ANAが10四半期ぶり黒字、JALも赤字縮小 コロナ第7波で国内線の予約鈍化も…「行動様式に変化」

J-CASTニュース

   コロナ禍からの旅行需要の回復が続く中、「第7波」の影響が少しずつ影を落としてきた。ANAホールディングス(HD)と日本航空(JAL)が2022年8月1日、23年3月期第1四半期(22年4~6月期)の連結決算をそれぞれ発表し、ANA HDは純損益が10億円の黒字(前年同期は511億円の赤字)と10四半期ぶりの黒字に転換した。JALも579億円の赤字が195億円に縮小した。

   国際線はきわめて堅調だが、国内線は第7波の影響で予約の伸びが鈍化。特にANA HDは3週間前の記者会見と比べて、7~8月の需要回復の見通しを10ポイントほど下方修正した。JALでも国内線の予約の伸びは鈍ってきているが、「第6波」までのように「ひどく需要が落ち込む、ということは決してないとみている」とも説明している。両社とも23年3月期の通期業績予想では黒字化する計画。現時点ではこの予想を据え置いており、影響は限定的だとみている。

  • 国際線の需要は着実に回復しており、航空各社は「第7波」の影響は受けないとみている(写真はイメージ)

    国際線の需要は着実に回復しており、航空各社は「第7波」の影響は受けないとみている(写真はイメージ)

  • 国際線の需要は着実に回復しており、航空各社は「第7波」の影響は受けないとみている(写真はイメージ)

3週間強で10ポイント下方修正

   22年4~6月の乗客数は、前年同期比でANAは国際線が5.2倍、国内線が2.0倍。JALは国際線が4.9倍、国内線が2.2倍と、大きく伸びた。特に国際線は水際対策緩和にともなうビジネス需要の戻りや、アジア-日本-北米の乗り継ぎ需要が追い風になった。ただ、19年の「コロナ前」と比べると国際線が3割、国内線が6割程度の水準で、まだまだ回復途上だ。

   ANA HDは7月7日の記者会見で、国内線の需要動向について、7~8月はANAブランドと格安航空会社(LCC)の「ピーチ」ブランドを合わせて、コロナ前の9割にまで回復するとの見通しを示していた。だが8月1日の記者会見では、この時期の国内線の需要見通しについて「コロナ前の約8割」だと説明。3週間強で10ポイント程度下方修正した。

   ANA HDの中堀公博上席執行役員は、この経緯を

「予約の増加基調は続いているが、やはり少し緩やかになってきている。ここは事実なので、国内線の旅客については、少し第2四半期は通期の業績予想よりも下振れするとみている」
「7月の第1週の時点では、まだキャンセルが多くは発生していなかった。その後、感染者数が拡大するにつれ、キャンセルの件数が増加してきていることが、結果として新規の予約と、そこからキャンセル分を差し引いたネット(正味)の増加分が、少しゆるやかになってきてしまっている」

などと説明。今後の見通しについては「希望的観測」として、

「8月中旬ぐらいでピークアウトしてくれると、今日お話ししたレベルでの影響ではないかと思っている。ピークが後ろ倒しになれば、さらにインパクトは大きくなる可能性はある」

とした。

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