ナメクジを見るたびに、「こんなに無防備で大丈夫なんだろうか。カタツムリは殻で体を守っているというのに」と思っていました。
でも、殻があってもダメなときもあるんですね。というのも、琉球列島にはカタツムリがやってくるのを地中で待ち伏せして食べちゃう幼虫がいるらしいのです。Scienceが伝えました。
そいつの名前は「サカグチオオヒラタコメツキ」
東京都立大学の都市環境科学研究科 佐藤臨特任研究員と理学研究科 山田藍生特任研究員、ふじのくに地球環境史ミュージアムの岡宮久規主任研究員のグループが発見したのは、地中からカタツムリを捕食する幼虫でした。
Ecologyに発表した論文「Ambush hunter attacks land snails in its burrow: unique larval stage of the click beetle Anthracalaus sakaguchii」によると、このような行動をする幼虫はこれまで見つかっていなかったので育ててみたところ、詳しい生態が不明だったサカグチオオヒラタコメツキだと判明したそうです。
成虫のコメツキムシは空中で跳ねることで知られていますが、まさか幼虫のときに土の中でカタツムリがやってくるのを待ち伏せして、柔らかな腹部を狙って引き摺り込むなんて。
ちなみに、発表には「カタツムリは捕食者に襲われると殻を振って応戦しますが、無防備な下側から軟体部に咬みつかれることでまったく抵抗できないまま捕食されていました」と冷静に観察された様子が記されていました。カタツムリ…、無念だったでしょうね。
カタツムリだけ食べるのかどうかはわからない
ちなみに、サカグチオオヒラタコメツキの幼虫がカタツムリ専食なのかどうかはわかっていないそうです。
しかし、野外での観察中に幾度となくカタツムリが食べられていたことや、飼育下でもカタツムリを的確に攻撃していたらしく「カタツムリへの依存度は高い」と考えている様子。
また、カタツムリも幼虫の巣穴に向かって進むような行動が見られることから、幼虫が何かしらの要因でカタツムリを誘い出している可能性もあるのだとか。
なんと奥が深い!
琉球列島では開発による生息地の減少や外来種などの影響によってカタツムリ類が急速に数を減らしているそうです。カタツムリがいなくなったら、カタツムリを餌にするサカグチオオヒラタコメツキだって餌に困るわけですよね。
生態系、守りたいなぁ。