【実録】人生で一度くらい真剣に試験に向き合いたい私が「ねこ検定」を受けてみた

ロケットニュース24

受験、資格試験、運転免許試験、採用試験、昇進試験……人は死ぬまでに実にたくさんのテストを受ける。

去る2022年2月、筆者は「スーパー猫の日」を勝手に記念して「ねこ検定」を申し込んだ。「ねこ検定」とは、その名のとおり猫に関する知識を認定する民間の検定制度だ。

受けるのは、もっとも簡単な初級のオンライン検定。猫とともに数十年を生きているので合格は可能だろうが、それだけでは足りない。目指すは満点合格だ。

これは「人生いつでも逃げモード」で生きてきた人間の真剣勝負である。


・逃げの人生にグッバイ

思えば自分は人生で一度も試験というものに真剣に向き合ったことがない。進路を左右する受験でさえ、真面目に勉強してこなかった。

「試験なんて勉強しなくても受かる」といったたぐいの自慢話ではなく、世の中には2種類の人間がいると思う。


志望校なり資格試験なり就職活動なり、自分の実力では届かなそうな壁を見たときに、挑戦する人間と、壁を避ける人間だ。


筆者は後者だったために、たとえば受験なら「受かりそうなところを受ける」、部活なら「ミスが目立たなそうなポジションにつく」、無理めな挑戦は「最初から言い訳を考えておく」といった具合に、逃げの人生であった。

自分だけが自分の正体を知っていて、いつも漠然としたコンプレックスがある。


けれど一度くらい、物事に真剣に取り組んでみたい! 「必死でがんばった」という経験を自分の中に残したい……!!

ちなみにこの検定に合格したからといって、ライターの仕事がバンバン飛び込んでくるとか、就活で優遇されるといったことはまったくない。けれど、やるのだ。自分のために。


・試験までの日々

「ねこ検定」の試験は3月27日。申し込みから約1ヶ月ほどだ。脳内にロッキーのテーマが流れる。過去に受けた試験はほぼ「一夜漬け」ならぬ「朝漬け」。

正当化するわけじゃないが、直前に覚えたことが一番記憶に残る。ゆえに学生時代、試験と試験のあいだの休み時間はひたすら教科書を読んでいた。

周囲からは「試験に命かけてる人」と思われたかもしれないが、それしか方法がなかったのである。そして、そのようにして得た知識はニセモノなので、試験が終わった途端に幻のように消えてなくなる。

ところが、さすがに「ねこ検定」テキストは一夜漬けできる分量ではなかったので、珍しく勉強した。もっとも苦手な「毎日コツコツやる」という地道な作業にも挑戦した。

寝る前に必ずテキストを読む。練習問題もやってみた。普段なら目視でサーッと流して「やった気になる」ところ、ちゃんと紙に書き出して採点もした。


当日は復習のために試験の1時間前からスタンバイしてテキストを見直した。ログイン時間が近づくと、心臓がドキドキしてくる。

こんな緊張感、過去にあっただろうか……! これが物事に誠実に向き合った人にだけ訪れる高揚なのか……!!

いよいよログイン時間がやってきた。不正防止のためパソコンのインカメラに自分を映して受検するが、自ら数千円の検定料を払ってカンニングするというシチュエーションは理解できない。だれに頼まれて受けるわけでもない、まさに自分との闘いである。


試験時間は60分。なんと全100問もある!


4択問題をクリックで選択していくのだが、同じ4択でも名称や事実を選ぶような問題は簡単。たとえば「日本の信号機カラーは赤・青・なに?」という問題で、「紫・黄・ピンク・レインボー」のような4択なら簡単だ。


けれど「次の中から間違っているものを選べ」のような設問になると、難度が爆上がりする。

1. 日本最初の信号機は○○年に設置
2. 日本でもっとも信号機が少ないのはホニャララ県
3. 信号機の設置について定めているのはナンチャラ法……


「ねこ検定」、なにげに上記パターンも多い! ライターの直感を駆使して「創作っぽい不自然な文章だな~」という選択肢を探そうにも「どれも正解くさい」ことの連続。

中には明らかにおかしな選択肢が混ざっている「サービス問題」もあるが、緩急のつけ方が絶妙。ライターの私をあざむくとは、やるな出題者……!

ああ~「猫のヒゲにも枝毛ができる、マルかバツか」なんて問題だったら楽勝なのになぁ……。

※「ねこ検定」にそんな問題はありません。けれど正解はマルです。なんなら3つや4つに分かれた枝毛もできます。

また、テキストには全国で活動をしている実在の団体が紹介されている。筆者は「特定の民間団体のことを出題するのは宣伝ぽくなるし、大人の事情を考えると “なし” だろう」と余計な知恵を回して読み飛ばしていた。

長く生きていると無駄に小賢(こざか)しくなり、出題者の意図をあれこれ邪推して、純粋にテキストに向き合わなくなるのだ。


が、しっかり出題されとる……!


そして極めつけ……設問には「猫と文化」というジャンルがあり、それは猫が登場する映画、コミック、文学など創作物についての出題なのだ。

自分が観た・読んだ作品なら、こんなに簡単な問題はない。世の中には『吾輩は猫である』『100万回生きたねこ』など、誰もが知る有名作品もある。けれど知らないマンガ作品の「登場にゃんこの名前」を聞かれて……


わかるかぁぁぁぁ(涙目)!


・自己採点

満点合格なんて、とんでもなかった。自己採点の結果、自分で「間違えた」と自覚している設問だけでなく、まったく無自覚だったものも含めて10問も間違えていた。「あとちょっと」というレベルでさえない。

おそらく合格ラインは超えていると思うが、まったく真剣味が足りなかったのだ。ましてや初級はテキスト準拠なので、しっかり読み込めば答えられない問題はないようになっている。8歳から80歳まで老若男女が受検している検定なのだ。

テキストの欄外にちょこっと書かれた部分も読み飛ばしてはいけない。また、触れられている作品はすべて視聴・読了しておくくらいやらないと「真剣にやった」なんていえないのだ。努力が足りなかった。ちくしょー。

いつの日か、自分で自分を認めてあげられるように精進したい。どこかに確実に満点が取れる簡単な検定はないだろうか。


参考リンク:ねこ検定公式サイト
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.

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