インフルエンサー や映画とのコラボに注力するネイル分野【ビューティ&ウェルネスブリーフィング】

DIGIDAY

ビューティ分野におけるコラボレーションはメイクアップのカテゴリーを超えて拡がっており、いまではネイルケアのコラボも一般的になっている。

ネイルズ・インク x メイ・カワジリ氏のコラボ

ネイルズ・インク(Nails Inc.)は5月17日、有名なネイルアーティストのメイ・カワジリ氏とアイスクリームブランドのマグナム(Magnum)との新しいコラボレーションをローンチ、香りつきのネイルポリッシュ3色の特別エディションを提供している。ソーシャルメディアにおいてネイル関連コンテンツが増えるにつれ、ネイルケアのコラボレーションが増加している。ブランドは、インフルエンサー、セレブリティ、映画やテレビシリーズ、ほかの消費者カテゴリーのブランドと提携して新製品を発売している。

ネイルズ・インクは、コラボレーションを増やしている多くのネイルブランドに加わったわけだ。オーリー(Orly)は2017年にラヴァーン・コックス氏との初コラボレーションをローンチし、以来コラボレーション数は10に上っている。この3年間のコラボレーターには、NFL初の女性コーチであるジェン・ウェルター氏、『トップ・シェフ(原題:Top Chef)』のクワーミ・オンワーチ氏、映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY(原題:Birds of Prey)』、リサ・フランク氏、ネイルフルエンサーのハナ・リー氏ケリー・マリッサ氏がいる。

カワジリ氏は今回のコラボについて、「ネイルズ・インクとの良好な関係を築くためのユニークなスタートだ」と述べている。パンデミックが始まって以来、同氏のもとにはブランドからコラボレーションの依頼が殺到しているそうだ。

ネイルズ・インクのコラボレーションを宣伝するために、カワジリ氏はインスタグラムに特別エディションを使った見事なネイルアートを披露したコンテンツを投稿している。クランチーアーモンド(Crunchy Almond)とラズベリースワール(Raspberry Swirl)を使い、それぞれの色に対応したチョコレートテーマの3Dのルックスが制作された。

注目を浴びるデザインが増えていることに気づいているカワジリ氏は、「ネイルコンテンツは人気上昇中だ」と述べている。TikTokの台頭とインスタグラムのリールズ重視によって、同氏はネイルコンテンツが静止画から綿密に制作されたチュートリアルにシフトしたと言う。「今では動画でなければ。音楽付きで編集する必要がある」。カワジリ氏は3Dとエアブラシのネイルが上昇トレンドだと考えている。

ネイルサロンのコラボレーション

ネイルサロンブランドは、サロン事業へのパンデミックの影響ゆえにBtoBからBtoCへの販売の移行の要としてコラボレーションに注目している。これはオーリーが選んだ方法だった。

オーリーの事業開発担当バイスプレジデント、タル・ピンク氏は次のように述べている。「コラボレーションが、理念に従った楽しいブランドとしてオーリーがD2Cと小売における地位を確立するのに役立ったことがわかった。過去3年間のeコマースチャネルの台頭のおかげで、これらの理念やストーリーを直接オーディエンスに届けることができ、彼らからは高い販売量と素晴らしいエンゲージメントで応えてもらった」。

一方、プロ用ネイルケアブランドであるモーガンテイラー(Morgan Taylor)も最近、映画『クルーレス(原題:Clueless)』との消費者向けのコラボレーションを開始している。これは、過去に実施されたヒップドット(HipDot)の『クルーレス』コラボレーションというメイクアップ戦略からヒントを得たものだ。

ユニークなコラボパートナーは、ネイルケアのスタートアップが市場に参入する際ソーシャルでの話題を生み出すのに役立つことがある。その例には、昨年10月に『シュレック(原題:Shrek)』コラボを行ったラピエール・コスメティックス(LaPierre Cosmetics)や、2020年にダメリオ姉妹とコラボしたオロサ(Orosa)などの企業がある。

ほかのタイプのコラボレーションの拡大

ネイルアートコンテンツやカワジリ氏のようなネイルフルエンサーらは、パンデミック時に生じたネイルのDIYブームにおいてとくに注目を集めている。

「ネイルに興味がなかったのに、いまではコンテンツ制作のためにネイルに関心を持っている人もいる」とカワジリ氏は述べている。その例として俳優のセス・ローガン氏が挙げられる。カワジリ氏は、ローガン氏から自分が作った灰皿とマッチする3Dネイルの制作依頼を受けた。ローガン氏は、4月下旬に自身のインスタグラムでそのルックを披露している。

プレスオンとラップを使ったネイルアートデザインの台頭はネイルコラボを推進する大きなきっかけになっている。カワジリ氏はマニミー(ManiMe)と提携している。同社はビジネスモデルの主要な部分であるデザイン制作のために人気のネイルアーティスト数十人を起用している。また、チルハウス(Chillhouse)は、今月初めにローレン・ラドニア氏とのコラボレーションコレクションをローンチした。

ソーシャルメディアのネイルアートの増加によって、典型的なネイルブランドは大胆な色使いを選ぶようになり、コラボレーションをドロップするようになっている。サリーハンセン(Sally Hansen)は、今月初めにテレビ番組『フレンズ(原題:Friends)』とのコラボレーションをローンチし、(番組が放送されていた)90年代にインスピレーションを得たマニキュアに番組に関連した色の名前をつけた。また、同社はトリートメントからネイルカラーへの回帰の一環としてフードコラボレーションも実施、2020年3月には(ひよこの形をしたマシュマロの)ピープス(Peeps)と、9月には(グミの)サワーパッチキッズ(Sour Patch Kids)とのコラボレーションをローンチした。2017年の最初のコラボレーション以来、サリーハンセンは16のコレクションで9つのコラボレーションを行っている。

「2017年以来、我々はパートナーシップ戦略を進化させ、菓子ブランドからエンターテイメントやメディア、さらには目的主導型の非営利団体までサリーハンセンの色展開を補完するさまざまなブランドと提携している」とコティ(Coty)の米国マーケティング・消費者ビューティ担当シニアバイスプレジデント、ケビン・シャピロ氏は述べている。「当社のパートナーシッププログラムには、小売業者やメディア、消費者から驚くほどの反響があった。これらのプログラムによって、売上や消費者間の話題、ソーシャルエンゲージメントを推進し、メディアで取り上げられる傾向も高まる」。

真のパートナーシップがコラボ成功の鍵

メイクアップのコラボと同様に、ネイルのコラボを成功させるポイントは納得できるものであるかどうかである。

「確かにコラボレーションのパイプラインを増やすことはできたが、我が社とパートナーにとって真正で本物であることが望まれるので、どんなパイプラインであるかには非常に留意している」とピンク氏。「たとえば、マニキュア愛用者のコミュニティは情報に精通しているので、マニキュアをしたことがない人とは提携しない。パートナーシップが真正でなければブランドは指摘されるだろう」。

[原文:Beauty & Wellness Briefing: Beauty’s collab culture has taken over the nail category

LIZ FLORA(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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