すでに国民の大多数がご存じのこととは思うが、松屋が誇る至高のメニュー「ごろごろ煮込みチキンカレー」が2022年4月5日、ついに復活を遂げた。そう、我らの王が帰ってきたのだ。GOOOOROCHIKI！ GOOOOROCHIKI!!
「ごろチキ」の復活……それはただの飲食チェーンの人気メニュー再販を超えた、崇高にして神聖なるイベント。ある種の祭事と言っても差し支えないだろう。神の再臨を前に、私（あひるねこ）はかつてないほどの高揚感を覚えていた。そう、この時までは……。
・約束の日
「ごろチキ」復活当日──。時刻は深夜2時を回ったところだ。
妻と子が寝静まった後、もぬけの殻となったリビングで一人、私は「ごろチキ」に祈りを捧げていた。瞑想することで「ごろチキ」以外のあらゆる雑念を消し去り、「ごろチキ」の存在をよりクリアに、ハッキリ認識するためである。
途中、仮眠を取りつつ祈ること数時間。いよいよ時計の針が午前10時を指した。来たか……。急いで「松弁ネット」をチェックしてみると、そこには……
か、神……ッ！
お帰りなさいませ……!!
・降臨
2022年度「ごろチキ」の基本情報については前回の記事を参照いただくとして、敬礼と共に神をお迎えした私はマッハで帰宅。積もる話もそこそこに、まずは感動の再会を果たした。
当初の予定ではお店で できたてを食べるはずが、急きょテイクアウトに変更したのは理由がある。そう、以前 松屋のプレゼント企画で運良く入手した『ごろチキ専用ザラ』である。危ない危ない、コイツの存在をすっかり忘れていた。
当選人数100名に対し、約1000件の応募があったという『ごろチキ専用ザラ』は、我ら「ごろチキ」信者にとってまさに聖杯そのもの。王を盛り付けるに相応しい黄金の玉座と言えるだろう。
さあ、今「ごろチキ」が神の器に……
「ごろチキ」のためだけに作られた皿の中に……
あああああああああ……！
あﾞあﾞあﾞあﾞあﾞあﾞあﾞあﾞあﾞあﾞあﾞあﾞ
Ride On──.
Nice to meet you──.
・答え
その瞬間、すべてのパズルが はまった気がした。そして確信する。これが「ごろチキ」であると。これこそが「ごろチキ」の正しき姿なのだ、と。
『ごろチキ専用ザラ』で食べる「ごろチキ」は極上そのもので、スプーンからごろごろ はみ出るチキンと松屋特製オリジナルカレーソースはいつも以上に重厚なアンサンブルを奏でている。
もちろんそれには食べ手側の精神状態も大きく影響しており、世界に100しかない器で「ごろチキ」と交信できるという恍惚が、さらなるスパイスとして機能したことは言うまでもないだろう。
「ごろチキ」復活と同じくらい、『ごろチキ専用ザラ』の存在にも感謝だ。当たってくれてありがとう！ 我が家に来てくれて本当に本当にありがとう!!
が！
ここで私はふと重大なことに気付いてしまった。あれ？ もしかしたら……『ごろチキ専用ザラ』で「ごろチキ」をちゃんと食べるのって、これが初めてなんじゃね？
・まさか
実はこの『ごろチキ専用ザラ』は、「ごろチキ」以外の盛り付けを松屋によって禁じられている。つまり他に使い道がないのである。過去に一度だけ「ごろチキ」を自作して盛り付けたこともあったが、あとは食器棚の奥に長らく放置してあったような……。
いやいや、そんなバカな。それではただのガラクタではないか。松屋がそんな用途不明の物体を送ってくるはずがないだろう。そこで改めて当時の状況を調べてみることに。その結果、驚くべき事実が明らかになった。
『ごろチキ専用ザラ』が我が家に届いたのは昨年6月10日であるが、なんとその時点で……
「ごろチキ」、まさかの終売……！
そう、せっかく専用の皿が届いたのに、肝心の「ごろチキ」がすでに入手不能となっていたのだ。おい何でや!? 何で発売中に送ってこないんや！ どういうスケジュール感や!! 先述したように、『ごろチキ専用ザラ』は『ごろチキ』以外の盛り付け禁止。つまり……
完全に詰みである。
・打つ手なし
あまりに無慈悲すぎて思い出しただけでも震えが走るが、本当に恐ろしいのは、これが2021年6月の出来事ということである。今は何月だ？ 2022年4月だぞ、2022年4月！ お前何ヵ月待たせんだコラァァァァァァァアアアアア!!!!
いや、タダでもらっておいて文句を言えた義理ではないとは思うが、「ごろチキ」以外の使用を禁じておきながら10カ月放置はさすがにハイパーSすぎるだろう。いくら訓練された「ごろチキ」信者とは言え餓死するレベル。まさか年をまたいでくるとは……。
・告発
松屋のこの鬼畜な所業について知っているのは、世界でも『ごろチキ専用ザラ』が当たった100名のみであるが、決して風化させてはいけないと思い筆を執った次第だ。松屋よ、この際だから言っておくぞ。終売とかもうやめろ……！ 「ごろチキ」をレギュラーメニューにするのだ……!!
この記事が松屋、そして一人でも多くの「ごろチキ」ファンに届くことを祈って。あの痛ましい悲劇を二度と繰り返さないためにも……。
