×28.5mm(幅×奥行き×高さ)/520g
価格 11万220円(ZOTACストア)

 プロセッサは第11世代Tiger LakeのCore i5-1135G7。4コア8スレッドでクロックは2.4GHz(TDP-up)から最大4.2GHz。キャッシュは8MB、TDPはdown 12W/up 28W。昨今第12世代の話題でもちきりだが、バッテリ駆動ではないデスクトップPCでオフィス的なアプリがメインであれば、体感的には大きな差はないかと思われる。

 メモリは8GB/DDR4-3200 SODIMM×2の計16GB。最大32GBまで対応する。ストレージは256GB M.2 NVMe SSD×1で、M.2 NVMe SSD/2242×1が空きのため後から増設可能だ。今回手元に届いたのは、ベアボーンをベースとして組み上げた製品のため、512GBのSSDが組み込まれていただった。OSはWindows 10 Pro。ビルド21H2だったのでその範囲でWindows Updateを適応し評価している。もちろん、構成からも分かるように、Windows 11へもアップグレード可能だ。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Iris Xe Graphics。外部出力用にHDMI 2.0×1、DisplayPort 1.4×1、Type-C(Thunderbolt 4)を装備。

 ネットワークはGbE×2、Wi-Fi 5、Bluetooth 5。Wi-Fiに関してはアンテナが付属する。そのほかのインターフェイスは、USB 3.1 Type-A×3、Thunderbolt 4×1、microSDカードスロット、音声入出力。microSDカードスロットがあるのはありがたい。

 サイズ149.5×149.5×28.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量520g。扉の写真からも分かるようにかなり薄い。価格は11万220円(ZOTACストア)。構成的に少し高い気もするが、諸事情もあるだろうし微妙なところか。なお同じ筐体でCore i7-1165G7搭載モデル、MI666は12万6,500円となっている。

 筐体は冒頭に書いたようにオールブラック。実測で527gなので非常に軽い。iPhone 13 Proとの比較からも分かる様に、フットプリントもそれなりに狭い。

 前面は電源ボタン、Type-A、Type-C、3.5mmジャック。右側面にmicroSDカードスロット(内部写真参照)、背面はWi-Fiアンテナ用コネクタ、Ethernet×2、DisplayPort、HDMI、Type-A×2、電源入力。ボトムは四隅にゴム足とVESAマウンタ用のネジ穴。付属のACアダプタは、サイズ約105×43×30mm(幅×奥行き×高さ)、重量218g、出力19V/3.42A/65W。

 内部へのアクセスは簡単だ。背面のネジ3本外せばトップパネルが外れる仕掛けになっている。フロントを前にして、手前にメモリスロット×2、右側にM.2スロット×2。上が2280、下が2242となる。

 今回も手持ちのキーボード付きモバイルモニターを使い評価したが、USB Type-C/Type-Cケーブル1本では反応せず、USB Type-A/Type-C、HDMI/ミニHDMIケーブル2本を使い接続した。BIOSはブート時[DEL]キーで呼び出せる。

 ノイズや発熱は負荷をかけるとどちらも少し出るが、耳や手を筐体にかなり近づけないと分からない範囲だ。これならよほど近い位置へ設置しない限り特に問題ないと思われる。

Core i5-1135G7らしく、キビキビ動作

 第11世代Tiger Lake Core i5に加え、メモリ16GB、SSDなので、一般的な操作であればキビキビ動く。初期起動時、特にインストール済みのアプリはなく、Windows 10標準のまま。壁紙などのカスタマイズもない。

 ストレージはデバイスマネージャに「PCIe SSD」としかなく詳細は不明。内部にアクセスして実物を見てもよく分からなかった。C:ドライブのみの1パーティションで約476GBが割り当てられ空き441GB。先に書いた通り手元に届いたのは512GBであるが、販売されているモデルは256GBなので要注意だ。Gigabit EthernetはRealtek製×2、BluetoothはIntel製。

起動時のデスクトップ。Windows 10標準

デバイスマネージャ/主要なデバイス。Gigabit EthernetはRealtek製×2、BluetoothはIntel製

ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約476GBが割り当てられている

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CinebenchR23、CrystalDiskMarkを使用した。

 以前、同じプロセッサを搭載したMINISFORUM「TL50」をご紹介しているが、当然スコアもよく似た感じだ。ただしなぜか3DMarkとCinebenchR23は少し本機の方が劣っている。

 対第12世代に関しては、少し前にレビューしたXPS 13 Plus(Core i7-1260P搭載)と比べると、3DMarkとCinebench R23ではそれなりの差が出ているものの、PCMark系では大した差は見られなかった。従ってOffice的な用途であればそれほど動きに違いは無いと思われる。


 以上のようにZOTAC Mシリーズ edge MI646は、Core i5-1135G7/16GB/512GB(販売モデルは256GB)を搭載し、M.2 SSD×2とメモリ×2を内蔵可能なミニPCだ。厚みたったの28.5mm、そしてGigabit Ethernet×2というのがほかにはない特徴となるだろうか。

 負荷をかけると若干熱を持ち、ファンの音も少し出るが、後者はちょと離れれば気にならないレベル。主にオフィス的な用途で第12世代までは必要ないが、薄くてコンパクト、そして十分なパワーを持つミニPCを探しているユーザーにお勧めできる1台と言えよう。

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