ザ・リアルリアル の創業者CEO、黒字化見えぬまま突然の退任:「リセール 企業の刷新はさらに起こるだろう」

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デジタルリセール分野にターニングポイントが訪れている。

高級品リセールのザ・リアルリアル(The RealReal)は6月7日、創設者でCEOを務めていたジュリー・ウェインライト氏がCEOを即日退任することを発表した。最高執行責任者のラティ・サヒ・レベスク氏と最高財務責任者のロバート・ジュリアン氏が共同で暫定CEOとして任務を引き継いだ。同社はSECへの提出書類のなかで、ウェインライト氏の辞任が「会社とのいかなる意見の相違も原因ではない」と言及している。

2億ドルを超える損失

2011年に同社を創業したウェインライト氏は、今年末まで創設者兼アドバイザーとして役員会に留任する。しかし、ザ・リアルリアルがまだ年間利益を出していない段階での同氏の退任は、転売系の新興企業にとって収益化への道のりがいかに長く困難なものであるかを浮き彫りにしている。同社は2019年に株式を公開し、昨年度末には2億3610万ドル(約316億円)の損失を計上し、2020年度の損失1億7580万ドル(約236億円)を上回った。3月に行われた同社の投資家向けイベントで、経営陣は前年比30%増の収益を誇った。このイベントでウェインライト氏は、2025年までに流通取引総額が50億ドル(約6700億円)を超え、調整後EBITDAで1億ドル(約134億円)以上のプラスを達成することを、同社の目標として掲げた。

何年にもわたって超絶的な成長が続いたあとで、リセールの専門家は、ウェインライト氏の退任の具体的な理由は明らかでないが、同社の役員が突然刷新されたことは、ラグジュアリーリセール業者にとっての試金石となる可能性があると語っている。これは、上場しているeコマース新興企業の成長におけるプレッシャーも浮かび上がらせている。

アルバレズ・アンド・マーサル・コンシューマ・リテール・グループ(Alvarez & Marsal Consumer Retail Group)のマネージングディレクターを務めるマイケル・プレンダーガスト氏は、ラグジュアリーリセールが「魅力的な分野でありつづけているが、拡大は極めて困難だろう」と述べている。

バックエンドでの課題

ザ・リアルリアルのような企業が直面する最大の課題は、SKUが非常に幅広いことと商品が単品であることを考慮した、効率的な運用だと、プレンダーガスト氏は語っている。デザイナーアイテムの認証と委託販売には、独自の認証技術、写真撮影、倉庫のフルフィルメントなど多くのリソースが必要になる。ザ・リアルリアルによれば、同社の社内チームは同社が販売するすべてのアイテムを認証する。同社には現在3つの倉庫があり、最後のものは昨年秋にフェニックスにオープンした。

いうまでもなく、ザ・リアルリアルやリバッグ(Rebag)のような新興企業は、顧客を獲得して売上を伸ばす方法として実店舗小売にも進出している。同社は全国で19の店舗を運用しており、顧客の手持ち品の買い取りや注文への対応にも使用されている。これらの戦術のすべてに多額の資産が必要だと、プレンダーガスト氏は語る。

「これらの企業はバックエンドでの課題に直面し続けるだろう」と同氏は述べる。たとえば在庫の不足は、一貫したスタイルやサイズの欠品も含めて、多くの場合に顧客が不満を抱き、別のサイトに移行する原因になる。さらに、高価な中古品に関心を持つ顧客の獲得と維持に関連するマーケティングコストの問題もあると、同氏は語っている。

「ザ・リアルリアルが2019年に株式を公開して以来、利益に転じるために苦闘しているという事実は、新しい役員を招き入れるもうひとつの要因だろう」と、プレンダーガスト氏は述べる。同社は2022年の第1四半期に5700万ドル(約76億4000万円)の実損失を報告しており、これは2021年の同時期における5600万ドル(約75億円)より増加している。前回の投資家向けイベントで、経営陣は、同社が利益に転じるための今後の運営の合理化の可能性を示唆した。CFOのロバート・ジュリアン氏は、2024年に利益に転じることを期待していると語った。同氏は、この推測が「売上の継続的な成長、コストの生産性の変動、および固定コストの管理に基づいている」と述べている。

それでもリセール市場は成長する

コアサイトリサーチ(Coresight Research)のアナリストであるサニー・ツェン氏は、継続的な困難にもかかわらず、米国におけるファッションのリセール市場は今後も増大し続けることが予測されると述べている。ただし、ザ・リアルリアルや競合他社は売上の成長以外にもいくつかの課題に直面し続けるだろうとも同氏は強調している。「企業の刷新や統合が今後さらに見られるようになるだろう」と同氏は語る。

実際に、リセール業界では過去2年間にわたり、一貫したM&A活動が行われてきた。ベスティエールコレクティブ(Vestiaire Collective)は2022年3月、米国のリセールプラットフォームであるトレードシー(Tradesy)を買収した。一方でスレッドアップ(ThredUP)は昨年7月にリミックスグローバル・エーディー(Remix Global AD)を買い取り、ピアツーピアのリセールマーケットプレイスのオファーアップ(OfferUp)は2020年8月にレットゴー(Letgo)を買収した。

エスエスエー・アンド・カンパニー(SSA & Company)で小売および消費者担当リーダーを務め、「テックターボチャージされた中古販売の行く道はひとつ(Tech-Turbocharged Thrift Has Only One Way to Go)」の著者でもあるクリス・ベントリー氏は、何年にもわたって超絶的な成長が続いたあとで、ラグジュアリーリセールの顧客は選択肢が豊富なことを当然と思うようになったと述べている。

「リセール企業が拡大していくためには、現在利用可能なデジタルチャネルを通じて顧客とどのように関わるかについて、経済的に工夫する必要があるだろう」と同氏は述べている。また、さらに資金を調達する必要を回避するため、コスト削減の決定をいくつか行う必要がある。「ほかのリコマース小売業者とコンソーシアムを形成するのも手段のひとつだ」と同氏は述べる。「しかし、自業界の外を見渡し、十分な実績があるアパレル小売業者と同盟関係を結ぶことで、イノベーターがこの分野に注目するようにできる可能性がある」。

全体として、これらの経営役員の入れ替えが起きているのは驚くにあたらないと、プレンダーガスト氏は語る。「会社を次のレベルに引き上げるため、別の背景分野での経験を持つエグゼクティブを引き入れるのは典型的な解決策になってきている」と同氏は述べている。「問題は、その刷新は長期的にブランドにとって正しいことか、ということだ」。

[原文:‘We expect to see more corporate shakeups’: The RealReal CEO steps down as profitability remains elusive for resale]

Gabriela Barkho(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via The RealReal

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