中央銀行になりきって適切な金利を設定し村のGDPを増やすマニアック経済シミュ「Sim CB」をプレイしてみた

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中央銀行になりきり、金利をコントロールすることで金や人の流れを調整するシミュレーションゲームが「Sim CB」です。ゲームを通じて経済についても視覚的に学べるというこのゲームを実際にプレイしてみました。

Benoit Essiambre
https://benoitessiambre.com/macro.html

ゲームをプレイするにはSim CBのページへアクセスし、「Start」をクリックします。


実際にプレイしている様子は以下の動画で確認可能です。音声は流れず、プレイヤーが操作できるのは金利の上げ下げのみという非常にシンプルなゲームです。金利を指定してリンゴの流通を管理し、一定期間が経過するまでひたすらGDP(リンゴの総生産数)を上げていきます。

中央銀行になりきって適切な金利を設定し村のGDPを増やすマニアック経済シミュ「Sim CB」をプレイする様子 – YouTube
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画面左側に表示されているのが本ゲームに登場する経済主体です。上部中央にあるのが中央銀行。左側にあるのが10軒の家で、それぞれ最大3人の労働者を収容可能。右側にあるのが果樹園。下部中央にあるのがリンゴ市場です。左上に表示された数字は経過月数、右上に表示された数字はGDPです。


それぞれをクリックすることで、家には何人いるのか、果樹園はどのような状態なのか、市場に出回っているリンゴの総数はいくらなのかを確認できます。


上下のボタンで「interest rate(金利)」を-0.50%から50%まで、0.25ポイントずつ変更可能。


画面右側に表示されているのが各種レートで、それぞれNatural rate(自然利子率)、Apple price(りんごの価格)、Unemployment(失業率)、Production:apples per month(1カ月当たりのリンゴ生産量)、Production:coins worth per month(1カ月当たりの利益)、Wage: per month(1月当たりの賃金)、Inflation(インフレ率)、Menu costs(メニューコスト)です。


また、画面下部では村で発生したイベントのログとリンゴの価格推移が確認できます。


Sim CBの経済は月単位で動いています。毎月、人々は働き、果樹園は生産し、リンゴは市場に出回り、人々はコインの分け前をもらって市場でリンゴを買います。

果樹園は60カ月を1つのサイクルとし、最初の6ヶ月は計画段階、24ヶ月は栽培・成長段階、30ヶ月は生産・収穫段階となります。このうち計画・栽培・成長段階には設備投資が行われるため、村の「コイン」が減っていきます。生産・収穫段階になって初めて利益を生み出します。なお、10園中1園は常に必ず「計画段階」あるいは「倒産(CLOSED)」の状態になります。


ゲーム開始時の金利は2.0%に設定されています。この村の人々にはある消費性向が設定されており、人々は毎月、自分のコインのX%を支払って、市場が持っているリンゴのY%を購入します。Yは固定です。金利が低くなると、Xは比例して高くなり、逆もまた起こり得ます。この計算はインフレ調整されたレートで行われるため、インフレ率が高ければ人々はより多く消費することになります。より具体的に言うと、金利が低くなると経済活動が活発化して景気が上向きに、金利が高くなると景気が下向きになるということ。

最初は2.0%で問題なくゲームが進みますが、ゲーム中はさまざまなイベントが発生します。例えば以下では「村は干ばつに見舞われています。生産量が12%減少します」というイベントが発生。市場のリンゴ総数が減り、リンゴの価格が上昇することが予想されるので、金利を下げて人々の消費意欲を高めねばなりません。


リンゴの生産が途絶えてリンゴ市場の在庫がほとんどなくなってしまうと、果樹園の生産再開によって在庫が大きく変動し、価格も大きく変動するため、事態を安定させるのは難しくなります。この現象はブルウィップ効果として知られています。これを回避するためには、経済がうまく回っているときにゆっくりと金利を上げ、村の経済にショックがあったときに積極的に金利を下げる余裕を持っておくことが大切。

また、果樹園はプレイヤーが設定する金利と、賃金やリンゴの価格から、自分たちの潜在的な収益性を絶えず見積もっています。各果樹園では毎月、破産せずに労働者に支払える最大賃金はいくらかを計算しています。賃金はライフサイクルの最初に交渉され、60ヶ月間固定されます。現在経営している果樹園で、最大賃金が以前交渉したものを下回ると倒産します。

倒産を防ぐためのヒントとして、最も収益性の低い果樹園が破産する前に許容できるおおよその最大金利が「自然利子率」として表示されており、金利をこれより高く設定すると、果樹園が倒産し、失業率が上昇するリスクがあることが示されています。


金利を下げれば、果樹園は賃金を上げる余裕ができ、賃金は徐々に高く調整され、その賃金を支払うための余分な借入でより多くのお金が流通し、物価も少しずつ上がっていきます。

ゲーム開始から240カ月が経過するとゲームオーバー。それまでに生産した総リンゴ数が表示されます。


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